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Outlook 2010 の計画の概要

 

適用先: Office 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-29

組織のメッセージング要件を綿密に確認することで、Microsoft Outlook 2010 の最適な展開を計画できます。この記事では、Outlook 2013 を展開するときに考慮すべき点について説明します。

この記事の内容

  • 組織のニーズを判断する

  • Outlook をインストールする時期と方法を選択する

  • セキュリティとプライバシーの考慮事項

  • 以前のバージョンの Outlook からアップグレードする

  • アップグレードの計画でのその他の考慮事項

  • 他のメール プログラムおよびスケジュール管理プログラムからアップグレードする

組織のニーズを判断する

組織のメッセージング環境により、Outlook 2013 の展開の方針が決まります。考慮する要素として、Outlook をアップグレードするのか、初めてインストールするのか、移動ユーザーまたはリモート ユーザーについて計画するのか、これらの要素とその他の要素を組み合わせて選択するのか、などがあります。

アップグレードまたは初めてのインストール

以前のバージョンの Microsoft Outlook から Outlook 2013 にアップグレードする場合は、以前の設定を移行するかどうか、ユーザー プロファイルを変更するかどうか、および新しいカスタマイズ オプションを使用するかどうかを考慮します。Office カスタマイズ ツール (OCT) には、ユーザーの現在の設定を移行したり、新しい Microsoft Exchange サーバー (Exchange Online を含む) の定義または新しい機能のカスタマイズなど、その他のカスタマイズを行ったりするためのオプションがあります。ユーザーの設定は、セキュリティの設定を除き、既定で自動的に移行されます。

クライアント コンピューターに Outlook を初めて展開する場合、各ユーザーには、電子メール メッセージング サーバーの接続やその他の重要な Outlook 設定に関する情報を保存するための Outlook プロファイルが必要です。ユーザーのプロファイル設定を定義するには、OCT を使用するか、Outlook プロファイル (.prf) ファイルを展開します。

詳細については、以下の記事を参照してください。

データを移行する

組織で Outlook 以外のメール クライアントを使用している場合、そのメール クライアントから Outlook 2013 にデータを移行する必要がある可能性があります。Outlook で用意されているインポーター (Eudora Light 用など) を利用すると便利です。インポーターは自動的に実行されるように構成できません。システム管理者がインポーターを使用して、個々のユーザーのデータを移行します。

リモート ユーザーと移動ユーザー

Outlook をカスタマイズすることによって、リモート ユーザーと移動ユーザーの操作性を最適化したり、同じコンピューター上の複数のユーザーに合わせて Outlook を設定したりできます。

リモート ユーザーには、Outlook Anywhere (以前のバージョンの Outlook では RPC over HTTP と呼ばれていた) 機能や Exchange キャッシュ モード機能を構成できます。通信速度の遅い接続または安定性の低い接続を介して Outlook を使用している場合は、これらの機能により、ユーザーの操作性が向上します。Outlook Anywhere を使用すると、仮想プライベート ネットワーク (VPN) 接続を使用せずに、インターネットから組織内の Exchange サーバーまたは Exchange Online に安全に接続できるように構成できます。Exchange キャッシュ モードは、ユーザーのメールボックスのローカル コピーを作成する Outlook の機能で、Office Outlook 2003 で導入されたものです。すべての構成で Exchange キャッシュ モードの使用をお勧めしますが、特にリモート ユーザーには効果的です。この機能を使用すると、ユーザーは、ネットワークに接続しているかどうかに関係なく、より信頼性の高い方法で Outlook データにアクセスできます。詳細については、「Outlook 2010 で Outlook Anywhere を構成する」および「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードの展開を計画する」を参照してください。

複数のユーザーが同じコンピューターを共有している場合は、Windows オペレーティング システムのログオン機能を使用して、ユーザーのログオン検証を管理します。1 つのコンピューターにインストールできる Outlook のバージョンは 1 つだけなので、アプリケーション仮想化を展開しない限り、どのユーザーも同じバージョンの Outlook を使用する必要があります。同じコンピューター上で複数の Outlook ユーザーを設定する方法の詳細については、「他のユーザーと共有しているコンピューターで Outlook を使用する」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=100528\&clcid=0x411) を参照してください。

