主要業績評価指標を計画する

この記事の内容 :

  • KPI について

  • KPI のデータ ソースを計画する

  • レポートでの KPI を計画する

  • ダッシュボードでの KPI を計画する

  • 個人用サイトでの KPI を計画する

  • ワークシート

主要業績評価指標 (KPI) は、ビジネス目標に照らしてビジネス データを評価するための単純でグラフィカルなスコアカードです。

Microsoft Office SharePoint Server 2007 の初期展開計画の一部として、KPI で使用するデータ ソース、それらのデータ ソースの構成方法と指標状態の評価方法、および組織で使用するサイトに KPI を表示する方法について理解する必要があります。これらの計画は、初期展開時に使用できます。

KPI について

KPI は、組織のビジネス インテリジェンスを表現する中心的な方法です。KPI は状態指標またはスコアカードとも呼ばれ、ビジネス目標に対してビジネス データを評価し、理解しやすいグラフィカルな指標を使って現在の状態を表します。

たとえば、KPI は信号機のアイコンを使用して、顧客満足度が目標値を上回っているのか、一致しているのか、または下回っているのかを示すことができます。組織全体における満足度のプラス評価の割合を計算して、顧客満足度があらかじめ設定されている目標を上回っている場合、顧客満足度の KPI は緑色の信号機のアイコンで表示されます。顧客満足度が最低目標を下回っている場合、顧客満足度の KPI は赤色の信号機のアイコンで表示されます。それ以外の場合は、黄色の信号機のアイコンで表示されます。

KPI を使用することで、主要なビジネス目標に対する進捗をより迅速かつ効率的に評価することができます。KPI を使用しない場合、従業員と管理職は苦労して業績データを抽出し、そのデータを目標に照らして評価し、さらにそのデータを経営幹部向けのレポートに仕立てるために時間を費やすことになるでしょう。最新のデータをすばやく自動的に評価する方法がなければ、現況をタイムリーに把握することは困難です。KPI を使用することで、現在の業績を知る必要があるユーザーは業務用サイトで簡単にレポートを表示したり、個人用サイトで関連指標を確認したりすることができます。

KPI は、さまざまな情報源からのビジネス データに接続し、Web パーツを使用してその情報を KPI の一覧で表示したり、1 つの KPI の詳細を表示したりします。それらの Web パーツは、レポート センター サイトのレポートに追加したり、他のリストやサイトに表示したりすることができます。

それぞれの KPI はデータ ソースから 1 つの値を取得します。1 つのプロパティから取得する場合と、選択したデータの平均値を計算する場合があります。その後、あらかじめ選択した値とその値を比較します。値はリスト形式でデータを表示するのではなく、ある範囲のデータで計算されるので、グループやプロジェクト全体の業績を測定する場合にさらに便利です。一方、特定のユーザーに関するデータの範囲を計算すると (一従業員に関する売り上げのリストなど)、KPI で個人のパフォーマンスを評価することもできます。

KPI を使用するには、まず KPI リストを作成する必要があります。KPI リストは、次の表に示すいずれかのデータ ソースに基づいて KPI を追加できるテンプレートから作成されます。

データ ソース 説明

SharePoint リスト

データは、SharePoint リストから取得されます。リストには、ビジネス データ カタログまたは Microsoft SQL Server 2005 のビジネス データが含まれる場合があります。

Microsoft Office Excel 2007 ワークブック

データは Excel ワークブックから取得されます。

SQL Server 2005 Analysis Services

データは、データ接続ライブラリの接続用の、キューブと呼ばれるデータベース ストアから取得されます。

手動で入力する情報

データは、基礎となるデータ ソースに基づくのではなく、静的リストから取得されます。これは、展開前のテストに使用したり、通常のデータ ソースは使用できないがパフォーマンス インジケータを表示したいという場合に使用するもので、通常はあまり使用されません。

KPI リストを作成したら、次はその KPI リストに関連付ける Web パーツを作成します。KPI データは、以下のどちらかの Web パーツで表示されます。

  • KPI リスト Web パーツ

  • KPI 詳細 Web パーツ

KPI リスト Web パーツは、関連付けられた KPI リストに対応する KPI を一覧で表示します。KPI 詳細 Web パーツは、1 つの KPI の詳細なプロパティを表示します。

KPI の Web パーツを作成したら、次はその Web パーツを以下のさまざまな形で展開できます。

  • レポート センター サイトや代理のレポート センター サイトにある KPI リスト ページ、または別のサイトのレポート ライブラリ

  • 複数レポート要約ページ (ダッシュボード)

