お客様による学習

現在の顧客は継続的な学習にとって最高の助けです。 顧客は、自社との提携により、そのニーズにこたえる最良のソリューションを見つけられるよう、顧客の共感によって構築する助けになります。 また、顧客への影響を測定するメトリックを生成することで、実用最小限の製品 (MVP) ソリューションの作成も支援します。 この記事では、顧客パートナーと共に、またそこから学習して、イノベーションを推進する方法について説明します。

継続的な学習

継続的な学習とは、新しいスキルや能力を継続的に学習するプロセスのことです。 継続的な学習は、正式なトレーニングと、課題に挑戦することの両方から生まれます。 反復が終わると、そのたびに構築と測定のサイクルから学習することができます。 次の図は、継続的な学習のプロセス フローの概要を示しています。

継続的な学習のデシジョン ツリー

継続的な学習は、学習メトリックに対処したり、顧客のニーズへの影響を評価したりするための方法です。 反復が終了するごとに、学習に関する次の主要な判断事項を検討します。

  • 仮説は正しかったのか。 答えがはいの場合は、次に進んでください。 次の反復にも、学習すべきこと、テストすべき仮説、顧客を支援する方法が常にあります。 仮説が正しかったと証明されたときは、顧客にとってのソリューションの利便性を向上させる新しい機能を判断するのに良いタイミングです。
  • そのソリューションを繰り返すことで、検証された仮説に近づくことができるか。 通常答えは、はいです。 学習メトリックでは一般に、顧客偏差につながるプロセス内のポイントが提示されます。 失敗した仮設の根源を見つけるためには、これらのデータを使用します。 場合によっては、メトリックによってソリューションが提案されることもあります。
  • 仮説の再設定が必要か。 仮説や基になる要件に欠陥があったことがわかることがあります。 欠陥が判明した場合、ただ単に反復することが正解とは限りません。 再設定が必要な場合は、仮説を書き直して、その新しい仮説に照らしてソリューションを見直します。 このような学習を早く行うほど、方向転換が容易になります。 開発後期の方向転換を避けるため、初期の仮説では、ソリューションの最もリスクが高い側面のテストに集中する必要があります。
  • わからない場合はどうするか。 "反復" 後の 2 番目によくある反応が、"よくわからない" です。 このような反応でも構いません。 こうした反応は、顧客と関わって、顧客の共感を促進し、データを超えたものに目を向ける良い機会となります。

このような質問への答えから、次の反復が形成されます。 継続的な学習を取り入れ、顧客に適した判断を大胆に行う能力を発揮する企業ほど、その業界のリーダーとして頭角を現す傾向にあります。

継続的な学習の実践には、多くの試行錯誤が必要です。 科学とデータ主導の意思決定もある程度必要です。 継続的な学習を取り入れるうえで最も難しい部分は、文化的な要件に関係します。 継続的な学習を効果的に取り入れるには、フェール ファーストな、顧客にフォーカスしたアプローチを進んで取り入れる企業文化が必要です。 次のセクションでは、このアプローチについて詳しく説明します。

グロース マインドセット

ここ数年の間に Microsoft の文化で発生した急激な変革を拒む者はほとんどいませんでした。 Satya Nadella によって主導されたこの多面的な変革は、驚異的なビジネスの成功事例として認められています。 このストーリーの核にあるのが、グロース マインドセットです。 顧客との学習の特徴となる、グロース マインドセットのいくつかの重要なポイントは次のとおりです。

