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方法: 開発中に使用する一時的な証明書を作成する

Windows Communication Foundation (WCF) を使用して、セキュリティで保護されたサービスまたはクライアントを開発しているときに、資格情報として使用される X.509 証明書を指定することが必要になることがよくあります。 証明書は通常、単独ではなく、いくつもの証明書が信頼チェーンとしてつながった形で存在しており、その最上位に位置するルート証明機関の証明書は、各コンピューターの [信頼されたルート証明機関] の証明書ストアに格納されています。 証明書を調べて順に信頼チェーンをたどっていくと、たとえば所属する会社や事業部門が運営する、ルート証明機関に到達します。 開発時にこの過程をエミュレートするためには、セキュリティ要件を満たす 2 種類の証明書を作る必要があります。 1 つは自己署名証明書で、[信頼されたルート証明機関] の証明書ストアに配置します。もう 1 つは、先の自己署名証明書を使って署名を施した証明書で、[ローカル コンピューター] の [個人] ストア、または [現在のユーザー] の [個人] ストアに配置します。 このトピックでは、PowerShell の New-SelfSignedCertificate) コマンドレットを使用して、これらの 2 つの証明書を作成する手順について説明します。

重要

New-SelfSignedCertificate コマンドレットによって生成される証明書は、テスト目的でのみ提供されます。 実際にサービスやクライアントを業務に使用する際には、証明機関から取得した、適切な証明書が必要です。 これは、所属組織の Windows Server 証明書サーバーから取得するか、またはサード パーティから取得できます。

既定では、New-SelfSignedCertificate コマンドレットによって自己署名の証明書が作成されますが、これらの証明書は安全ではありません。 信頼されたルート証明機関ストア内に自己署名証明書を配置することで、展開環境をより忠実にシミュレートする開発環境を作成できます。

証明書の作成と使用の詳細については、「証明書の使用」を参照してください。 証明書を資格情報として使用する方法の詳細については、「サービスおよびクライアントのセキュリティ保護」を参照してください。 Microsoft Authenticode テクノロジの使用方法については、「 Authenticode Overviews and Tutorials (Authenticode の概要とチュートリアル)」を参照してください。

自己署名ルート証明書を作成して秘密キーをエクスポートするには

次のコマンドでは、現在のユーザーの個人用ストア内に、サブジェクト名が "RootCA" の自己署名証明書が作成されます。

$rootCert = New-SelfSignedCertificate -CertStoreLocation Cert:\CurrentUser\My -DnsName "RootCA" -TextExtension @("2.5.29.19={text}CA=true") -KeyUsage CertSign,CrlSign,DigitalSignature

この証明書を PFX ファイルにエクスポートして、後の手順で必要な場所にインポートできるようにする必要があります。 証明書を秘密キーと共にエクスポートする際には、証明書を保護するためにパスワードが必要です。 パスワードを SecureString に保存し、Export-PfxCertificate コマンドレットを使用して、証明書を関連付けられている秘密キーと共に PFX ファイルにエクスポートします。 また、Export-Certificate コマンドレットを使用して、公開証明書のみを CRT ファイルに保存します。

[System.Security.SecureString]$rootCertPassword = ConvertTo-SecureString -String "password" -Force -AsPlainText
[String]$rootCertPath = Join-Path -Path 'cert:\CurrentUser\My\' -ChildPath "$($rootCert.Thumbprint)"
Export-PfxCertificate -Cert $rootCertPath -FilePath 'RootCA.pfx' -Password $rootCertPassword
Export-Certificate -Cert $rootCertPath -FilePath 'RootCA.crt'

ルート証明書によって署名された新しい証明書を作成するには

次のコマンドでは、発行者の秘密キーを使用して、RootCA によって署名された、サブジェクト名が "SignedByRootCA" の証明書が作成されます。

$testCert = New-SelfSignedCertificate -CertStoreLocation Cert:\LocalMachine\My -DnsName "SignedByRootCA" -KeyExportPolicy Exportable -KeyLength 2048 -KeyUsage DigitalSignature,KeyEncipherment -Signer $rootCert

同様に、署名された証明書を秘密キーと共に PFX ファイルに保存し、公開キーのみを CRT ファイルに保存します。

[String]$testCertPath = Join-Path -Path 'cert:\LocalMachine\My\' -ChildPath "$($testCert.Thumbprint)"
Export-PfxCertificate -Cert $testCertPath -FilePath testcert.pfx -Password $rootCertPassword
Export-Certificate -Cert $testCertPath -FilePath testcert.crt

信頼されたルート証明機関の証明書ストアに証明書をインストールする

作成された自己署名証明書は、[信頼されたルート証明機関] の証明書ストアにインストールできます。 この証明書で署名された証明書は、この時点で信頼できるものと見なされるようになります。 したがって、この証明書が不要になった場合は、直ちに証明書ストアから削除してください。 この証明書を削除すると、それを使って署名した証明書は認証されなくなります。 ルート証明機関の証明書は、必要に応じて一連の証明書を有効化する手段の 1 つにすぎません。 たとえばピアツーピア アプリケーションの場合、証明書が提示されれば相手の識別情報を信頼できるので、ルート証明機関は必要ないのが普通です。

自己署名証明書を信頼されたルート証明機関としてインストールするには

  1. 証明書スナップインを開きます。 詳細については、「 方法: MMC スナップインを使用して証明書を参照する」をご覧ください。

  2. 証明書の格納先となる、 [ローカル コンピューター] または [現在のユーザー]のフォルダーを開きます。

  3. [信頼されたルート証明機関] フォルダーを開きます。

  4. [証明書] フォルダーを右クリックして、 [すべてのタスク]メニューの [インポート]を実行します。

  5. 画面上のウィザードの指示に従って、RootCA.pfx をストアにインポートします。

WCF で証明書を使用する

一時的な証明書を設定したら、それを使用して、クライアント資格情報の種類として証明書を指定する WCF ソリューションを開発できます。 たとえば、次の XML 構成では、メッセージ セキュリティを設定して、クライアント資格情報の種類として証明書を指定しています。

クライアント資格情報の種類として証明書を指定するには

  1. サービスの構成ファイルで、次の XML を使用して、セキュリティ モードをメッセージに、クライアント資格情報の種類を証明書に設定します。

    <bindings>
      <wsHttpBinding>
        <binding name="CertificateForClient">
          <security>
            <message clientCredentialType="Certificate" />
          </security>
        </binding>
      </wsHttpBinding>
    </bindings>
    
  2. クライアントの構成ファイルで、次の XML を使用して、証明書がユーザーのストア内にあり、SubjectName フィールドで "CohoWinery" という値を検索して見つけられることを指定します。

    <behaviors>
      <endpointBehaviors>
        <behavior name="CertForClient">
          <clientCredentials>
            <clientCertificate findValue="CohoWinery" x509FindType="FindBySubjectName" />
          </clientCredentials>
        </behavior>
      </endpointBehaviors>
    </behaviors>
    

WCF での証明書の使用に関する詳細については、「 Working with Certificates」を参照してください。

.NET Framework のセキュリティ

一時的なルート証明書は、不要になったら [信頼されたルート証明機関] フォルダーや [個人] フォルダーから確実に削除してください。削除するには、証明書を右クリックし、 [削除]をクリックします。

関連項目