既定のマーシャリングの動作
相互運用マーシャリングは、メソッドのパラメーターに関連付けられたデータが、マネージドとアンマネージドのメモリの間で渡されるときに、どのように動作するかを指示する規則に従って機能します。 これらの組み込みの規則は、データ型の変換などのマーシャリング動作、呼び出し先が渡されたデータを変更してその変更を呼び出し元に返すことが可能かどうか、およびどのような状況のときにマーシャラーがパフォーマンスの最適化を実現するかを制御します。
このセクションでは、相互運用マーシャリング サービスの既定の動作特性を示します。 ここでは、配列、ブール型、char 型、デリゲート、クラス、オブジェクト、文字列、および構造体のマーシャリングに関する詳細情報を示します。
Note
ジェネリック型のマーシャリングはサポートされていません。 詳しくは、「ジェネリック型を使用する相互運用」を参照してください。
相互運用マーシャラーによるメモリ管理
相互運用マーシャラーは、アンマネージド コードによって割り当てられたメモリを常に解放しようとします。 この動作は、COM メモリの管理規則に準拠していますが、ネイティブ C++ を制御する規則とは異なります。
ネイティブ C++ の動作 (メモリを解放しない) を予期している場合、ポインターのメモリを自動的に解放するプラットフォーム呼び出しを使用すると、混乱が生じることがあります。 たとえば、C++ DLL からの次のアンマネージ メソッドを呼び出しても、メモリは自動的に解放されません。
アンマネージ シグネチャ
BSTR MethodOne (BSTR b) {
return b;
}
ただし、メソッドをプラットフォーム呼び出しのプロトタイプとして定義する場合は、各 BSTR 型を String 型に置き換えて、MethodOne
を呼び出します。共通言語ランタイムは、b
の解放を 2 回試行します。 String 型ではなく IntPtr 型を使用することにより、マーシャリングの動作を変更できます。
ランタイムは、Windows 上では常に CoTaskMemFree メソッドを使用し、他のプラットフォームでは free メソッドを使用してメモリを解放します。 Windows 上で CoTaskMemAlloc メソッド、または他のプラットフォームで malloc メソッドを使用してメモリが割り当てられていない場合は、IntPtr を使用して適切なメソッドで手動でメモリを解放する必要があります。 同様に、カーネル メモリへのポインターを返す GetCommandLine 関数を Kernel32.dll から使用するときなど、メモリを解放してはいけない状況のときには、自動的なメモリの解放を防止できます。 手動でメモリを解放する方法について詳しくは、「Buffers サンプル」を参照してください。
クラスに対する既定のマーシャリング
クラスは、COM 相互運用でのみマーシャリングすることができ、常にインターフェイスとしてマーシャリングされます。 クラスをマーシャリングするために使用されるインターフェイスが、クラス インターフェイスと呼ばれる場合があります。 クラス インターフェイスを任意のインターフェイスでオーバーライドする方法について詳しくは、「クラス インターフェイスの概要」をご覧ください。
クラスを COM に渡す
マネージド クラスが COM に渡されると、相互運用マーシャラーは自動的にクラスを COM プロキシでラップし、プロキシによって生成されたクラス インターフェイスを COM メソッド呼び出しに渡します。 その後、プロキシは、クラス インターフェイス上のすべての呼び出しを、マネージド オブジェクトにデリゲートして戻します。 プロキシはまた、クラスによって明示的に実装されていない他のインターフェイスも公開します。 プロキシは、クラスの代わりに、IUnknown や IDispatch などのインターフェイスを自動的に実装します。
クラスを .NET Code に渡す
コクラスは、通常、COM のメソッド引数として使用されません。 代わりに、通常は既定のインターフェイスがコクラスの代わりに渡されます。
インターフェイスがマネージド コードに渡されると、相互運用マーシャラーは、インターフェイスを適切なラッパーでラップし、そのラッパーをマネージド メソッドに渡すことを担当します。 どのラッパーを使用するかは難しい判断となることがあります。 COM オブジェクトのすべてのインスタンスは、オブジェクトが実装するインターフェイスの数に関係なく、1 つの一意のラッパーを持ちます。 たとえば、5 つの異なるインターフェイスを実装する 1 つの COM オブジェクトには 1 つのラッパーだけがあります。 同一のラッパーが、5 つのすべてのインターフェイスを公開します。 COM オブジェクトの 2 つのインスタンスが作成される場合、ラッパーの 2 つのインスタンスが作成されます。