多言語の要件

Microsoft Office 2010 には、国際的環境または多言語環境で展開するための幅広いサポートが用意されています。2007 Microsoft Office system と同様、Office 2010 製品は、特定の言語に依存しないコア パッケージと、1 つ以上の言語固有のパッケージで構成されています。各言語バージョンに含まれている校正ツールに加え、その他の言語の校正ツールをダウンロードして展開すれば、多言語のグループはさまざまな言語でファイルを操作、編集できます。詳細については、「Office 2010 の複数言語の展開を計画する」を参照してください。

Outlook 2013 は、製品全体で Unicode をサポートしているので、多言語の組織は多言語の環境でメッセージやその他の情報をシームレスに交換できます。

クライアントとメッセージング サーバーのプラットフォーム

Outlook 2013 の一部の機能 (Exchange キャッシュ モードなど) を使用するには、メッセージング プラットフォームとして Microsoft Exchange Server が必要です。Outlook 2013 は以前のバージョンの Exchange と連携できますが、Outlook 2013 の一部の機能は特定バージョンの Exchange が必要です。この理由に加え、Outlook 2013 では他の機能についても Exchange との統合が強化されていることから、Outlook 2013 を最新バージョンの Exchange Server と組み合わせて使用するか、または Exchange Online を使用することをお勧めします。詳細については、「Exchange Server のさまざまなバージョンに対する Outlook 2010 の動作」を参照してください。

Outlook 2013 の展開のカスタマイズに関する決定事項は、使用している Exchange Server のバージョンによって異なります。現在メッセージング サーバーとして Exchange Server を使用しており、Exchange 2003 またはそれ以降にアップグレードしていない場合は、Outlook 2013 の展開の時期に合わせて Exchange Server のアップグレードまたは Exchange Online への移行を検討してください。Outlook 2013 と組み合わせて使用できる最も古い Exchange Server のバージョンは、Exchange Server 2003 です。

構内で Exchange Server を使用している環境に、Exchange Online を追加して共存させる計画がある場合は、次の 2 つのことを考慮する必要があります。

  • 異なる構内間で管理者を委任することはできません。管理者のアカウントが Exchange Online 上にある場合、委任するアカウントも Exchange Online 上にある必要があります。

  • 構内のアカウントは、Exchange Online 上のアカウントに対する "差出人を指定して送信する" 権限を持つことはできません。

また、構内の Exchange Server と Exchange Online ではユーザー認証方法が異なることにも注意してください。Exchange Online ユーザーは、(ユーザー名として) 電子メール アドレスとパスワードを入力します。ただし、ユーザーはパスワードを 1 回入力するだけで済むように、保存しておくことができます。

Outlook をインストールする時期と方法を選択する

Outlook 2013 をインストールする時期と方法には、いくつかの選択肢があります。たとえば、以下に示すどの選択肢が組織にとって最適かを検討してください。

  • 複数のユーザー グループについて Outlook を段階的または一度にインストールあるいはアップグレードする。

  • Outlook をスタンドアロン アプリケーションとしてインストールする。

  • Office 2010 のインストール前、インストール中、またはインストール後に、Outlook をインストールする。

各組織は環境が異なるので、Outlook 2013 へのアップグレード時期に関する決定も異なってきます。たとえば、組織内に、Outlook のアップグレードを担当するメッセージング グループと、その他の Microsoft Office アプリケーションの展開を計画する別のグループがあるとします。この場合、2 つのグループ間で展開を調整するよりも、他の Office アプリケーションとは別に Outlook をアップグレードする方が簡単なこともあります。

Outlook 2013 を以前のバージョンの Outlook と同じコンピューターに共存させることはできません。以前のバージョンを使用する必要がある場合は、Outlook 2013 をインストールしたり、Outlook 2013 をアプリケーションの仮想化と共に展開したりしないでください。詳細については、「いつ Outlook 2010 をインストールするかを決定する」を参照してください。

