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キャッチオール メールボックスを構成する方法

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-05-22

ここでは、Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用して、エッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータ上のキャッチオール メールボックスにメッセージをコピーまたはリダイレクトするトランスポート ルールを構成する方法について説明します。

キャッチオール メールボックスは、通常、組織宛てに送信されたすべての電子メール メッセージを収集するために使用される組織内のメールボックスです。設定に応じて、キャッチオール メールボックスでは、すべてのメッセージを受信することも、存在しないメールボックス宛てに送信されたメッセージのみを受信することもできます。組織で受信されたメッセージをキャッチオール メールボックスにコピーまたはリダイレクトするには、エッジ トランスポート サーバー上でトランスポート ルールを構成します。

キャッチオール メールボックスを構成するには、後で説明する以下の操作を行う必要があります。

  • メールボックスの作成
  • 受信者フィルタの無効化
  • キャッチオール メールボックスにメッセージをコピーまたはリダイレクトするトランスポート ルールの構成

開始する前に

キャッチオール メールボックスを構成するには、エッジ トランスポート サーバー上で実行されるトランスポート ルールを使用する必要があります。また、エッジ トランスポート サーバーで受信者フィルタを無効にすることも必要です。この作業が必要になるのは、メッセージがエッジ ルール エージェントで処理される前に、受信者フィルタ エージェントで処理されるからです。メールボックスが存在しないためにメッセージが受信者フィルタ エージェントによって拒否されることを防ぐには、受信者フィルタを無効にする必要があります。

受信者フィルタを無効にすると、受信者フィルタ エージェントに依存する一部の機能が動作しなくなります。受信者フィルタを無効にする前に、受信者フィルタ エージェントを実行する利点を理解し、受信者フィルタ エージェントに依存する機能を把握しておく必要があります。受信者フィルタ エージェントの詳細およびスパム、サービス拒否攻撃 (DoS)、およびその他の脅威の削減にどのように役立つかについては、「受信者のフィルタ」を参照してください。

note注 :
受信者は、メッセージがハブ トランスポート サーバー上のトランスポート ルール エージェントを通過する前に解決されます。したがって、ハブ トランスポート サーバー上のトランスポート ルールを使用して、メッセージをキャッチオール メールボックスにコピーまたはリダイレクトすることはできません。

メッセージをキャッチオール メールボックスにコピーまたはリダイレクトするための新しいトランスポート ルールを作成するには、新しいトランスポート ルールを作成するための手順に従います。この手順で示すトランスポート ルールの条件、例外、およびアクションは、エッジ トランスポート サーバーで実行されるトランスポート ルールに固有です。

トランスポート ルールの詳細については、「トランスポート ルールの概要」を参照してください。

エッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータで以下の手順を実行するには、そのコンピュータのローカルの Administrators グループのメンバであるアカウントを使用してログオンする必要があります。

アクセス許可、役割の委任、および Exchange Server 2007 の管理に必要な権限の詳細については、「アクセス許可に関する考慮事項」を参照してください。

メールボックスの作成

トランスポート ルールによってコピーまたはリダイレクトされたメッセージを受信する新しいメールボックスを作成する必要があります。このメールボックスには機密性の高いメッセージが含まれる可能性があるので、このメールボックスへのアクセスを制限する必要があります。また、このメールボックスで受信するメッセージの量に応じて、以下のいずれかまたは両方の手順が必要になる可能性があります。

  • メールボックスのクォータ制限値を大きくします。
  • メッセージング レコード管理で、構成した期間よりも古いメッセージをメールボックスから自動的に削除するように構成します。

メールボックスを作成した後、このメールボックスに SMTP (簡易メール転送プロトコル) アドレスを割り当てます。

キャッチオール メールボックスを作成および管理する方法の詳細については、以下のトピックを参照してください。

受信者フィルタの無効化

キャッチオール メールボックスにメッセージをコピーまたはリダイレクトするトランスポート ルールを構成する各エッジ トランスポート サーバーで、受信者フィルタを無効にする必要があります。受信者フィルタを無効にするには、受信者フィルタ エージェントを無効にする必要があります。以下の手順では、Exchange 管理コンソールおよび Exchange 管理シェルを使用して、受信者フィルタ エージェントを無効にする方法を示します。

