さまざまなデバイスに対応したゲームプレイの設計

このチュートリアルでは、次の内容を学びます。

  • Minecraft: Bedrock Edition のさまざまなデバイスに対応したマップを設計する際に知っておく必要があるさまざまな概念。

この記事では、Bedrock エンジンでサポートされている幅広い種類のデバイスでプレイされる Minecraft: Bedrock Edition のコンテンツを設計する際の、いくつかの重要なトピックと考慮事項について説明します。

マップを作成するときは、操作方法、画面サイズ、処理能力が大きく異なる多種多様なデバイスでコンテンツがプレイされることに留意することが重要です。 Minecraft: Java Edition 用のマップを作成するマップ制作者は、マップにどれだけ負荷の高いテクノロジーを投入しても、大部分のプレイヤーがそれを十分に処理できるデバイスを使用しているとほぼ想定できます。 Bedrock Edition のマップ制作者にはもっと鋭い洞察力が必要です。

Bedrock Edition ユーザーのうち、Windows 10 PC でプレイするユーザーは比較的少数です。 残りのユーザーは、そのエンジンでサポートされているさまざまな携帯電話やコンソールを使用します。 これは、コンテンツ開発の大部分が PC 上で行われる可能性が高いにもかかわらず、統計的にはキーボードとマウスのユーザーが設計の中心とすべき最後のグループであるということを意味します。

この記事では、マルチプラットフォームのエコシステムにおいてコンテンツが直面する一般的な問題のいくつかを概説しますが、すべてを示すことはできません。 これらの概念を学んだうえで、さまざまな方法で操作される、拡大し続けるプラットフォームに対応したコンテンツを開発することが最も重要です。 プレイアビリティと柔軟性という設計概念を開発プロセスの中心に組み込んでください。

パフォーマンス

Bedrock Edition はほとんどの携帯電話で利用できますが、その中には PC より RAM が少ないものも含まれます。 言うまでもなく、それらのデバイスでは、多数のコマンドを使用するミニゲームや多数のカスタム モデルを含むアドベンチャー マップのような負荷の高いコンテンツを実行することが困難になります。 制作者の重要なスキルの 1 つは、自分のクリエイティブなビジョンを実現するために必要なコンテンツの複雑さをバランスよく調整して、製品が複雑になるほど一部のプレイヤーにとってプレイしにくくなるということに留意しながら高品質な製品を作り出すことです。

描画距離

低パフォーマンスなデバイスのユーザーは、最大描画距離を開発時の値よりも小さい値にしか設定できない場合があります。 たとえば、ローエンド デバイスでは半径 6 または 8 チャンクしかレンダリングできないことがあります。 世界を設計および構築するときは、プレイヤーの視界が限られている場合があることに留意してください。 可能な限り、得点表示、看板、その他のディスプレイなどの重要な情報は、最も短い描画距離でも見えるように設計します。 はるか遠くのビーコンに向かって歩くようプレイヤーに指示する代わりに、従うべき "ナビゲーション" (小道や一連のビーコンなど) をプレイヤーに与えて、描画距離が短くても道をたどれるようにしてください。 そのためには、うっかり大きい描画距離を前提としてマップ全体を設計してしまうことのないよう、世界を設計するときに何らかの計画とイテレーションが必要になるかもしれません。

これは建物のスタイルにも当てはまります。 短い描画距離のプレイヤーにマップがどう見えるかを考慮しましょう。 描画距離を 8 にしても、摩天楼はきちんと見えていますか? 見えていない場合は、建物のスタイルに細かなディテールを加えて、一度にマップ全体を見ることができないプレイヤーにより豊かな体験を提供できるような方法を検討してください。

効果音

人々は携帯電話を、医院、公共交通機関、長距離ドライブの車の中など、さまざまな場所で使用します。 モバイル ゲームのプレイ中に電話をミュートしたり音量を下げたままにすることはよくあります。 マップ内の効果音を設計するときは、その点に留意してください。

一般論として、何かが聞こえなかったためにプレイヤーが立ち往生することがないようにしてください。 せりふや重要な効果音など、ほとんどの場合では、音声で聞こえる内容をチャット メッセージでミラーリングするだけで済みます。 これは非常に良いゲーム設計です。 プレイヤーが NPC の言ったことを忘れてしまった場合は、チャットを確認するかクエスト ブックを開いてダブルチェックできる必要があります。 さらに、音声にキャプションを付けると、難聴または聴覚障碍のあるプレイヤーがコンテンツにアクセスできるようになります。