Outlook の設定とプロファイルをカスタマイズする

Outlook のインストールは、Outlook のユーザー設定とプロファイルを 2 つの方法で処理できるようにカスタマイズできます。

  • Outlook のユーザー設定を OCT で指定する。

  • 新しいまたは既存の Outlook プロファイルを管理するためのオプションを OCT で指定するか、Outlook プロファイル (.prf) ファイルを使用する。

たとえば、既存の Outlook ユーザーに対しては現在のプロファイルと設定を移行できるようにする一方で、新しい Outlook ユーザーに対しては既定のプロファイルと設定を定義します。既存のプロファイルに変更を加えて、新しい Outlook ユーザー用の新しい既定のプロファイルにすることもできます。Outlook 2013 を Microsoft Exchange Server 2010 または Exchange Online と共に展開する場合は、OCT または .prf ファイルを使用して、1 つのプロファイルに対して複数の Exchange アカウントを追加できます。

OCT を使用して Outlook をカスタマイズするとき、選択した内容とインストールに関するその他の基本設定は、セットアップ中に適用されるカスタマイズ ファイルに保存します。後で設定とプロファイル情報を更新するときは、OCT でカスタマイズ ファイルを開き、新しいコピーを保存します。

Outlook のプロファイルを構成する方法の詳細については、「Office 2010 の Office カスタマイズ ツール」および「Outlook プロファイル (PRF) ファイルを使用して Outlook プロファイルをカスタマイズする」を参照してください。これらの記事は、Exchange Online が展開されている環境にも適用されます。

重要

既に Outlook プロファイルに Exchange アカウントがあるユーザーを Outlook 2003 または Outlook 2007 からアップグレードする場合、Exchange アカウントがもう 1 つプロファイルに追加されるという既知の問題があります。この問題は、Outlook をアップグレードして、"プロファイルの変更" および "既定のプロファイルに対する変更を定義" に構成されたユーザー定義の OCT ファイル (.msp) または .prf ファイルを使用してカスタマイズを適用する際に発生する可能性があります。
ユーザーを Outlook 2013 にアップグレードする際に、1 つのプロファイルに複数の Exchange アカウントが作成されないようにするには、Microsoft Download Center (英語) (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=189316&clcid=0x411) (英語) から OCT の Service Pack 1 (SP1) バージョンをダウンロードして使用する必要があります。OCT を更新するには、Office 2010 インストール ファイルまたはインストール イメージ内の /Admin フォルダーを、ダウンロード パッケージに含まれる新しい /Admin フォルダーで置き換えます。OCT の SP1 バージョンを使用しない場合は, .prf ファイルを作成し、BackupProfile=False および UniqueService=Yes として各プロパティを設定する必要があります。この手順については、「Multiple Exchange accounts created in Outlook 2010 with existing Outlook profiles after upgrading from an earlier Office version using a custom MSP (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=199704&clcid=0x411) (英語) を参照してください。

購読およびその他の共有機能を構成する

Office Outlook 2007 と同様、Outlook 2013 には、新しいコンテンツ ソースを簡単に定期受信できる機能が含まれており、それらの機能を組織内外のユーザーと共有できます。コンテンツ ソースとしては、Microsoft SharePoint Foundation 2010 と SharePoint Foundation 2010 の連絡先、仕事、予定表、そしてローカルの予定表とインターネット ベースの予定表 (iCalendar) があります。

Really Simple Syndication (RSS) は、もう 1 つの共有機能で、概要コンテンツの内部ソースまたはインターネット ベース ソース (.xml ファイル) をユーザーが定期受信できるようにして、サイトで新しい情報をチェックする手間を解消します。他にも、特定の RSS フィードや予定表の定期受信をユーザーに対して展開したり、定期受信やコンテンツをユーザー間で共有する方法を管理するための設定を構成したり、ユーザーが所有するデータのコピーをサーバーで更新する頻度を指定したりできます。