ラッパーがその有効期間中は同じ型を維持するように、相互運用マーシャラーは、オブジェクトによって公開されるインターフェイスが初めてマーシャラーを介して渡されるときに、正しいラッパーを識別する必要があります。 マーシャラーは、オブジェクトが実装するインターフェイスの 1 つに注目することにより、オブジェクトを識別します。
たとえば、マーシャラーは、マネージド コードに渡されたインターフェイスをラップするために、クラス ラッパーを使用する必要があると判別します。 インターフェイスが初めてマーシャラーを介して渡されるとき、マーシャラーは、インターフェイスが既知のオブジェクトからのものかどうかを確認します。 このチェックは、以下の 2 つの状況で発生します。
インターフェイスは、他の場所で COM に渡された別のマネージド オブジェクトによって実装されています。 マーシャラーは、マネージド オブジェクトによって公開されるインターフェイスを簡単に特定し、インターフェイスと実装を提供するマネージド オブジェクトとで突き合わせすることができます。 その後、マネージド オブジェクトはメソッドに渡され、ラッパーは必要ありません。
既ににラップされているオブジェクトは、インターフェイスを実装しています。 このような状況かどうかを確認するために、マーシャラーは IUnknown インターフェイスのためにオブジェクトのクエリを実行して、返されたインターフェイスを既にラップされているその他のオブジェクトのインターフェイスと比較します。 インターフェイスが別のラッパーのものと同じ場合、それらのオブジェクトには同じ ID があり、既存のラッパーがメソッドに渡されます。
インターフェイスが既知のオブジェクトからのものではない場合、マーシャラーは以下を実行します。
マーシャラーは IProvideClassInfo2 インターフェイスのためにオブジェクトのクエリを実行します。 提供された場合、マーシャラーは、IProvideClassInfo2.GetGUID から返される CLSID を使用して、インターフェイスを提供するコクラスを識別します。 CLSID によって、マーシャラーは、アセンブリが事前に登録されている場合にレジストリからラッパーを見つけることができます。
マーシャラーは IProvideClassInfo インターフェイスのためにインターフェイスのクエリを実行します。 提供された場合、マーシャラーは、IProvideClassInfo.GetClassinfo から返される ITypeInfo を使用して、インターフェイスを公開するクラスの CLSID を決定します。 マーシャラーは、CLSID を使用して、ラッパーのメタデータを見つけることができます。
マーシャラーは、まだクラスを識別できない場合には、System.__ComObject と呼ばれるジェネリック ラッパー クラスを使用してインターフェイスをラップします。
デリゲートに対する既定のマーシャリング
マネージド デリゲートは、呼び出し元のメカニズムに基づいて、COM インターフェイスまたは関数ポインターとしてマーシャリングされます。
プラットフォーム呼び出しの場合、デリゲートは、既定でアンマネージド関数ポインターとしてマーシャリングされます。
COM 相互運用の場合、デリゲートは、既定で _Delegate 型の COM インターフェイスとしてマーシャリングされます。 _Delegate インターフェイスは Mscorlib.tlb のタイプ ライブラリで定義され、デリゲートが参照するメソッドの呼び出しを可能にする Delegate.DynamicInvoke メソッドが含まれています。
次の表は、マネージド デリゲート データ型のマーシャリング オプションを示しています。 MarshalAsAttribute 属性は、デリゲートをマーシャリングする UnmanagedType 列挙値を提供します。
列挙型 | アンマネージ形式の説明 |
---|---|
UnmanagedType.FunctionPtr | アンマネージ関数ポインター。 |
UnmanagedType.Interface | Mscorlib.tlb で定義されている、 _Delegate 型のインターフェイス。 |
DelegateTestInterface
のメソッドが COM タイプ ライブラリにエクスポートされる、次のコード例を検討してください。 ref (または ByRef) キーワードでマークされたデリゲートだけが、In/Out パラメーターとして渡されることに注意してください。
using System;
using System.Runtime.InteropServices;
public interface DelegateTest {
void m1(Delegate d);
void m2([MarshalAs(UnmanagedType.Interface)] Delegate d);
void m3([MarshalAs(UnmanagedType.Interface)] ref Delegate d);
