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方法: マルチファイル アセンブリをビルドする

Note

この記事は .NET Framework に固有のものです。 .NET 6 以降のバージョンを含めて、.NET の新しい実装には適用されません。

この記事では、マルチファイル アセンブリを作成する方法を説明し、プロシージャの各手順を示すコードを提供します。

Note

Visual Studio IDE for C# および Visual Basic は、シングルファイル アセンブリの作成でしか使用できません。 マルチファイル アセンブリを作成する場合は、コマンド ライン コンパイラまたは Visual C++ 付き Visual Studio を使用する必要があります。 マルチファイル アセンブリは .NET Framework でのみサポートされます。

マルチファイル アセンブリを作成する

  1. アセンブリ内のほかのモジュールによって参照される名前空間を含むすべてのファイルをコンパイルして、コード モジュールを生成します。 コード モジュールの既定の拡張子は .netmodule です。

    たとえば、Stringer ファイルに myStringer と呼ばれるクラスを含む Stringer という名前空間があるとします。 Stringer クラスには、コンソールに 1 つの行を書き込む StringerMethod メソッドが含まれます。

    // Assembly building example in the .NET Framework.
    using namespace System;
    
    namespace myStringer
    {
        public ref class Stringer
        {
        public:
            void StringerMethod()
            {
                System::Console::WriteLine("This is a line from StringerMethod.");
            }
        };
    }
    
    // Assembly building example in the .NET Framework.
    using System;
    
    namespace myStringer
    {
        public class Stringer
        {
            public void StringerMethod()
            {
                System.Console.WriteLine("This is a line from StringerMethod.");
            }
        }
    }
    
    ' Assembly building example in the .NET Framework.
    Namespace myStringer
        Public Class Stringer
            Public Sub StringerMethod()
                System.Console.WriteLine("This is a line from StringerMethod.")
            End Sub
        End Class
    End Namespace
    
  2. このコードをコンパイルするには、次のコマンドを使用します。

    cl /clr:pure /LN Stringer.cpp
    
    csc /t:module Stringer.cs
    
    vbc /t:module Stringer.vb
    

    module パラメーターと /t: コンパイラ オプションを指定すると、ファイルはアセンブリではなくモジュールとしてコンパイルされます。 コンパイラにより、アセンブリに追加できる Stringer.netmodule というモジュールが生成されます。

  3. コード内で参照されるほかのモジュールを示すために必要なコンパイラ オプションを使用して、ほかのすべてのモジュールをコンパイルします。 この手順では、 /addmodule コンパイラ オプションを使用します。

    次の例では、Client というコード モジュールに、手順 1. で作成した Stringer.netmodule モジュール内のメソッドを参照するエントリ ポイント Main メソッドがあります。

    #using "Stringer.netmodule"
    
    using namespace System;
    using namespace myStringer; //The namespace created in Stringer.netmodule.
    
    ref class MainClientApp
    {
        // Static method Main is the entry point method.
    public:
        static void Main()
        {
            Stringer^ myStringInstance = gcnew Stringer();
            Console::WriteLine("Client code executes");
            myStringInstance->StringerMethod();
        }
    };
    
    int main()
    {
        MainClientApp::Main();
    }
    
    using System;
    using myStringer;
    
    class MainClientApp
    {
        // Static method Main is the entry point method.
        public static void Main()
        {
            Stringer myStringInstance = new Stringer();
            Console.WriteLine("Client code executes");
            myStringInstance.StringerMethod();
        }
    }
    
    Imports myStringer
    
    Class MainClientApp
        ' Static method Main is the entry point method.
        Public Shared Sub Main()
            Dim myStringInstance As New Stringer()
            Console.WriteLine("Client code executes")
            myStringInstance.StringerMethod()
        End Sub
    End Class
    
  4. このコードをコンパイルするには、次のコマンドを使用します。

    cl /clr:pure /FUStringer.netmodule /LN Client.cpp
    
    csc /addmodule:Stringer.netmodule /t:module Client.cs
    
    vbc /addmodule:Stringer.netmodule /t:module Client.vb
    

    このモジュールは後の手順でアセンブリに追加するため、 /t:module オプションを指定します。 Client 内のコードが Stringer.netmodule 内のコードによって作成された名前空間を参照するため、 /addmodule オプションを指定します。 コンパイラにより、Stringer.netmodule という別のモジュールへの参照を格納する、Client.netmodule というモジュールが生成されます。

    Note

    C# コンパイラと Visual Basic コンパイラは、マルチファイル アセンブリを直接作成する場合、次の 2 種類の構文を使用します。

    2 回のコンパイルで、2 ファイルのアセンブリを作成する。

    cl /clr:pure /LN Stringer.cpp
    cl /clr:pure Client.cpp /link /ASSEMBLYMODULE:Stringer.netmodule
    
    csc /t:module Stringer.cs
    csc Client.cs /addmodule:Stringer.netmodule
    
    vbc /t:module Stringer.vb
    vbc Client.vb /addmodule:Stringer.netmodule
    

    1 回のコンパイルで、2 ファイルのアセンブリを作成する。

    cl /clr:pure /LN Stringer.cpp
    cl /clr:pure Client.cpp /link /ASSEMBLYMODULE:Stringer.netmodule
    
    csc /out:Client.exe Client.cs /out:Stringer.netmodule Stringer.cs
    
    vbc /out:Client.exe Client.vb /out:Stringer.netmodule Stringer.vb
    
  5. アセンブリ リンカー (Al.exe) を使用して、アセンブリ マニフェストを格納する出力ファイルを作成します。 このファイルは、アセンブリの一部であるすべてのモジュールまたはリソースについての参照情報を格納します。

    コマンド プロンプトに次のコマンドを入力します。

    al<module name><module name> … /main:<method name>/out:<file name>/target:<assembly file type>

    このコマンドで、module name 引数はアセンブリに含める各モジュールの名前を指定します。 /main: オプションは、アセンブリのエントリ ポイントであるメソッド名を指定します。 /out: オプションは、アセンブリ メタデータを格納する出力ファイルの名前を指定します。 /target: オプションは、アセンブリがコンソール アプリケーション実行可能 ( .exe) ファイル、Windows 実行可能 ( .win) ファイル、またはライブラリ ( .lib) ファイルであることを指定します。

    Al.exe を使用して、myAssembly.exe というコンソール アプリケーション実行可能ファイルであるアセンブリを作成する例を次に示します。 このアプリケーションは、Client.netmodule および Stringer.netmodule という 2 つのモジュール、および myAssembly.exe というアセンブリ メタデータだけを格納する実行可能ファイルで構成されます。 アセンブリのエントリ ポイントは MainClientApp クラスの Main メソッドで、Client.dll 内に配置されています。

    al Client.netmodule Stringer.netmodule /main:MainClientApp.Main /out:myAssembly.exe /target:exe
    

    IL 逆アセンブラー (Ildasm.exe) を使用すると、アセンブリの内容を調査したり、ファイルがアセンブリであるかモジュールであるかを判断できます。

関連項目