Outlook をリモート デスクトップ サービス (ターミナル サービス) と組み合わせて使用する

Windows Server のリモート デスクトップ サービスを使用すると、Outlook 2013 のボリューム ライセンス コピーを 1 つだけリモート デスクトップ サービス対応のコンピューターにインストールできます。Outlook をローカル コンピューターで実行する代わりに、複数のユーザーがサーバーに接続し、そのサーバーから Outlook を実行します。

Outlook をリモート デスクトップ サービスと組み合わせて使用して最適な結果を得るためには、Outlook の構成をどのようにカスタマイズするかに注意を払ってください。たとえば、Outlook 2013 では、Exchange キャッシュ モードをリモート デスクトップ サービスと組み合わせて構成できます。ただし、各ユーザーのメールボックスを格納するのに十分なディスク領域をリモート デスクトップ セッション ホスト サーバー コンピューター (ターミナル サーバー) 上に用意する必要があります。同じリモート デスクトップ セッション ホスト コンピューターで提供されている他のアプリケーションを含む環境で、Outlook がその構成要素になっている場合があります。詳細については、「リモート デスクトップ セッション ホスト環境での Exchange キャッシュ モード: 検討事項 (ホワイト ペーパー)」を参照してください。

Collaboration Data Object の依存関係

Collaboration Data Object (CDO) は、Outlook 2013 ではサポートされていません。CDO 1.2.1 に依存する一部のソリューションは引き続き動作する可能性がありますが、CDO 1.2.1 は Exchange 複数カウント環境用に設計されてはいないので、予期しない結果となることがあります。Outlook のソリューションには、CDO 1.2.1 ではなく、Outlook オブジェクト モデルを使用してください。

古いアイテムの整理

Outlook のメールボックスは、ユーザーがアイテムを作成したり受信したりするのに伴って拡大します。メールボックスを管理可能な大きさに維持するには、重要でも頻繁には使用しない古いアイテムを別の場所に保存 (アーカイブ) する必要があります。通常は、古いアイテムを自動的に保存フォルダーに移動し、内容の有効期限が切れて無効になったアイテムは破棄されるようにすると便利です。Outlook 2013 の古いアイテムの整理を使用すると、この処理を自動的に管理できます。しかし、ここでは古いアイテムの整理ではなく、Microsoft Exchange Server 2010 のメッセージング レコード管理 (MRM) (または Exchange Online) の個人用アーカイブ機能を使用することをお勧めします。この機能を使用すると個人用フォルダー ファイル (.pst) が不要になるからです。Exchange Server 2010 または Exchange Online の個人用アーカイブを使用すると、電子メール アーカイブ フォルダーがオンラインで保存されるので、Microsoft Outlook Web アプリケーション を使用するか、別のコンピューターから Outlook 2013 を使用して、アーカイブされたファイルにアクセスできます。このどちらかのクライアント アプリケーションを使用することで、アーカイブ メールボックスを表示し、プライマリ メールボックスとアーカイブの間でメッセージを移動またはコピーできるようになります。

個人用アーカイブを有効にすると、ユーザーは古いアーカイブの整理を使用できなくなり、メッセージがアーカイブされないことに注意してください。

Outlook 2013 を Exchange Server 2010 または Exchange Online と一緒に展開する予定であれば、Outlook 2013 の古いアイテムの整理ではなく、Exchange Server の個人アーカイブ機能を使用することを検討してください。詳細については、「個人アーカイブについて: Exchange 2010 のヘルプ」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=169269\&clcid=0x411)、「Outlook 2010 の法令遵守とアーカイブを計画する」、および「Microsoft Exchange Online Archiving」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=218120\&clcid=0x411) を参照してください。

Outlook 2013 の古いアイテムの整理機能を使用する場合は、Outlook グループ ポリシー テンプレート (Outlk14.adm) を使用すると、Outlook 2013 の古いアイテムの整理をカスタマイズする設定を構成できます。また、Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用して既定の設定を構成することもできます。その場合はユーザーが設定を変更できます。

Outlook データ ファイル (.pst)

