ワークフローサービスへのトランザクションのフロー

[アーティクル]
04/07/2023

ワークフローサービスとワークフロークライアントはトランザクションに参加できます。サービス操作をアンビエントトランザクションの一部にするには、Receive アクティビティを TransactedReceiveScope アクティビティの中に配置します。 Send 内の SendReply または TransactedReceiveScope アクティビティによる呼び出しが行われると、アンビエントトランザクション内でも呼び出しが行われます。ワークフロークライアントアプリケーションでは、TransactionScope アクティビティを使用してアンビエントトランザクションを作成し、そのアンビエントトランザクションを使用してサービス操作を呼び出すことができます。ここでは、トランザクションに参加するワークフローサービスとワークフロークライアントを作成する手順について説明します。

警告

ワークフローサービスインスタンスがトランザクション内に読み込まれて、ワークフローに Persist アクティビティが含まれている場合、ワークフローインスタンスはトランザクションがタイムアウトになるまでブロックされます。

重要

TransactedReceiveScope を使用する場合は、ワークフロー内のすべての受信を TransactedReceiveScope アクティビティに配置することをお勧めします。

重要

TransactedReceiveScope を使用して、メッセージが不適切な順序で到着する場合、最初の順序を無視したメッセージを配信しようとするとワークフローは中止されます。ワークフローがアイドル状態である場合、ワークフローは常に一致する停止ポイントにあるようにする必要があります。これによって、ワークフローが中止された場合、前の永続性ポイントからワークフローを再開することができます。

共有ライブラリの作成

新しい空の Visual Studio ソリューションを作成します。
Common という新しいクラスライブラリプロジェクトを追加します。次のアセンブリへの参照を追加します。
- System.Activities.dll
- System.ServiceModel.dll
- System.ServiceModel.Activities.dll
- System.Transactions.dll

PrintTransactionInfo という新しいクラスを Common プロジェクトに追加します。このクラスは NativeActivity の派生クラスで、Execute メソッドをオーバーロードします。

using System;  
using System;  
using System.Activities;  
using System.Transactions;  

namespace Common  
{  
    public class PrintTransactionInfo : NativeActivity  
    {  
        protected override void Execute(NativeActivityContext context)  
        {  
            RuntimeTransactionHandle rth = context.Properties.Find(typeof(RuntimeTransactionHandle).FullName) as RuntimeTransactionHandle;  

            if (rth == null)  
            {  
                Console.WriteLine("There is no ambient RuntimeTransactionHandle");  
            }  

            Transaction t = rth.GetCurrentTransaction(context);  

            if (t == null)  
            {  
                Console.WriteLine("There is no ambient transaction");  
            }  
            else  
            {  
                Console.WriteLine("Transaction: {0} is {1}", t.TransactionInformation.DistributedIdentifier, t.TransactionInformation.Status);  
            }  
        }  
    }  

}

これは、アンビエントトランザクションに関する情報を表示するネイティブアクティビティで、ここで使用するサービスワークフローとクライアントワークフローの両方で使用されます。ソリューションをビルドして、このアクティビティを [ツールボックス] の [Common] セクションで使用できるようにします。

ワークフローサービスの実装

WorkflowService という新しい WCF ワークフローサービスを Common プロジェクトに追加します。そのためには、Common プロジェクトを右クリックし、[追加]、[新しい項目] の順に選択します。次に、[インストールされているテンプレート] で [ワークフロー] を選び、[WCF ワークフローサービス] を選択します。
既定の ReceiveRequest アクティビティと SendResponse アクティビティを削除します。
WriteLine アクティビティを Sequential Service アクティビティにドラッグアンドドロップします。次の例に示すように、Text プロパティを "Workflow Service starting ..." に設定します。

![シーケンシャルサービスアクティビティへの WriteLine アクティビティの追加 (./media/flowing-transactions-into-and-out-of-workflow-services/add-writeline-sequential-service.jpg)
TransactedReceiveScope を WriteLine アクティビティの後にドラッグアンドドロップします。 TransactedReceiveScope アクティビティは、[ツールボックス] の [Messaging] セクションにあります。 TransactedReceiveScope アクティビティは、Request と Body の 2 つのセクションで構成されています。 Request セクションには、Receive アクティビティが含まれます。 Body セクションには、メッセージの受信後にトランザクション内で実行されるアクティビティが含まれます。
TransactedReceiveScope アクティビティを選択し、[変数] ボタンをクリックします。次の変数を追加します。