エッジ トランスポート サーバーで Exchange 管理コンソールを使用して受信者フィルタを無効にするには、次の操作を行います。

  1. 新しいトランスポート ルールを作成するエッジ トランスポート サーバーで Exchange 管理コンソールを開きます。

  2. コンソール ツリーで、[エッジ トランスポート] をクリックします。

  3. 結果ウィンドウで、[スパム対策] タブをクリックします。

  4. 操作ウィンドウで、[受信者のフィルタ] を右クリックし、[無効にする] をクリックします。

エッジ トランスポート サーバーで Exchange 管理シェルを使用して受信者フィルタを無効にするには、次の操作を行います。

  1. 次のコマンドを実行します。

    Disable-TransportAgent "Recipient Filter Agent"
    
  2. この操作を実行するかどうかを確認するメッセージが表示されたら、「Yes」と入力し、Enter キーを押します。

キャッチオール メールボックスにメッセージをコピーまたはリダイレクトするトランスポート ルールの構成

メッセージを受け入れるメールボックスを作成し、受信者フィルタを無効にした後、キャッチオール メールボックスにメッセージをコピーまたはリダイレクトするトランスポート ルールを作成する必要があります。このトランスポート ルールは、メッセージのコピーまたはリダイレクトを実行する各エッジ トランスポート サーバー上で構成する必要があります。

キャッチオール メールボックスを使用する多くの組織では、組織外部の送信者から受信したメッセージのみをこのメールボックスにコピーまたはリダイレクトしています。この機能を実現するには、差出人が組織の内部または外部のユーザーの場合のトランスポート ルールの条件を使用し、条件の値を外部に設定します。

組織での要件に応じて、メッセージをキャッチオール メールボックスにコピーするか、メッセージをキャッチオール メールボックスにリダイレクトするかを決定する必要があります。以下の一覧に、この 2 つの操作の違いを示します。

  • メッセージをコピーする場合   メッセージをキャッチオール メールボックスにコピーする場合、メッセージは本来の受信者に配信されると同時に、CC または BCC によって、キャッチオール メールボックスにもコピーされます。本来の受信者が存在しない場合は、送信者に配信不能レポート (NDR) が送信されます。
  • メッセージをリダイレクトする場合   メッセージをキャッチオール メールボックスにリダイレクトする場合、メッセージは本来の受信者には配信されません。メッセージはキャッチオール メールボックスにのみ送信されます。本来の受信者が存在しない場合は、送信者に NDR が送信されます。

受信者のアドレスにテキスト パターンが含まれている場合を除く例外を構成して、組織内の既存の SMTP アドレスについて、メッセージがキャッチオール メールボックスにコピーまたはリダイレクトされないようにすることも必要です。この例外では、正規表現を使用して、SMTP アドレスが組織内に存在する場合に、トランスポート ルールによってメッセージがキャッチオール メールボックスにコピーまたはリダイレクトされることを防止します。組織内の SMTP アドレスについて手動でこの例外を構成し、各 SMTP アドレスを ^ および $ パターン文字列で囲む必要があります。

正規表現の詳細については、「トランスポート ルールの正規表現」を参照してください。

important重要 :
トランスポート ルールの例外で、メッセージに含まれる 1 つ以上の SMTP アドレスが構成されている場合、組織宛てに送信されたメッセージはキャッチオール メールボックスにコピーもリダイレクトもされません。これは、メッセージに含まれる 1 つ以上の SMTP アドレスが組織内に存在しない場合でも同じです。

Exchange 管理コンソールを使用したキャッチオール メールボックスへのメッセージのコピーまたはリダイレクト

メッセージをキャッチオール メールボックスにコピーまたはリダイレクトするトランスポート ルールを構成するには、以下の手順を実行します。

エッジ トランスポート サーバーで Exchange 管理コンソールを使用してメッセージをキャッチオール メールボックスにコピーまたはリダイレクトするには、次の操作を行います。