Outlook 2013 を Exchange Server 2010 または Exchange Online と一緒に展開する予定であれば、Outlook データ ファイル (.pst) が不要になるので、Exchange Server 2010 メッセージング レコード管理 (MRM) (または Exchange Online) の個人アーカイブ機能を使用することをお勧めします。Exchange Server 2010 または Exchange Online の個人アーカイブを使用することによって、電子メール アーカイブがオンラインで保存されるため、ユーザーは Microsoft Outlook Web アプリケーション を使用するか、別のコンピューターから Outlook 2013 を使用して、アーカイブされているファイルにアクセスできます。これらのどちらかのクライアント アプリケーションを使用して、アーカイブ メールボックスを表示し、プライマリ メールボックスとアーカイブの間でメッセージを移動またはコピーできます。詳細については、「個人アーカイブについて: Exchange 2010 のヘルプ」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=169269\&clcid=0x411)、「Outlook 2010 の法令遵守とアーカイブを計画する」、および「Microsoft Exchange Online Archiving」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=218120\&clcid=0x411) を参照してください。

Outlook 2013 を Exchange Server 2003 または Exchange Server 2007 と一緒に展開する予定であれば, .pst ファイルをローカル (推奨) またはネットワーク共有に保存するよう構成できます。ネットワークが高帯域幅で信頼性が高い場合にのみ, .pst ファイルをネットワーク共有に保存することを検討してください。ユーザーの .pst ファイルがネットワーク共有に保存されていて、ネットワークへの接続が失われた場合、そのユーザーの Outlook の操作性は低下し、保存されていない変更が失われる可能性があります。

アイテム保持ポリシー

アイテム保持ポリシーの設定は、ドキュメントの保存期間に関して組織で定められているアイテム保持ポリシーのガイドラインを遵守するのに役立ちます。Outlook 2013 では、古いアイテムの整理に基づくアイテム保持設定の展開に、Outlook 2013 のグループ ポリシーは使用できません。アイテム保持ポリシーを展開する必要がある場合は、Exchange Server 2010 のメッセージング レコード管理 (MRM) 機能の利用を検討してください。詳細については、「メッセージング レコード管理について: Exchange 2010 のヘルプ」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=169263\&clcid=0x411) および「Outlook 2010 の法令遵守とアーカイブを計画する」を参照してください。

セキュリティとプライバシーの考慮事項

Outlook にはセキュリティとプライバシーに関する多くの機能が用意されており、以下ではその一部を紹介します。Outlook 2013 でのセキュリティとプライバシーの計画方法の詳細については、「Outlook 2010 のセキュリティと保護を計画する」および「Outlook 2010 のセキュリティと保護の設定の選択」を参照してください。

Office セキュリティ センター

セキュリティ センターは、2007 Office system で導入されたもので、セキュリティとプライバシーのオプションを管理する主要な場所を提供します。以前のバージョンの Office で使用されていた [最高]、[高]、[中]、[低] の各セキュリティ レベルは、より合理化されたセキュリティ システムに置き換えられています。

ユーザーのためにウイルスや迷惑メールを遮断する

Outlook 2013 には、ウイルスの拡散を最小限に抑え、ユーザーが迷惑メールを受け取らないようにするための機能が組み込まれています。

Office Outlook 2007 と同様、Outlook 2013 では、組織のニーズをサポートするために、グループ ポリシーを使用してウイルス対策およびその他のセキュリティ設定を構成できます。また、以前にリリースの Outlook と同様、Outlook セキュリティ テンプレートを使用して設定を構成することもできます。どちらの構成方法でも、たとえば電子メール メッセージでブロックするファイルの種類の一覧を変更できます。

ウイルスが Outlook アドレス帳 (OAB) を使用して感染を広げることを防止する Object Model (OM) Guard が更新されています。Outlook で最新のウイルス対策ソフトウェアをチェックして、OAB へのアクセスの警告やその他の Outlook のセキュリティ警告を表示する状況を指定できます。

Outlook 2013 には、ユーザーが迷惑メールの受信を減らせるようにするための機能がいくつかあります。Outlook 2013 の迷惑メール フィルターは、以前のバージョンの Outlook でメールのフィルターに使用されていたルールに置き換わるものです。フィルターによって検出されたメッセージは [迷惑メール] フォルダーに振り分けられ、後で表示または削除できます。Outlook 2013 には、迷惑メール フィルターで有効な電子メール メッセージを判別できるようにするための消印機能 (Office Outlook 2007 で導入された機能) が組み込まれています。