Note

既定で含まれているデータ変数は削除してかまいません。既存のハンドル変数を使用することもできます。
Receive アクティビティを TransactedReceiveScope アクティビティの Request セクションにドラッグアンドドロップします。次のプロパティを設定します。

Property [値]

CanCreateInstance True (チェックボックスをオンにする)

OperationName StartSample

ServiceContractName ITransactionSample

ワークフローは次のようになります。
Receive アクティビティの [定義...] リンクをクリックし、次の設定を行います。
Sequence アクティビティを TransactedReceiveScope の Body セクションにドラッグアンドドロップします。 Sequence アクティビティに 2 つの WriteLine アクティビティをドラッグアンドドロップし、Text プロパティを次の表のとおりに設定します。

アクティビティ [値]

1 つ目の WriteLine "Service: Receive Completed"

2 つ目の WriteLine "Service: Received = " + requestMessage

ワークフローは次のようになります。
PrintTransactionInfo アクティビティを、TransactedReceiveScope アクティビティの Body の 2 つ目の WriteLine アクティビティの後にドラッグアンドドロップします。
Assign アクティビティを PrintTransactionInfo アクティビティの後にドラッグアンドドロップし、次の表のとおりにプロパティを設定します。

プロパティ [値]

終了 replyMessage

[値] "Service: Sending reply."
WriteLine アクティビティを Assign アクティビティの後にドラッグアンドドロップし、Text プロパティを "Service: Begin reply" に設定します。

ワークフローは次のようになります。
Receive アクティビティを右クリックして [SendReply の作成] を選択し、最後の WriteLine アクティビティの後に貼り付けます。 SendReplyToReceive アクティビティの [定義...] リンクをクリックし、次の設定を行います。
WriteLine アクティビティを SendReplyToReceive アクティビティの後にドラッグアンドドロップし、Text プロパティを "Service: Reply sent" に設定します。
WriteLine アクティビティをワークフローの末尾にドラッグアンドドロップし、Text プロパティを "Service: Workflow ends, press ENTER to exit" に設定します。

完成したサービスワークフローは次のようになります。

Property	[値]
CanCreateInstance	True (チェックボックスをオンにする)
OperationName	StartSample
ServiceContractName	ITransactionSample

アクティビティ	[値]
1 つ目の WriteLine	"Service: Receive Completed"
2 つ目の WriteLine	"Service: Received = " + requestMessage

プロパティ	[値]
終了	replyMessage
[値]	"Service: Sending reply."

ワークフロークライアントの実装

WorkflowClient という新しい WCF ワークフローアプリケーションを Common プロジェクトに追加します。そのためには、Common プロジェクトを右クリックし、[追加]、[新しい項目] の順に選択します。次に、[インストールされているテンプレート] で [ワークフロー] を選び、[アクティビティ] を選択します。
Sequence アクティビティをデザイン画面にドラッグアンドドロップします。
Sequence アクティビティを WriteLine アクティビティにドラッグアンドドロップし、Text プロパティを "Client: Workflow starting" に設定します。ワークフローは次のようになります。
TransactionScope アクティビティを WriteLine アクティビティの後にドラッグアンドドロップします。 TransactionScope アクティビティを選択し、[変数] をクリックして次の変数を追加します。
Sequence アクティビティを TransactionScope アクティビティの Body セクションにドラッグアンドドロップします。
PrintTransactionInfo アクティビティを Sequence アクティビティにドラッグアンドドロップします。
WriteLine アクティビティを PrintTransactionInfo アクティビティの後にドラッグアンドドロップし、その Text プロパティを "Client: Beginning Send" に設定します。ワークフローは次のようになります。
Send アクティビティを Assign アクティビティの後にドラッグアンドドロップし、次のプロパティを設定します。

プロパティ [値]