  1. 新しいトランスポート ルールを作成するエッジ トランスポート サーバーで Exchange 管理コンソールを開きます。

  2. コンソール ツリーで、[エッジ トランスポート] をクリックします。

  3. 結果ウィンドウで [トランスポート ルール] タブをクリックし、操作ウィンドウで [トランスポート ルールの新規作成] をクリックします。

  4. トランスポート ルール ウィザードの "名前" フィールドに、トランスポート ルールの名前を入力します。

  5. このルールに関する注釈がある場合は、[コメント] ボックスに入力します。

  6. ルールを無効な状態で作成する場合は、[有効] チェック ボックスをオフにします。それ以外の場合は、[有効] チェック ボックスをオンのままにしておきます。

  7. [次へ] をクリックします。

  8. [ステップ 1: 条件の選択] ボックスで、差出人が組織の内部または外部のユーザーの場合の条件を選択します。

  9. [ステップ 2: ルールの説明の編集 (下線付きの値をクリック)] ボックスで、青い下線付きの "内部" という単語をクリックします。

  10. 青い下線付きの "内部" という単語をクリックすると、新しいウィンドウが開き、ドロップダウン ボックスが表示されます。ボックスの一覧の [外部] をクリックし、[OK] をクリックしてウィンドウを閉じます。

  11. 条件を追加する場合は、ここで行います。すべての条件を構成したら、[次へ] をクリックします。

  12. [ステップ 1 : 処理の選択] ボックスで、メッセージをキャッチオール メールボックスにコピーする場合は、[メッセージをアドレスにコピーする] をクリックします。メッセージをキャッチオール メールボックスにリダイレクトする場合は、[メッセージをアドレスにリダイレクトする] をクリックします。同じトランスポート ルールで両方の操作を選択しないでください。

  13. [ステップ 2: ルールの説明の編集 (下線付きの値をクリック)] ボックスで、青い下線付きの "アドレス" という単語をクリックします。

  14. 表示された新しいウィンドウで、前の「メールボックスの作成」でメモしたキャッチオール メールボックスの SMTP アドレスを入力し、[追加] をクリックします。次に、[OK] をクリックしてウィンドウを閉じます。

  15. 追加の操作を構成する場合は、ここで行います。すべてのアクションを構成したら、[次へ] をクリックします。

  16. [ステップ 1: 例外の選択] ボックスで、受信者のアドレスにテキスト パターンが含まれている場合を除く例外を選択します。

  17. 前の手順で例外を選択した場合は、[ステップ 2: ルールの説明の編集 (下線付きの値をクリック)] ボックスで、青い下線付きの "テキスト パターン" という単語をクリックします。

  18. 表示されたウィンドウで、組織内の既存のメールボックスの SMTP アドレスをすべて入力します。各 SMTP アドレスを ^ および $ パターン文字列で囲みます。たとえば、SMTP アドレスが david@contoso.com である場合は、「^david@contoso.com$」と入力します。各 SMTP アドレスを入力した後、[追加] をクリックします。終了したら、[OK] をクリックしてウィンドウを閉じます。

  19. 追加の例外を構成する場合は、ここで行います。すべての例外を構成したら、[次へ] をクリックします。

  20. [構成の概要] を確認します。新しいルールの構成が正しい場合は、[新規作成] をクリックし、次に [完了] をクリックします。

Exchange 管理シェルを使用したキャッチオール メールボックスへのメッセージのコピーまたはリダイレクト

Exchange 管理シェルを使用してキャッチオール メールボックスにメッセージをコピーまたはリダイレクトする新しいトランスポート ルールを作成するには、Exchange 管理シェルを使用してトランスポート ルールを作成する方法を理解しておく必要があります。詳細については、「新しいトランスポート ルールを作成する方法」の「Exchange 管理シェルを使用したトランスポート ルールの作成」を参照してください。

キャッチオール メールボックスにメッセージをコピーまたはリダイレクトするトランスポート ルールを構成するには、トランスポート ルールが組織外部の送信者から送信されたメッセージにのみ操作を適用するようにトランスポート ルールの条件を構成する必要があります。そのためには、Get-TransportRulePredicate コマンドレットで FromScope トランスポート ルール述語を使用します。

Exchange 管理シェルを使用して組織外部の送信者からのメッセージのみを選択するようにトランスポート ルールの条件を構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Condition = Get-TransportRulePredicate FromScope
    $Condition.Scope = "NotInOrganization"
    

