MED-V 2.0 の展開の概要
適用対象: Microsoft Enterprise Desktop Virtualization 2.0
ここでは、Microsoft Enterprise Desktop Virtualization (MED-V) 2.0 のインストールと展開に関する全般的な情報を示します。
概要
MED-V 2.0 は、アプリケーションを展開するのと同じ方法で MED-V を展開、管理するというアプリケーション モデルに基づいています。展開した MED-V ソリューションには、MED-V ホスト エージェント、およびゲスト エージェントという 2 つのコンポーネントが含まれます。MED-V ホスト エージェントは Windows 7 デスクトップに、MED-V ゲスト エージェントは MED-V ワークスペース内の Windows XP にインストールされます。また、MED-V には、MED-V ワークスペースの作成と構成に必要な情報とツールが搭載された MED-V スペース パッケージャーも含まれています。
重要
MED-V ワークスペース パッケージャー、MED-V ホスト エージェント、および MED-V ワークスペースは、すべてのユーザー用のみにインストールすることができます。ALLUSERS="" を選択して、MED-V を現在のユーザー用のみにインストールしようとすると、コンポーネントのインストールと MED-V ワークスペースのセットアップでエラーが発生します。
MED-V インストール ファイル
MED-V には、MED-V を実行するのにインストールする必要がある、次のインストール ファイルが含まれています。
MED-V ホスト エージェントのインストール ファイル
ホスト エージェントのインストール ファイルには、MED-V_HostAgent_Setup.exe という名前が付いています。このファイルは、MED-V をエンタープライズ全体に展開するときに、対象の各エンド ユーザーのコンピューターに配布されてインストールされます。
MED-V ワークスペース パッケージャーのインストール ファイル
MED-V ワークスペース パッケージャーのインストール ファイルには、MED-V_WorkspacePackager_Setup.exe という名前が付いています。このファイルを使用して、管理者権限とアクセス許可のあるコンピューターに MED-V ワークスペース パッケージャーをインストールします。MED-V ワークスペース パッケージャーは、デスクトップ管理者が MED-V ワークスペースを作成、および管理するのに使います。
注意
MED-V ゲスト エージェントは、初回セットアップ中に自動的にインストールされます。
MED-V の展開プロセス
次に、MED-V のインストールと展開プロセスの概要を示します。
MED-V ワークスペース パッケージのビルドに使用し、管理者の資格情報を持っているコンピューターに MED-V ワークスペース パッケージャーをインストールします。詳細については、「MED-V ワークスペース パッケージャーをインストールする方法」を参照してください。
MED-V ワークスペース パッケージャーを使用して、MED-V イメージを準備し、MED-V ワークスペース パッケージを作成します。詳細については、「MED-V での操作」を参照してください。
MED-V の必須コンポーネントをエンタープライズ全体に展開します。MED-V の必須コンポーネントは、Windows Virtual PC、MED-V ホスト エージェント、および MED-V ワークスペースです。
重要
MED-V のコンポーネントをインストールするには、管理者の資格情報が必要です。エンド ユーザーが MED-V をインストールしようとすると、管理者の資格情報を入力するようにというメッセージが表示されます。電子ソフトウェア配布 (ESD) システムを使ってインストールする場合は、管理者の資格情報をコンテキストに含めることもできます。
MED-V のコンポーネント
エンタープライズ全体に展開する MED-V のコンポーネントは、次のもので構成されています。
Windows Virtual PC
MED-V は、互換性の問題を解決するソリューションとして、Windows Virtual PC イメージの中で機能します。Windows Virtual PC、および Windows 7 用の更新プログラム (KB977206) が必要です。詳細については、「インストールの前提条件の構成」を参照してください。
MED-V ホスト エージェントのインストール ファイル
MED-V_HostAgent_Setup.exe
MED-V ワークスペースのインストール ファイル
MED-V ワークスペースのインストール ファイルは、MED-V ワークスペース パッケージをビルドするときに作成されます。このインストール ファイルは、次のファイルで構成されます。
setup.exe 実行可能プログラム。MED-V ワークスペースのインストールを実行します。
<MED-V ワークスペース名>.msi インストーラー
<VHD ファイル名>.medv ファイル。圧縮された仮想ハード ディスクです。
構成設定用ファイル (<ワークスペース名>.reg と <ワークスペース名>.ps1)
MED-V を展開するには、まず、すべての必須インストール ファイルを、ホスト コンピューターにコピーするか、ホスト コンピューターからアクセス可能な共有場所に保存します。次に、Windows Virtual PC、MED-V ホスト エージェント、および MED-V ワークスペースのコンポーネント インストール ファイルを実行します。最後に、MED-V ホスト エージェントを起動し、MED-Vの初回セットアップを完了します。
インストールを手動で実行することもできます。しかし、コンポーネントの展開を自動化できる電子ソフトウェア配布システムを使用することをお勧めします。詳細については、「電子ソフトウェア配布システムを使用して MED-V ワークスペースを展開する方法」を参照してください。
注意
インストール オプションを制御するコマンド ライン引数の詳細については、「MED-V インストール ファイルのコマンド ライン オプション」を参照してください。
展開手順
エンタープライズ全体に MED-V を展開する手順は、インストールおよび初回セットアップという 2 段階に分かれています。
インストール
Windows Virtual PC - インストールするときに、MED-V は、Windows Virtual PC、および Windows 7 用の必須更新プログラム (KB977206) が既にインストール済みかどうかを確認します。詳細については、「インストールの前提条件の構成」を参照してください。