EndpointConfigurationName workflowServiceEndpoint

OperationName StartSample

ServiceContractName ITransactionSample

ワークフローは次のようになります。
[定義...] リンクをクリックし、次の設定を行います。
Send アクティビティを右クリックし、[ReceiveReply の作成] を選択します。 ReceiveReply アクティビティが Send アクティビティの後に自動的に配置されます。
ReceiveReplyForSend アクティビティの [定義] リンクをクリックし、次の設定を行います。
WriteLine アクティビティを Send アクティビティと ReceiveReply アクティビティの間にドラッグアンドドロップし、Text プロパティを "Client: Send complete" に設定します。
WriteLine アクティビティを ReceiveReply アクティビティの後にドラッグアンドドロップし、Text プロパティを "Client side: Reply received = " + replyMessage に設定します。
PrintTransactionInfo アクティビティを WriteLine アクティビティの後にドラッグアンドドロップします。
WriteLine アクティビティをワークフローの末尾にドラッグアンドドロップし、Text プロパティを "Client workflow ends" に設定します。完成したクライアントワークフローは次の図のようになります。
ソリューションをビルドします。

プロパティ	[値]
EndpointConfigurationName	workflowServiceEndpoint
OperationName	StartSample
ServiceContractName	ITransactionSample

サービスアプリケーションの作成

Service という新しいコンソールアプリケーションプロジェクトをソリューションに追加します。次のアセンブリへの参照を追加します。
1. System.Activities.dll
2. System.ServiceModel.dll
3. System.ServiceModel.Activities.dll

生成された Program.cs ファイルを開き、次のコードを追加します。

      static void Main()  
      {  
          Console.WriteLine("Building the server.");  
          using (WorkflowServiceHost host = new WorkflowServiceHost(new DeclarativeServiceWorkflow(), new Uri("net.tcp://localhost:8000/TransactedReceiveService/Declarative")))  
          {
              //Start the server  
              host.Open();  
              Console.WriteLine("Service started.");  

              Console.WriteLine();  
              Console.ReadLine();  
              //Shutdown  
              host.Close();  
          };
      }

次の app.config ファイルをプロジェクトに追加します。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>  
<!-- Copyright © Microsoft Corporation.  All rights reserved. -->  
<configuration>  
    <system.serviceModel>  
        <bindings>  
            <netTcpBinding>  
                <binding transactionFlow="true" />  
            </netTcpBinding>  
        </bindings>  
    </system.serviceModel>  
</configuration>

クライアントアプリケーションを作成する

Client という新しいコンソールアプリケーションプロジェクトをソリューションに追加します。 System.Activities.dll への参照を追加します。

program.cs ファイルを開き、次のコードを追加します。

class Program  
{  

    private static AutoResetEvent syncEvent = new AutoResetEvent(false);  

    static void Main(string[] args)  
    {  
        //Build client  
        Console.WriteLine("Building the client.");  
        WorkflowApplication client = new WorkflowApplication(new DeclarativeClientWorkflow());  
        client.Completed = Program.Completed;  
        client.Aborted = Program.Aborted;  
        client.OnUnhandledException = Program.OnUnhandledException;  
        //Wait for service to start  
        Console.WriteLine("Press ENTER once service is started.");  
        Console.ReadLine();  

        //Start the client
        Console.WriteLine("Starting the client.");  
        client.Run();  
        syncEvent.WaitOne();  

        //Sample complete  
        Console.WriteLine();  
        Console.WriteLine("Client complete. Press ENTER to exit.");  
        Console.ReadLine();  
    }  

    private static void Completed(WorkflowApplicationCompletedEventArgs e)  
    {  
        Program.syncEvent.Set();  
    }  

    private static void Aborted(WorkflowApplicationAbortedEventArgs e)  
    {  
        Console.WriteLine("Client Aborted: {0}", e.Reason);  
        Program.syncEvent.Set();  
    }  

    private static UnhandledExceptionAction OnUnhandledException(WorkflowApplicationUnhandledExceptionEventArgs e)  
    {  
        Console.WriteLine("Client had an unhandled exception: {0}", e.UnhandledException);  
        return UnhandledExceptionAction.Cancel;  
    }  
}

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ワークフローサービスへのトランザクションのフロー

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ワークフローサービスの実装

ワークフロークライアントの実装

サービスアプリケーションの作成

クライアントアプリケーションを作成する

関連項目

その他のリソース

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ワークフロー クライアントの実装

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