void m4([MarshalAs(UnmanagedType.FunctionPtr)] Delegate d);
void m5([MarshalAs(UnmanagedType.FunctionPtr)] ref Delegate d);
}
タイプ ライブラリの表現
importlib("mscorlib.tlb");
interface DelegateTest : IDispatch {
[id(…)] HRESULT m1([in] _Delegate* d);
[id(…)] HRESULT m2([in] _Delegate* d);
[id(…)] HRESULT m3([in, out] _Delegate** d);
[id()] HRESULT m4([in] int d);
[id()] HRESULT m5([in, out] int *d);
};
他のアンマネージ関数ポインターが逆参照できるのと同様に、関数ポインターは逆参照できます。
この例では、2 つのデリゲートが UnmanagedType.FunctionPtr としてマーシャリングされると、その結果は int
および int
へのポインターとなります。 デリゲートの型はマーシャリング中であるため、int
はここでは、メモリ内のデリゲートのアドレスである void (void*
) を指すポインターを表します。 つまり、この結果は 32 ビット Windows システムに固有のものとなります。int
がここでは関数ポインターのサイズを表すからです。
Note
アンマネージド コードで保持されている、マネージド デリゲートへの関数ポインターに対する参照は、共通言語ランタイムがマネージド オブジェクトでガベージ コレクションを実行することを防止しません。
たとえば、SetChangeHandler
メソッドに渡される cb
オブジェクトへの参照は Test
メソッドの有効期間を超えて cb
を有効のまま保持しないので、次のコードは正しくありません。 cb
オブジェクトでガベージ コレクションを実行した後、SetChangeHandler
に渡された関数ポインターは無効になります。
public class ExternalAPI {
[DllImport("External.dll")]
public static extern void SetChangeHandler(
[MarshalAs(UnmanagedType.FunctionPtr)]ChangeDelegate d);
}
public delegate bool ChangeDelegate([MarshalAs(UnmanagedType.LPWStr) string S);
public class CallBackClass {
public bool OnChange(string S){ return true;}
}
internal class DelegateTest {
public static void Test() {
CallBackClass cb = new CallBackClass();
// Caution: The following reference on the cb object does not keep the
// object from being garbage collected after the Main method
// executes.
ExternalAPI.SetChangeHandler(new ChangeDelegate(cb.OnChange));
}
}
予期しないガベージ コレクションを補正するために、呼び出し元は、アンマネージ関数ポインターの使用中は cb
オブジェクトが有効のまま保持されるようにする必要があります。 必要に応じて、次の例に示すように、関数ポインターが不要になった際にアンマネージド コードがマネージド コードに通知するようにすることができます。
internal class DelegateTest {
CallBackClass cb;
// Called before ever using the callback function.
public static void SetChangeHandler() {
cb = new CallBackClass();
ExternalAPI.SetChangeHandler(new ChangeDelegate(cb.OnChange));
}
// Called after using the callback function for the last time.
public static void RemoveChangeHandler() {
// The cb object can be collected now. The unmanaged code is
// finished with the callback function.