条件を構成した後、トランスポート ルールのアクションを構成する必要があります。キャッチオール メールボックスにメッセージをコピーする場合は、CopyTo トランスポート ルール アクションを使用する必要があります。キャッチオール メールボックスにメッセージをリダイレクトする場合は、RedirectMessage トランスポート ルール アクションを使用する必要があります。いずれのアクションも、Get-TransportRuleAction コマンドレットで使用できます。また、以下の構文を使用してキャッチオール メールボックスの SMTP アドレスを指定する必要があります。

$Action.Addresses = @("<SMTP address of catch-all mailbox>")

Exchange 管理シェルを使用してキャッチオール メールボックスにメッセージをコピーするトランスポート ルール アクションを構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Action = Get-TransportRuleAction CopyTo
    $Action.Addresses @("catch-all@contoso.com")
    

Exchange 管理シェルを使用してキャッチオール メールボックスにメッセージをリダイレクトするトランスポート ルール アクションを構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Action = Get-TransportRuleAction RedirectMessage
    $Action.Addresses @("catch-all@contoso.com")
    

これらのコマンドを実行した後、組織内に存在する SMTP アドレスについて、キャッチオール メールボックスへのメッセージのコピーやリダイレクトを回避するための例外を構成する必要があります。そのためには、Get-TransportRulePredicate コマンドレットで AnyOfRecipientAddressMatches トランスポート ルール述語を使用します。また、以下の構文を使用して組織内に既に存在する SMTP アドレスを指定する必要があります。

$Exception.Addresses = @("^<Existing SMTP address 1>$", "^<Existing SMTP address 2>$", ...)

Exchange 管理シェルを使用して組織内の既存 SMTP アドレスに送信されたメッセージのコピーまたはリダイレクトを回避するためにトランスポート ルールの例外を構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Exception = Get-TransportRulePredicate AnyOfRecipientAddressMatches
    $Exception.Patterns = @("^david@contoso.com$", "^brian@contoso.com$", "^ray@contoso.com$")
    

最後に、New-TransportRule コマンドレットを使用してトランスポート ルールを作成し、構成した各条件、アクション、および例外を指定する必要があります。

Exchange 管理シェルを使用してキャッチオール メールボックスにメッセージをコピーまたはリダイレクトするトランスポート ルールを作成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    New-TransportRule -Name "Copy messages to a catch-all mailbox" -Conditions @($Condition) -Actions @($Action) -Exceptions @($Exception)
    

例 : Exchange 管理シェルを使用して作成されたトランスポート ルール

以下の手順では、Exchange 管理シェルを使用して、キャッチオール メールボックスにメッセージをコピーまたはリダイレクトするためのトランスポート ルールを作成する方法を示します。

エッジ トランスポート サーバーで Exchange 管理シェルを使用してメッセージをキャッチオール メールボックスにコピーするには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Condition = Get-TransportRulePredicate FromScope
    $Condition.Scope = "NotInOrganization"
    $Action = Get-TransportRuleAction CopyTo
    $Action.Addresses = @("catch-all@contoso.com")
    $Exception = Get-TransportRulePredicate AnyOfRecipientAddressMatches
    $Exception.Patterns = @("^david@contoso.com$", "^brian@contoso.com$")
    New-TransportRule -Name "Copy messages to catch-all mailbox" -Conditions @($Condition) -Actions @($Action) -Exceptions @($Exception)
    

エッジ トランスポート サーバーで Exchange 管理シェルを使用してメッセージをキャッチオール メールボックスにリダイレクトするには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Condition = Get-TransportRulePredicate FromScope
    $Condition.Scope = "NotInOrganization"
    $Action = Get-TransportRuleAction RedirectMessage
    $Action.Addresses @("catch-all@contoso.com")
    $Exception = Get-TransportRulePredicate AnyOfRecipientAddressMatches
    $Exception.Patterns = @("^david@contoso.com$", "^brian@contoso.com$")
    New-TransportRule -Name "Redirect messages to catch-all mailbox" -Conditions @($Condition) -Actions @($Action) -Exceptions @($Exception)
    

詳細情報

各コマンドの構文およびパラメータの詳細については、以下のトピックを参照してください。

トランスポート ルールの詳細については、以下のトピックを参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。