  • 顧客ファースト: 顧客体験を向上させるために仮説を設計するには、実際に顧客に現場で会う必要があります。 メトリックだけに頼らないでください。 顧客体験の第一印象に基づいて、メトリックを比較して分析しましょう。
  • 継続的な学習: 顧客のフォーカスと共感の根幹には、learn-it-all という考え方があります。 know-it-all (知ったかぶりをする) ではなく、learn-it-all (すべてを学ぶ) のマインドセットを目指します。
  • 初心者の気持ちで: 会話するときは常に初心者の気持ちで行い、顧客の共感を示しましょう。 あなたがその分野の新人でも、30 年のベテランでも、自分は未熟であると思うことで、多くを学ぶことができます。
  • 話を聞く: 顧客はあなたと協力したいと考えています。 正しくあろうという自己中心的なニーズがパートナーシップを阻害するのです。 メトリックを超えたものを学ぶには、発言を控えめにし、相手の話により多く耳を傾けます。
  • 他の人を力づける: ただ聞くだけではだめです。 自分が話すことによって、他の人を励まします。 会議ではいつでも、気持ちをすぐには話してくれない人から多様な考え方を引き出す方法を考えましょう。
  • コードを共有する: 自分の責任がコード ベースを所有することであるなら、イノベーションの真の力を見逃します。 顧客のために結果を出すことに集中してください。 コードを (世界中にパブリックに、または社内でプライベートに) 共有して、さまざまな視点をソリューションとコード ベースに取り入れましょう。
  • 役に立つことに挑戦する: 成功とは、真の顧客の共感を示すことではありません。 固定観念に縛られたり、以前にうまくいったことばかりを続けたりするのは避けましょう。 顧客と関わることで、肯定的なメトリックからも、否定的なメトリックからも学習してください。
  • 包括的に: さまざまな視点を取り入れて混合するように心掛けましょう。 人間を分断する変数は多々あります。 文化的規範、過去の行動、性別、宗教、性的嗜好、そして身体的能力もそうです。 真のイノベーションは、これまでの違いを確認し、すべての顧客、パートナー、同僚を巻き込むように意識的に取り組んだときに始まります。

Build-Measure-Learn (構築-計測-学習) フィードバック ループ

真のイノベーションは、顧客の共感を示すソリューションを構築し、それらの変化が顧客に与える影響を測定し、顧客と共に学習するという、難しい作業から生まれます。 最も重要なのは、それは複数のイテレーションにわたるフィードバックから得られるということです。

過去 10 年でイノベーションから何かを学べているとしたら、それはビジネスの古いルールが変わったということです。 もはや、大規模で裕福な大手企業が市場で安泰な地位を保持しているとは限りません。 真っ先に市場に出たプレイヤーか、市場で最高の評価を得たプレイヤーが常に勝者であるとは限りません。 最高のアイデアを持っていたとしても、市場での優位性は得られません。 急速に変化するビジネス環境では、最も機敏性に優れたものが市場のリーダーになります。 変化する条件に適応できる人が主導権を握ります。

大小を問わず、革新的なリーダーとしてデジタル経済で成長する企業は、顧客の声に耳を傾ける能力に最も秀でた組織です。 そのためのスキルは培い、管理することができます。 良好なパートナーシップにはすべて、その中核に明確なフィードバック ループがあります。 クラウド導入フレームワーク内でカスタマー パートナーシップを構築するためのプロセスは、Build-Measure-Learn (構築-計測-学習) フィードバック ループです。

イノベーションでは発明と導入の間のバランスが求められます。 カスタマー フィードバックとパートナーシップが導入を促進します。 イノベーション サイクルの間に顧客を強力で緊密なパートナーに変えることで、より優れた製品を実現し、より早く市場からの支持を集めることができます。

Build-Measure-Learn (構築-計測-学習) フィードバック ループの図

カスタマー パートナーシップを管理し、それをイノベーションの取り組みに統合するためのこのプロセスには、3 つの開発フェーズが含まれます。

プロセスの各フェーズは、より良いソリューションを顧客と共に構築するためのものです。

次のステップ

この手法を理解するための次のステップとして、「イノベーションに関する一般的な阻害要因と課題」を参照すると、さらに変化を進めることができます。

この記事の概念の一部は、『The Lean Startup』(Eric Ries 著) で初めて書かれたトピックを基に作成されています。