迷惑メールの送信者は、グラフィック イメージなどの外部コンテンツが含まれた Web ビーコンを HTML 電子メール メッセージに埋め込む可能性があります。そのような電子メールをユーザーが開くか表示すると、Web ビーコンによってユーザーの電子メール アドレスが有効であることが確認されます。これにより、さらに多くの迷惑メールを受け取る可能性が高くなります。Outlook 2013 では、外部サーバーからの画像の自動ダウンロードを既定でブロックすることにより、ユーザーが迷惑メールのターゲットになる可能性を小さくします。

Outlook 2013 では、フィッシング メールや虚偽のドメイン名によって引き起こされる問題を防止できます。Outlook では、既定でフィッシング メールがスクリーン処理されます。フィッシング メールとは、安全であるように見せかけて、実際にはユーザーの銀行口座番号、パスワードなどの個人情報を盗むように設計された電子メールです。Outlook では、電子メール アドレスに含まれる疑わしいドメイン名に関する警告を表示することにより、虚偽のユーザーからの電子メール メッセージを受け取らないようにすることもできます。Outlook 2013 は、電子メール アドレスの国際化ドメイン名 (IDN) をサポートしています。IDN を使用すると、英語ではなくネイティブ言語でドメイン名を登録および使用できます。IDN のサポートは、フィッシャーによる同形異義語攻撃で利用されてしまいます。この攻撃は、英語だけでなく、さまざまな言語の文字を使用して、正規のドメイン名に類似したドメイン名を作成するものです。ユーザーを騙して安全な Web サイトにアクセスしていると思い込ませることが目的です。

詳細については、「Outlook 2010 のセキュリティと保護の設定の選択」および「Outlook 2010 で迷惑メールの制限を計画する」を参照してください。

暗号化の機能を構成する

Outlook には、セキュリティが強化された電子メール メッセージをインターネットまたはローカル イントラネット経由で送受信するための暗号化の機能が用意されています。Outlook 2013 の展開時にこれらの機能をカスタマイズして、組織にとって適切な暗号化オプションを設定できます。

電子メール メッセージのセキュリティを強化するための追加の機能を実装することもできます。たとえば、組織のセキュリティ ポリシーに合ったセキュリティ ラベルを提供できます。社外に送信または転送してはいけない電子メール メッセージに適用するセキュリティ ラベルとして、"内部使用のみ" などのラベルを実装できます。

詳細については、「Outlook 2010 での電子メール メッセージングの暗号化を計画する」を参照してください。

電子メール メッセージに対する権限を制限する

Information Rights Management (IRM) を使用すると、機密性の高い情報を含む電子メール メッセージやその他の 2007 Office system コンテンツ (ドキュメント、ワークシートなど) が、許可されていないユーザーによって転送、編集、またはコピーされることを防止できます。Outlook 2013 のユーザーは IRM を使用して、電子メール メッセージに "転送不可" のマークを付けることができます。これにより、メッセージの受信者がそのメッセージを転送、印刷、またはコピーする権限は自動的に制限されます。また、組織のニーズに合わせてカスタマイズした Office 全体の IRM 権限ポリシーを定義および展開して、ユーザーがその新しい権限ポリシーを電子メール メッセージやその他の Office ドキュメントに使用するようにすることもできます。詳細については、「Office 2010 で Information Rights Management を計画する」を参照してください。

Outlook 2010 の電子メール プロトコルと電子メール サーバー

Outlook 2013 は、多くの電子メール サーバーおよび電子メール サービスと組み合わせて使用できます。Outlook でサポートしている主な電子メール サーバーおよび電子メール サービスには以下のものが含まれます。

  • 簡易メール転送プロトコル (SMTP)

  • Post Office Protocol 3 (POP3)

  • Internet Mail Access Protocol Version 4 (IMAP4)

  • Exchange Server (Version 2003 およびそれ以降) 用のメッセージング アプリケーション プログラミング インターフェイス (MAPI)