チャット メッセージでキャプションを付けられない音声が機能にどうしても必要な場合は、プレイヤーがその機能を別のやり方で操作するか、または完全にスキップできるような方法を考えてください。

操作とコントロール

さまざまな操作方法で世界とやり取りする場合の大きな違いの 1 つが、エンティティの操作です。 タッチスクリーン デバイスでは、繁殖、餌やり、取引などのモブの操作はすべて、プレイヤーがエンティティを見たときに画面上に表示される二次ボタンで行います。 そのため、いくつかの点に特に注意する必要があります。

第一に、マップ制作者は、カスタムのエンティティの動作 に含まれるすべての操作コンポーネントinteract_text または同等のパラメーターを使用して、タッチスクリーンのプレイヤーがエンティティを見たときにこの操作ボタン上に表示されるテキストを設定する必要があります。 これは、エンティティが操作可能であることをプレイヤーに知らせ、それを操作したときに何が起こるかを明白に伝えられるようにするために非常に重要です。

第二に、タッチ フレンドリーな動作を念頭に置いたカスタム エンティティを作成するよう心がけてください。 たとえば、ある特定のアイテムを使用してモブを操作できる場合、プレイヤーがその種類のアイテムを持っているときに、モブをプレイヤーに向かって移動させる優先度の高い目標をモブに与えることを検討してください。 これにより、プレイヤーが操作ボタンを使おうとしたときにモブが不意に立ち去り、誤ってモブをパンチしてしまうのを防げます。

タッチスクリーン デバイスは、他のデバイスよりもボタンの数が少ないという点において、別の特殊な事情をマップ制作者にもたらします。 たとえば、キーボードを使っているプレイヤーは、持っているアイテムを地面に落とすときに Q キー (デフォルトの場合) を押しますが、タッチスクリーンのプレイヤーがアイテムを落とすにはホットバーで 2 秒以上アイテムを長押しする必要があります。 タッチスクリーン デバイスのプレイヤーには、コンソールやマウスとキーボードのプレイヤーのような "ブロック選択" ボタンもありません。

モーターの細かい制御

難易度の高いパルクール コースなど、正確なモーターの制御やタイミングを必要とするマップ要素は、タッチスクリーンやコンソールでプレイすると制作者の想定以上に難しくなってしまう可能性があります。 原則として、マウスとキーボードで "難しい" 操作は、タッチスクリーンの多くのユーザーにとって不可能だと考えたほうがよいでしょう。

もちろんこれは一般論であり、タッチスクリーンやコンソールの長年のユーザーの多くは自分のデバイスをきわめて正確かつ巧みに操作できます。 タッチスクリーンは本質的に劣るデバイスというわけではありませんが、マウスとキーボードのプレイヤーにとっては当たり前のレベルの正確さに達するには、より急勾配の学習曲線が必要になる可能性があります。 これが、複数のデバイスでのテストが非常に重要となるもう 1 つのケースです。 制作者が長年のマウスとキーボードのユーザーである場合、ほとんどのプレイヤーが行っている方法でゲームを体験すると、当たり前と思っていたことに驚かされるでしょう。

プレイヤーによっては、ピクセルレベルの正確なタイミングを求められるジャンプや、空中で角を曲がるなどの難易度の高い操作が難しい可能性があるということを考慮してください。 プレイヤーが多数の敵と同時に戦わなければならないなどの複雑な戦闘シチュエーションも、操作方法によっては制御が難しいことがあります。 もちろん、ゲームをどのように設計するかは制作者の自由です。 "真空状態のステンドグラス窓の上での超長距離パルクール: マップ" を作成しようとしても誰も止めませんが、プレイヤー ベースの大部分を遠ざけるおそれがある決定に関しては慎重になる必要があります。

次のステップ

ここに示したのは、Bedrock Edition 向けのコンテンツを設計する際に留意する必要がある具体的な考慮事項のごく一部です。 マップ設計の決定においてクロスプラットフォーム プレイを考慮することは、すべてのプレイヤーにとって楽しく魅力的なコンテンツを開発するための重要なスキルです。 では、いくつかのデバイスを用意して作業を始めましょう!

これらすべてを念頭に置きながら、マップの作成に向けた次のステップに進みましょう。ゲームの世界とのやり取りをさらに充実させるコマンドブロックの使用から、ビヘイビアー パックを使用したエンティティのさまざまな動作の制御まで、多くのステップがあります。 また、カスタム マップの作成を容易にするツールもたくさんあります。