  • 個人用設定サイト

KPI リスト ページは、KPI リスト Web パーツ、関連する要約、およびレポートの目的によっては他の Web パーツで構築されるレポートの一種です。KPI リスト ページ レポートを作成すると、KPI リスト Web パーツが既定で組み込まれます。リスト内のそれぞれの KPI をさらに追加する必要があります。また、KPI 詳細 Web パーツを使用することで、レポート内の 1 つの KPI を強調することもできます。

多くの場合、KPI は複数レポート要約ページ (ダッシュボード) の要素として使用されます。ダッシュボードでは、フィルタ Web パーツを使用して、Web パーツに表示されるデータに特定の値に基づいたフィルタを適用します。フィルタ KPI は動的に適用できます。これにより、経営幹部はさまざまな期間の業績をすばやく比較できます。ダッシュボードに他のプロパティでフィルタを適用することもできます。

ダッシュボードの KPI は、データを単に表示するだけではありません。KPI は、組織内の従業員の売り上げ合計または平均など、幅広いカテゴリで計算されます。KPI および KPI の表示に使用するリストや Web パーツを計画するときは、初期展開時に各 KPI の評価方法を理解し、各 KPI のデータ ソースと計算方法を確認しておくようにします。

KPI のデータ ソースを計画する

KPI リスト内の各 KPI は、データ ソースに基づいています。サイト内の KPI を計画する場合は、データ ソースについても計画します。

KPI が SharePoint リストに基づいている場合は、そのプロパティを含めて SharePoint リストを計画する必要があります。多くの場合、KPI リストは、ビジネス データ アプリケーションに関連付けられた列を使用するビジネス データ リストに基づいています。基礎となるデータが更新されると、関連付けられた列の値が更新されます。これらのアプリケーションをビジネス データ カタログに登録し、KPI で使用するプロパティをインポートする計画を立てる必要があります。

対応する KPI の作成に先だって、KPI で使用する SharePoint リストも作成する必要があります。KPI 展開に必要なすべてのリストを各サイト コレクションの各サイトの計画に含めます。

KPI が Office Excel 2007 ワークブックに基づいている場合、役立つ情報を表示する適切なワークブックが存在することを確認します。ワークブックが適切に整理されていなかったり、KPI で使用するはずの情報が欠落している場合もあるので、確認することで改善を図ることができます。このような改善を行うことが、Excel Web Access Web パーツで同じデータを表示する場合や、Office Excel 2007 アプリケーション ウィンドウで直接作業する場合に役立ちます。

SQL Server 2005 Analysis Services キューブのデータの場合、そのデータをデータ接続ライブラリに含めることを計画します。

KPI ソースとして使用する SharePoint リスト、Excel ワークブック、および SQL Server 2005 Analysis Services キューブについては、そのリスト、ワークブック、およびデータ接続ライブラリを配置する場所を検討する必要があります。一般に、このコンテンツが使用されるサイトに保存することをお勧めします。ポータル サイトのホーム ページに KPI を配置している場合、ホーム ページに KPI リストを作成することが適切です。レポート センター サイトのレポートに KPI を配置している場合、KPI リストの KPI に対応するリスト、ワークブック、およびデータ接続ライブラリと、KPI リスト自体をレポート ライブラリに配置することをお勧めします。個人用設定サイトに KPI を配置している場合、関連するデータ ソースをそのサイトに配置すると便利です。次の図は、KPI と他のデータ ソースとの関係を示しています。

KPI の作成、レポート センター サイトでの使用

他のサイトのドキュメント ライブラリやデータ接続ライブラリに保存されたデータ ソースを使用することもできます。これにより、グループ作業や貴重な KPI リストの再利用が促進されます。ただし、初期展開時は、簡単かつ論理的に情報を整理しておくことをお勧めします。また、この場合、サイトとそのコンテンツが同じ場所に保存され、サイト コレクションの中に分散していないと考えることができるので、セキュリティの計画も簡便になります。

手動入力の値が使用されるのは、多くの場合、テスト目的や一時的なものなので、計画段階や初期展開で全面的な展開を始める前に KPI の機能をテストするためにのみ使用することになります。

各 KPI のデータ ソースが何であるかにかかわらず、業績を示すときに使用する適切な値セットを決定する必要があります。データ ソースからの比較値を計算するにはどうするのかを考えてみます。どの列のデータを使用するのか、値は、合計、平均、最大値、最小値から計算するのか、またはその他の方法を使用するのかを決定します。

事前に計画を立てることで、たとえば Excel ワークブックに、KPI で業績を示すために必要な実際のデータ セットが含まれていないことがわかったときに、遅れを回避できます。事前に計画を立て、有用な KPI を出すために必要な情報が当初選択したソースには含まれないことがわかった場合は別のデータ ソースを選択し、できるだけ迅速かつ効率的に展開を終えられるように計画を記録します。