cb = null;
}
}
値型に対する既定のマーシャリング
整数や浮動小数点数など、ほとんどの値型は、blittable であり、マーシャリングを必要としません。 その他の non-blittable 型は、マネージドおよびアンマネージド メモリに類似しない表現があり、マーシャリングが必要です。 さらに他の型は、相互運用性の境界を越えて、明示的な書式設定が必要です。
このセクションでは、次の書式設定された値に関する情報を提供します。
書式指定された型について説明することに加えて、このトピックでは、マーシャリング動作が通常ではないシステム値型について示します。
書式設定された型は、メモリ内のメンバーのレイアウトを明示的に制御するための情報を含む複合型です。 メンバーのレイアウト情報は、StructLayoutAttribute 属性を使用して示すことができます。 レイアウトは、次のいずれかの LayoutKind 列挙値です。
LayoutKind.Auto
共通言語ランタイムで、効率を上げるのために、型のメンバーを自由に再配置できることを示します。 ただし、値型がアンマネージ コードに渡されると、メンバーのレイアウトは予測可能です。 このような構造体を自動的にマーシャリングしようとすると、例外が発生します。
LayoutKind.Sequential
型のメンバーは、マネージド型定義での順序と同じ順序で、アンマネージド メモリにレイアウトされることを示します。
LayoutKind.Explicit
メンバーが、各フィールドに指定された FieldOffsetAttribute に基づいてレイアウトされることを示します。
プラットフォーム呼び出しで使用される値型
次の例では、Point
と Rect
型が、Point
を使用してメンバーのレイアウト情報を提供します。
Imports System.Runtime.InteropServices
<StructLayout(LayoutKind.Sequential)> Public Structure Point
Public x As Integer
Public y As Integer
End Structure
<StructLayout(LayoutKind.Explicit)> Public Structure Rect
<FieldOffset(0)> Public left As Integer
<FieldOffset(4)> Public top As Integer
<FieldOffset(8)> Public right As Integer
<FieldOffset(12)> Public bottom As Integer
End Structure
using System.Runtime.InteropServices;
[StructLayout(LayoutKind.Sequential)]
public struct Point {
public int x;
public int y;
}
[StructLayout(LayoutKind.Explicit)]
public struct Rect {
[FieldOffset(0)] public int left;
[FieldOffset(4)] public int top;
[FieldOffset(8)] public int right;
[FieldOffset(12)] public int bottom;
}
アンマネージド コードにマーシャリングされるとき、これらの書式指定された型は C スタイルの構造体としてマーシャリングされます。 これは、構造体の引数を持つアンマネージ API を呼び出すための、簡単な方法を提供します。 たとえば、次のようにして、POINT
と RECT
構造体を Microsoft Windows API POINT
関数に渡すことができます。
BOOL PtInRect(const RECT *lprc, POINT pt);
次のプラットフォーム呼び出し定義を使用して、構造体を渡すことができます
Friend Class NativeMethods
Friend Declare Auto Function PtInRect Lib "User32.dll" (
ByRef r As Rect, p As Point) As Boolean
End Class
internal static class NativeMethods
{
[DllImport("User32.dll")]
internal static extern bool PtInRect(ref Rect r, Point p);
}
アンマネージ API では、RECT
へのポインターが関数に渡されることが予期されているので、Rect
値型は参照によって渡す必要があります。 アンマネージ API では、POINT
がスタックで渡されることが予期されているので、Point
値型は値によって渡します。 この微妙な違いは、非常に重要です。 参照は、ポインターとしてアンマネージ コードに渡されます。 値は、スタックでアンマネージ コードに渡されます。
Note
書式設定された型が構造体としてマーシャリングされると、型内のフィールドだけがアクセス可能となります。 型にメソッド、プロパティ、またはイベントがある場合、それらにはアンマネージ コードからアクセスできません。