  • Hewlett-Packard OpenMail など、他のメッセージング ソースおよび情報ソース。Outlook 2013 での MAPI 拡張インターフェイスの使用によって、これらのサービス プロバイダーを利用できるようになります。

HTTP は Outlook Connector のインストールによってサポートされます。

ユーザーは電子メール サーバーなしで Outlook 2013 を使用して、連絡先、仕事、予定表の各機能をスタンドアロン構成で使用できます。

以前のバージョンの Outlook からアップグレードする

以前の Outlook のインストールの上に Outlook 2013 をインストールできます。他の Office 2010 アプリケーションと同様、レジストリに保管されたユーザー設定が移行されます。ユーザーのコンピューターに MAPI プロファイルが既に存在する場合は、通常、そのプロファイルを引き続き使用するように展開を構成できます。ただし、インターネット メールのみのモードでインストールされている Outlook 2000 またはそれより前の Outlook からアップグレードする場合は、ユーザー プロファイルを再作成する必要があります。

Outlook 2013 を以前のバージョンの Outlook と同じコンピューターに共存させることはできません。ユーザーのために以前のバージョンが必要な場合は、Outlook 2013 をインストールしたり、Outlook 2013 をアプリケーションの仮想化と共に展開したりしないでください。

以前のバージョンの Outlook からユーザーをアップグレードする場合は、ユーザー プロファイルの構成方法について選択を行い、Exchange キャッシュ モードの問題を検討すると共に、FAX およびフォームの変更に注意する必要があります。

機能の変更と移行に関する考慮事項の概要については、「Outlook 2010 での変更点」を参照してください。

Exchange キャッシュ モードを有効にして Office 2010 にアップグレードする

Office Outlook 2003 または Office Outlook 2007 で Exchange キャッシュ モードを現在有効にしているユーザーをアップグレードするのは簡単です。Exchange キャッシュ モードの設定を変更しなければ、Outlook 2013 で同じ設定が保持されます。.ost または OAB ファイル形式は変更されていないので、アップグレード中にこれらのファイルを作成し直す必要はありません。

ただし、組織の環境内に ANSI 形式の Outlook データ ファイル (.ost) が存在する場合は、ファイルを Outlook 2013 に移行するときに追加的な操作が必要になることがあります。ユーザーが非 Unicode (ANSI) 形式のデータ ファイル (.ost) と大きな Exchange メールボックスを使用している場合は、Outlook でそのメールボックスを .ost ファイルに同期しようとしたときにエラーが発生する可能性があります。そのため、ユーザーの .ost ファイルを Unicode 形式にアップグレードすることをお勧めします (Outlook の ANSI 形式のファイルには 2 GB のサイズ制限がありますが、Outlook の Unicode 形式のファイルにはこの制限がないからです)。Unicode は Outlook 2013 の既定のファイル形式です。既存の非 Unicode (ANSI) 形式の .ost ファイルを Unicode 形式に強制的にアップグレードする方法については、「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードを構成する」の「非 Unicode ANSI 形式の .ost ファイルを Unicode 形式に強制的にアップグレードするには」を参照してください。

Exchange キャッシュ モードの計画に関するその他の考慮事項については、「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードの展開を計画する」を参照してください。

アップグレードの計画でのその他の考慮事項

アップグレードの準備をするときは、以下の質問についても答える必要があります。

他のメール プログラムおよびスケジュール管理プログラムからアップグレードする

他の電子メール プログラムおよびスケジュール管理プログラムから Outlook 2013 にアップグレードできます。Outlook のインポート機能を使用すると、アップグレード プロセスを簡略化できます。

次の表は、Outlook 2013 でサポートされている移行パスを示しています。

ソフトウェア プログラム バージョン

Outlook Express

4.x、5.x、6.x

Eudora Pro、Eudora Light

2.x、3.x、4.x、5.x、6.x、7.x

注意

Microsoft Mail のファイルは Outlook 2013 にインポートできません。また、Outlook 2013 と Schedule+ の間で情報を共有することもできません。