Office ファイル コンバーター (OFC) およびバージョン抽出ツール (VET) を使用して Office のバイナリ ファイルを変換する
適用先: Office 2010
トピックの最終更新日: 2016-11-29
Office Migration Planning Manager (OMPM) には、Microsoft Office 2010 への移行時にバイナリ Office ファイルを管理できる 2 つのツールが付属しています。Office ファイル コンバーター (OFC) を使用すると、バイナリ ファイルを Office 2010 と 2007 Office system で使用する OpenXML 形式に一括変換できます。バージョン抽出ツール (VET) を使用すると、Word 97–2003 形式の単一文書から複数のバージョンを抽出し、個々のファイルに保存できます。どちらのツールも、OMPM によって生成されるスキャン結果と組み合わせて使用するのが一般的です。
OFC を使用してファイルを一括変換する
OFC を使用する前に、次の使用ガイドラインを確認します。
Microsoft Office Compatibility Pack は、変換するファイルが保存されているコンピューターにインストールする必要があります。詳細については、「Word/Excel/PowerPoint 用 Microsoft Office 互換機能パック」(https://www.microsoft.com/downloads/ja-jp/details.aspx?familyid=941b3470-3ae9-4aee-8f43-c6bb74cd1466) を参照してください。
OFC は、バイナリ .doc ファイルを Word 2007 で使用する .docx ファイル形式に変換します。その結果、変換した .docx ファイルを Word 2010 で開くと、ファイルは Word 2007 互換モードで開きます。OFC は, .doc ファイルから Word 2010 .docx 形式への変換をサポートしていません。Word 2010 .docx 形式へのファイルの変換は個別に実行できます。その場合は、[ファイル] タブをクリックし、[変換] をクリックします。
OFC は、最大 10 個のフォルダー階層に変換できます。たとえば、DestinationPathTemplate=I:\Converted\*1\*2\*3\*4\*5\*6\*7\*8\*9\ は正しく実行できます。一方、DestinationPathTemplate=I:\Converted\*1\*2\*3\*4\*5\*6\*7\*8\*9\*10\ は機能しません。この問題を回避するには、 net use や subst などのコマンドを使用してパスを短くします。
Office ファイル コンバーターを実行する前に、ofc.ini ファイルを編集して適切なパラメーターを設定します。
ファイルを変換するには
コマンド プロンプトで、OFC がインストールされているフォルダーに移動します。
次のコマンドを入力します。
ofc <ofc.ini>
このコマンドのパラメーターは、次のとおりです。
パラメーター | 説明 |
---|---|
ofc.ini |
ofc.ini ファイルの場所。パスが指定されていない場合は、実行可能ファイルと同じディレクトリを検索します。省略可。 |
注意
FileListFolder と FoldersToConvert に同じファイルを設定すると、ファイルは 2 回変換されます。
ofc.ini の設定
次の表に ofc.ini の設定と値を示します。
設定 | 説明 | 設定可能な値 | 値を指定しなかった場合 | 値が無効な場合 |
---|---|---|---|---|
[Run] |
この変換の一意の ID と説明を記述するセクション。必須です。 |
変換が停止し、エラー メッセージが表示されます。 |
Error: [Run] section heading invalid or missing in OFC.INI. |
|
RunID |
現在の変換の追跡番号。さまざまなコンピューターの変換をレポート ツールでまとめるときに使用します。必須です。 |
数値。 |
変換が停止し、エラー メッセージが表示されます。 |
Error: Invalid or missing RunID value in OFC.INI. |
Description |
現在実行している変換を説明するテキスト。省略可。 |
自由形式のテキスト (255 文字で切り捨てられます)。 |
無視します。 |
該当なし。 |
LogDestinationPath |
FileList 設定の使用時に生成されるログ ファイルの場所。必須です。 この設定は、変換時にコマンド プロンプト ウィンドウに表示されるテキストをキャプチャするログ ファイルを生成しません。">" コマンド (たとえば、ofc.exe > C:\Log.txt) を使用して、コマンド シェルの出力をテキスト ファイルに保存します。 |
物理ドライブ、マップ ドライブ、または UNC。たとえば、c:\Conversion\logs、 \\server\vba\logs 環境変数にも対応しています。 |
変換が停止し、エラー メッセージが表示されます。 |
Error: Invalid or missing ‘LogDestinationPath’ value in OFC.INI. |
[ConversionOptions] |
.INI ファイルで変換オプションが記述されている部分のセクション見出し。.INI ファイルに変換オプションが指定されない場合を除いて必須です。 |
変換が停止し、エラー メッセージが表示されます。 |