クラスも、固定のメンバー レイアウトがあれば、C スタイルの構造体としてアンマネージド コードにマーシャリングできます。 クラスのメンバー レイアウト情報も、StructLayoutAttribute 属性で提供されます。 固定レイアウトの値型と固定レイアウトのクラスの主な違いは、それらがアンマネージド コードにマーシャリングされる方法です。 値型は (スタックで) 値によって渡されるので、呼び出し先が型のメンバーに変更を加えても、その変更は呼び出し元に示されません。 参照型は参照によって渡される (型への参照がスタックで渡される) ので、呼び出し先が型の blittable 型のメンバーに加えるすべての変更は呼び出し元に示されます。
Note
参照型に非 blittable 型のメンバーがある場合、変換は 2 回必要となります。1 回目は引数がアンマネージ サイトに渡されるときで、2 回目は呼び出しから返されるときです。 この追加のオーバーヘッドがあるために、呼び出し先による変更を呼び出し元が参照できるようにする場合は、In/Out パラメーターを引数に明示的に適用する必要があります。
次の例では、SystemTime
クラスにシーケンシャル メンバー レイアウトがあり、それを Windows API SystemTime
関数に渡すことができます。
<StructLayout(LayoutKind.Sequential)> Public Class SystemTime
Public wYear As System.UInt16
Public wMonth As System.UInt16
Public wDayOfWeek As System.UInt16
Public wDay As System.UInt16
Public wHour As System.UInt16
Public wMinute As System.UInt16
Public wSecond As System.UInt16
Public wMilliseconds As System.UInt16
End Class
[StructLayout(LayoutKind.Sequential)]
public class SystemTime {
public ushort wYear;
public ushort wMonth;
public ushort wDayOfWeek;
public ushort wDay;
public ushort wHour;
public ushort wMinute;
public ushort wSecond;
public ushort wMilliseconds;
}
GetSystemTime 関数は次のように定義されています。
void GetSystemTime(SYSTEMTIME* SystemTime);
GetSystemTime に対する同等のプラットフォーム呼び出し定義は、次のようになります。
Friend Class NativeMethods
Friend Declare Auto Sub GetSystemTime Lib "Kernel32.dll" (
ByVal sysTime As SystemTime)
End Class
internal static class NativeMethods
{
[DllImport("Kernel32.dll", CharSet = CharSet.Auto)]
internal static extern void GetSystemTime(SystemTime st);
}
SystemTime
は値型ではなくクラスなので、SystemTime
引数は参照引数として型指定されていないことに注意してください。 値型とは異なり、クラスは常に参照によって渡されます。
次のコード例は、SetXY
と呼ばれるメソッドを持つ、異なる Point
クラスを示しています。 型にはシーケンシャル レイアウトがあるため、それをアンマネージド コードに渡して、構造体としてマーシャリングすることができます。 ただし、SetXY
メンバーは、オブジェクトが参照によって渡される場合でも、アンマネージ コードから呼び出すことができません。
<StructLayout(LayoutKind.Sequential)> Public Class Point
Private x, y As Integer
Public Sub SetXY(x As Integer, y As Integer)
Me.x = x
Me.y = y
End Sub
End Class
[StructLayout(LayoutKind.Sequential)]
public class Point {
int x, y;
public void SetXY(int x, int y){
this.x = x;
this.y = y;
}
}
COM 相互運用で使用される値型
書式指定された型は、COM 相互運用のメソッドの呼び出しに渡すこともできます。 実際には、タイプ ライブラリにエクスポートされると、値型は構造体に自動的に変換されます。 次の例に示すように、Point
値型は Point
という名前の型定義 (typedef) になります。 タイプ ライブラリ内の他の場所にある Point
値型へのすべての参照は、Point
typedef に置き換えられます。
タイプ ライブラリの表現
typedef struct tagPoint {
int x;
int y;
} Point;
interface _Graphics {
…
HRESULT SetPoint ([in] Point p)
HRESULT SetPointRef ([in,out] Point *p)