Windows Virtual PC と更新プログラムは、MED-V をインストールする前に Windows 7 のインストールの一部として、または MED-V の配布時にインストールすることができます。ただし、MED-V には、Windows Virtual PC と更新プログラムの展開用メカニズムが備わっていないので、電子ソフトウェア配布 (ESD) システムを使用するか、Windows 7 イメージの一部として展開する必要があります。
重要
MED-V のコンポーネントをバッチ ファイルを使ってインストールする場合のベスト プラクティスは、MED-V ホスト エージェントと MED-V ワークスペース パッケージ ファイルの後に、Windows Virtual PC とその修正プログラムがインストールされるように指定することです。このようにすると、Windows Update によって再起動が要求されないので、インストールが中断されることはありません。
注意
Windows Virtual PC をインストールした後で、コンピューターを再起動する必要があります。
MED-V ホスト エージェント - MED-V を実行する Windows 7 コンピューターに MED-V ホスト エージェントをインストールします。ホスト エージェントは、MED-V ワークスペースをインストールする前にインストールする必要があります。また、コンピューターに Windows Virtual PC が既にインストールされていることを確認してください。
MED-V ワークスペース - ワークスペースのインストールに必要なファイル (setup.exe、.medv、.msi) は、MED-V ワークスペース パッケージャーを使って作成します。MED-V ワークスペースをインストールするには、setup.exe を実行します。これによって、他の必要なファイルの実行がトリガーされます。インストールによって、レジストリのローカル マシンの RUN キーの下に MED-V ホスト エージェントを起動するエントリが書き込まれます。したがって、Windows を起動するたびに MED-V が実行されるようになります。
重要
MED-V ワークスペースは、エンド ユーザーが対話式でインストールすることも、電子ソフトウェア配布システムを使用して、ユーザーの介入なしにインストールすることもできます。MED-V ワークスペースをインストールするには管理者の資格情報が必要なので、エンド ユーザーがインストールする場合は、そのコンピューターの管理者でなければなりません。一方、電子ソフトウェア配布システムを使用する場合は、通常、システムのコンテキスト内で実行されるので、十分なアクセス許可があるはずです。
ヒント
ネットワークから MED-V をインストールすると問題が発生する可能性があるので、MED-V ワークスペースのセットアップ ファイルをローカルにコピーして、setup.exe を実行することをお勧めします。
初回セットアップ
MED-V と必須コンポーネントをインストールしたら、MED-V を構成する必要があります。この時点で MED-V を構成することを、初回セットアップといいます。MED-V ワークスペース パッケージャーを使用すると、初回セットアップがサイレント モードと対話式のどちらで実行されるようにするかを構成できます。MED-V の初回セットアップでは、エンド ユーザーが MED-V ワークスペースを認証するパスワードを入力する必要がありますが、その他の処理は、ユーザーにはほとんど表示されません。初回セットアップが完了してアプリケーションが使用できることなどを通知するメッセージは、通知領域に表示されます。次に、MED-V の初回セットアップ中に行われる処理について説明します。
仮想ハード ディスクが構成されます。Mini-Setup が実行され、Windows XP イメージが展開されます。この構成は、通常、非表示のウィンドウで行われますが、表示されるように MED-V を構成することもできます。
Mini-Setup が完了したら、追加の構成 (ESD ソフトウェアや他のアプリケーションのインストール、イメージの構成など) に必要なコマンドを実行することができます。これらのコマンドを Sysprep.inf ファイルで呼び出せますが、必須コマンドではありません。詳細については、「MED-V 用の Windows Virtual PC イメージの構成」を参照してください。
構成の最終段階で FtsCompletion.exe が実行されます。このプロセスは、MED-V の構成を完了し、ユーザーが MED-V ワークスペースにアクセスできるように RDP グループに追加し、ログをコピーし、MED-V ワークスペースの準備ができたことを MED-V に知らせてから、MED-V ワークスペースを再起動します。また、MED-V ワークスペースの作成時の構成に従って、MED-V ワークスペースの管理者にユーザーを追加します。通常、FtsCompletion.exe は、Sysprep,inf ファイルで呼び出しますが、スクリプトなどの別の方法で呼び出してもかまいません。ただし、FtsCompletion.exe は、必ずワークステーションの構成の最後で呼び出す必要があることに注意してください。詳細については、「MED-V 用の Windows Virtual PC イメージの構成」を参照してください。
FtsCompletion.exe によって MED-V ワークスペースが再起動された後、エンド ユーザーがログオンします。初回セットアップ中にエンド ユーザーがパスワードを保存しなかった場合は、もう一度入力するようにというメッセージが表示されます。MED-V ワークスペースが起動し、ログオンしたエンド ユーザー用に構成されます。この構成には、グループ ポリシーの適用が含まれます。
Windows XP 用アプリケーションの互換環境に関係のあるポリシーだけを適用することをお勧めします。たとえば、デスクトップの個人用設定ポリシーは、通常、適用する必要がないので無効にします。ローカル プロファイルのみを許可する方法については、「Group Policy Settings for Roaming User Profiles (移動ユーザー プロファイルのグループ ポリシーの設定)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=205072) を参照してください。
初回セットアップが完了すると、公開アプリケーションの準備ができたことがエンド ユーザーに通知されます。エンド ユーザーは、[スタート] メニューを使用して、MED-V ワークスペースにインストールされたアプリケーションにアクセスします。
参照:
概念
その他のリソース
この情報は役に立ちましたか?MED-V のドキュメントに関するご意見ご感想を次のアドレスに送信してください。 medvdocs@microsoft.com