Error: [ConversionOptions] section heading invalid or missing in OFC.INI. |
|
DoNotCab |
ログ ファイルの CAB ファイルの作成を無効にできます。省略可。 |
有効な値は次のとおりです。 1 – ログ ファイルの CAB ファイルの作成を無効にします。 0 – ログ ファイルの CAB ファイルの作成を有効にします。 |
変換が停止し、エラー メッセージが表示されます。 |
Error: Invalid or missing DoNotCab value in OFC.INI. |
MacroControl |
マクロ プロジェクトを変換対象に含めるかどうかを指定します。1 に設定すると、OFC はマクロを含まない OpenXML 文書形式 (.docx、xlsx、pptx など) を生成します。元の文書に含まれるマクロ/VBA コードは移行されません。省略可。 |
有効な値は次のとおりです。 1 – 変換で VBA を無視します。 0 – 元の文書のマクロ状態を維持します。 |
既定値は 0 です。 |
Error: Invalid ‘MacroControl’ value in OFC.INI. |
[FoldersToConvert] |
スタンドアロン操作で変換するディレクトリを記述するセクション。FileList は無視されます。省略可。 |
フォルダーの一覧。 |
入力ファイルが渡された場合には無視されます。 |
Error: [FoldersToConvert] section invalid in OFC.INI. |
ConvertSubfolders |
フォルダーが指定されている場合に 1 に設定すると、サブフォルダー内の Word 文書、Excel および PPT ドキュメントがすべて変換されます。省略可。 |
0 または 1 |
既定値は 0 です。 |
Error: Invalid ‘ConvertSubfolders’ value in OFC.INI. |
[ConversionInfo] |
入力ファイルと出力先の情報を記述するセクション。必須です。 |
[ConvertedFolders] |
変換が停止し、エラー メッセージが表示されます。 |
Error: [ConversionInfo] section heading invalid or missing in OFC.INI. |
FileList |
FileList へのパス。省略可。 |
これを指定していない場合および [FoldersToConvert] が空白の場合はエラー。 |
||
SourcePathTemplate |
キャプチャするディレクトリをソース パスからのディレクトリ数で指定する *\ のシーケンス。ワイルドカードを使用できます。アスタリスク (*) を使用して、パスの 1 つのセグメントを表します。省略可。 SourcePathTemplate をローカルで実行する場合は、ネットワーク パス情報が含まれます。たとえば、C:\Documents\file.doc にあるファイルは、*1\=マシン名、*2\=C:\、*3\=Documents、および *4\=file.doc として指定できます。 |
物理ドライブ、マップ ドライブ、または UNC。* または ‘.’ |
Error: Invalid ‘SourcePathRoot’ value in OFC.INI. |
|
DestinationPathTemplate |
変換されたファイルの場所を決定するために使用されます。ワイルドカードを使用できます。アスタリスク (*) とそれに続く数値を使用して、パスの 1 つのセグメントを表します。指定方法については、以下の例を参照してください。省略可。 |
物理ドライブ、マップ ドライブ、または UNC。* または ‘.’ |
Error: Invalid ‘DestinationPathRoot’ value in OFC.INI. |
次に、SourcePathTemplate および DestinationPathTemplate の設定例を示します。
例 1
この例では、変換前のファイルは \\userfiles\<ユーザー名>\docs\ に存在し、変換後のファイルは \\newserver\docs\<ユーザー名>\ に出力されます。
この結果を得るには、SourcePathTemplate および DestinationPathTemplate を次のように設定します。
SourcePathTemplate = *\*\*\
DestinationPathTemplate = \\newserver\*3\*2
この例では、SourcePathTemplate のアスタリスクで表される各ディレクトリ セグメントに対して、DestinationPathTemplate で次のように数値が割り当てられます。
*1 = userfiles
*2 = <ユーザー名>
*3 = docs
次の表に、上記の設定で変換を行った場合の、変換前と変換後のファイルの場所の例を示します。
変換前 | 変換後 |
---|---|
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|
例 2
この例では、変換前のファイルは、ユーザーのローカル コンピューターの [マイ ドキュメント] フォルダーに存在します。UNC パスは、\\<コンピューター名>\<ドライブ文字>$\Documents and Settings\<ユーザー名>\My Documents\ です。出力先は、\\DocServer\docs\<ユーザー名>\ です。
この結果を得るには、SourcePathTemplate および DestinationPathTemplate を次のように構成します。