HRESULT GetPoint ([out,retval] Point *p)
}
値と参照をプラットフォーム呼び出しにマーシャリングする際に使用されるものと同じ規則が、COM インターフェイスを介してマーシャリングする際にも使用されます。 たとえば、Point
値型のインスタンスが .NET Framework から COM に渡されるとき、Point
は値によって渡されます。 Point
値型が参照によって渡される場合、Point
へのポインターはスタックで渡されます。 相互運用マーシャラーでは、どちらの方向についても、より高いレベルの間接参照 (Point **) はサポートされていません。
Note
LayoutKind 列挙値が LayoutKind に設定された構造体は、エクスポートされたタイプ ライブラリが明示的なレイアウトを表現できないので、COM 相互運用で使用することはできません。
システムの値型
System 名前空間には、ランタイムのプリミティブ型のボックス化された形式を表す、いくつかの値型があります。 たとえば、値型 System.Int32 構造体は、System.Int32 のボックス化された形式を表します。 これらの型は、書式設定された他の型のように構造体としてマーシャリングするのではなく、それらがボックス化するプリミティブ型と同じ方法でマーシャリングします。 そのため、System.Int32 は、long 型の 1 つのメンバーを含む構造体としてではなく、ELEMENT_TYPE_I4 としてマーシャリングされます。 次の表には、プリミティブ型のボックス化された表現である、System 名前空間にある値型の一覧が含まれています。
システムの値型 | 要素型 |
---|---|
System.Boolean | ELEMENT_TYPE_BOOLEAN |
System.SByte | ELEMENT_TYPE_I1 |
System.Byte | ELEMENT_TYPE_UI1 |
System.Char | ELEMENT_TYPE_CHAR |
System.Int16 | ELEMENT_TYPE_I2 |
System.UInt16 | ELEMENT_TYPE_U2 |
System.Int32 | ELEMENT_TYPE_I4 |
System.UInt32 | ELEMENT_TYPE_U4 |
System.Int64 | ELEMENT_TYPE_I8 |
System.UInt64 | ELEMENT_TYPE_U8 |
System.Single | ELEMENT_TYPE_R4 |
System.Double | ELEMENT_TYPE_R8 |
System.String | ELEMENT_TYPE_STRING |
System.IntPtr | ELEMENT_TYPE_I |
System.UIntPtr | ELEMENT_TYPE_U |
System 名前空間にある他の値型は、処理が異なります。 アンマネージド コードではこれらの型の形式が既に確立されているため、マーシャラーには、それらをマーシャリングするための特別な規則があります。 次の表では、System 名前空間にある特殊な値型、およびそれらがマーシャリングされるアンマネージ型を一覧で示します。
システムの値型 | IDL 型 |
---|---|
System.DateTime | DATE |
System.Decimal | DECIMAL |
System.Guid | GUID |
System.Drawing.Color | OLE_COLOR |
次のコードでは、Stdole2 タイプ ライブラリにあるアンマネージ型の DATE、GUID、DECIMAL、および OLE_COLOR の定義を示します。
タイプ ライブラリの表現
typedef double DATE;
typedef DWORD OLE_COLOR;
typedef struct tagDEC {
USHORT wReserved;
BYTE scale;
BYTE sign;
ULONG Hi32;
ULONGLONG Lo64;
} DECIMAL;
typedef struct tagGUID {
DWORD Data1;
WORD Data2;
WORD Data3;
BYTE Data4[ 8 ];
} GUID;
次のコードでは、マネージド IValueTypes
インターフェイスでの対応する定義を示します。
Public Interface IValueTypes
Sub M1(d As System.DateTime)
Sub M2(d As System.Guid)
Sub M3(d As System.Decimal)
Sub M4(d As System.Drawing.Color)
End Interface
public interface IValueTypes {
void M1(System.DateTime d);
void M2(System.Guid d);
void M3(System.Decimal d);
void M4(System.Drawing.Color d);
}
タイプ ライブラリの表現
[…]
interface IValueTypes : IDispatch {
HRESULT M1([in] DATE d);
HRESULT M2([in] GUID d);
HRESULT M3([in] DECIMAL d);
HRESULT M4([in] OLE_COLOR d);
};
関連項目
.NET