SourcePathTemplate = *\*\*\*\*\
DestinationPathTemplate = \\DocServer\*4\
この例では、SourcePathTemplate のアスタリスクで表される各ディレクトリ セグメントに対して、DestinationPathTemplate で次のように数値が割り当てられます。
*1 = <ユーザー名> (たとえば、DESKTOP3)
*2 = <ドライブ文字>$ (たとえば、c$)
*3 = Documents and Settings
*4 = <ユーザー名> (たとえば、bobsmith)
*5 = My Documents
次の表に、上記の設定で変換を行った場合の、変換前と変換後のファイルの場所の例を示します。
変換前 | 変換後 |
---|---|
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VET を使用して Word ファイルのバージョンを抽出する
OMPM に含まれるバージョン抽出ツール (VET) を使用すると、Office 2000、Office XP、および Office 2003 で作成された、バージョン情報を含む Word ファイルからファイルのバージョンを抽出できます。このツールでは、OMPM のレポート ユーティリティで生成されたファイル リストを使用できます。
注意
VET を実行するには、Microsoft .NET Framework 2.0 以上 (https://msdn.microsoft.com/ja-jp/netframework/aa569263) および Microsoft Word 2003 が必要です。
Word ファイルからバージョン情報を抽出するには
コマンド プロンプトで、VET がインストールされているフォルダーに移動します。
次のように入力します。
vet <OMPM ファイル リストのディレクトリ> <出力ディレクトリ>
このコマンドのパラメーターは、次のとおりです。
パラメーター | 説明 |
---|---|
OMPM ファイル リストのディレクトリ |
OMPM によって生成されたファイル リストの場所。必須です。 |
出力ディレクトリ |
Word ファイルのすべてのバージョンのコピー先のディレクトリ。必須です。 |
たとえば、c:\ompm\filelists ディレクトリに含まれるファイル リストを使用して、バージョンを c:\ompm\output ディレクトリに抽出するには、次のように入力します。
vet c:\ompm\filelists c:\ompm\output
VET エラー メッセージ
VET がログ ファイルおよびアクション ファイルの両方に書き込むエラー メッセージを次の表に示します。
エラー メッセージ | 説明 |
---|---|
IssueID 9090: Could not open document <文書名>. |
バージョン情報を持つとマークされている元の文書を Word で開くことができませんでした。 |
IssueID 9096: Could not get the number of versions for document <文書名>. |
VET は、指定された文書のバージョンの数を文書から取得できませんでした。オブジェクト モデル コマンド Versions.Count が失敗しました。 |
IssueID 9091: Could not delete existing version folder <フォルダー パス>. |
特定のファイルに対して、バージョン フォルダーが既に存在します。VET はこのフォルダーを削除できず、新しいバージョン ファイルのための新しいフォルダーを作成できませんでした。 |
IssueID 9092: Could not create directory to hold versions <ディレクトリ名>. |
VET は、特定の文書から抽出したバージョンを保持するディレクトリを作成できませんでした。 |
IssueID 9093: Failed to access version item. |
VET は、Word オブジェクト モデル コマンド Versions.Item(i) を使用してバージョンにアクセスできませんでした。 |
IssueID 9094: Failed to open version <バージョン番号> from <ファイル名>. |
VET は、Word オブジェクト モデル コマンド Versions.Item(i).Open() を使用して指定されたバージョンを開くことができませんでした。 |
IssueID 9095: Failed to save version <バージョン番号> from <ファイル名> to <バージョン フォルダー名>. |
VET は、文書から指定されたバージョンをバージョン フォルダーに保存できませんでした。 |
See Also
Concepts
Office 2010 用の Office Migration Planning Manager の概要
Office 2010 の Office Migration Planning Manager ファイル スキャナーをセットアップする
Office 2010 の Office Migration Planning Manager ファイル スキャナーを実行する
Office Migration Planning Manager ログ ファイルをデータベースにインポートする
Office 2010 の Office Migration Planning Manager レポートを分析する
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