ワークシートでの作業

Microsoft® Office SharePoint® Server 2007 ビジネス データ ワークシート (https://office.microsoft.com/search/redir.aspx?AssetID=AM101583641041) を使用して、KPI の計画決定事項を記録します。

レポートでの KPI を計画する

KPI は、レポート センター サイトのレポートや、レポート ライブラリを含む他のサイトのレポートでよく使用される機能です。レポートは大別して 3 種類あり、その 1 つが KPI リスト ページ レポートです。このレポートには、特定のビジネス プロセスを表す KPI を追加できる KPI リスト Web パーツが含まれます。関連するプロセスの要約やその他の関連コンテンツと Web パーツも含まれます。

KPI リスト ページを計画するときは、各サイト コレクションの主要なビジネス プロセスに重点を置き、関連するプロセスのできるだけ多くの KPI を各リストで組み合わせます。サイト コレクションの主要な目的に関連するそれぞれのビジネス プロセスについて KPI を計画します。こうして、適切な数の KPI リスト ページを作成して、KPI リストと KPI、および各 KPI で使用される SharePoint リスト、Excel ワークブック、および SQL Server 2005 Analysis Services キューブを計画できます。

また、レポート センター サイトのホーム ページに含める KPI リスト ページと、ホーム ページからのリンクを設定する KPI リスト ページを、KPI リスト ページの重要性に基づいて決定すること必要もあります。

さらに、どの KPI をダッシュボードで組み合わせて使用するのかを検討する必要もあります。多数のビジネス アプリケーションとビジネス プロセスで使用される大規模なサイト コレクションの場合は、複数のレポート センター ページを計画するかどうかを検討する必要があります。レポートの詳細については、「レポートを計画する」を参照してください。

ダッシュボードでの KPI を計画する

ダッシュボードは、複数レポート要約ページとも呼ばれ、Web パーツにページ レベルでフィルタを適用できるので、どの Web パーツにもフィルタ適用後の結果だけが表示されます。これは、毎月または毎週の結果、チームの結果、その他複数の基準でフィルタを適用した結果のページを作成する場合に便利です。

多くの場合、KPI はダッシュボードの主要な要素です。KPI をあらゆるフィルタに関連付けることはできませんが、多くのフィルタに関連付けることができます。ダッシュボードに KPI を含めるかどうかを決定するときは、ページの他の要素との関連度合いを考慮します。ダッシュボードの詳細については、「ダッシュボードとフィルタを計画する」を参照してください。

ワークシートでの作業

サイト作成ワークシート (https://office.microsoft.com/search/redir.aspx?AssetID=AM101591991041) を使用して、ダッシュボード ページや、KPI を使用するその他の主要サイトで使用する KPI、KPI リスト、およびデータ ソースを記録します。

個人用サイトでの KPI を計画する

KPI は、個人用設定サイト、個人のサイト、および個人用サイトを構成するパブリック プロファイル ページよりも、レポートやダッシュボードで役に立つことが多いです。ただし、個人用のサイトにも KPI Web パーツを追加することはできます。

ページ上の Web パーツに接続できる現在のユーザーによるフィルタ Web パーツを使用して個人用設定サイトを構築する場合、KPI は接続されませんが、その個人用設定サイトを使用するユーザー グループに情報を提示して、接続およびフィルタ適用される Web パーツを補足します。コール センター チームの個人用設定サイトの場合、KPI リスト Web パーツでチーム全体の顧客満足度、平均通話時間、および問題解決数を示すことで、ページを表示している顧客サービス担当者個人用に設定された Excel Web Access Web パーツを補足します。

個人用設定サイトで現在のユーザーによるフィルタを使用しても、KPI Web パーツに直接フィルタを適用することはできません。元のデータにフィルタを適用したサブセットから計算された時点で、KPI のデータは意味が薄れていることも多いからです。グループの売り上げ数と 1 人の担当者の売り上げ数を追跡する Web パーツからは大幅に異なる値が生成されることが予想されますが、KPI が評価できるのはいずれか 1 つの値セットに対してのみです。したがって、このような場合の KPI にフィルタを適用することはできません。

KPI の対象を限定して、現在の閲覧者が適切な対象ユーザーのメンバであるときに KPI が個人用設定サイトにのみ表示されるようにすることができます。これにより、任意のリストでアイテムの対象を限定するのと同様に、KPI のリスト全体で対象を限定したり、KPI のスコープに応じてリストの個別の KPI で対象を限定したりすることができます。同じ作業グループに属するなど一部のユーザーのみが関心を持つ KPI は、その作業グループのユーザーのみを含むように利用者を定義して、KPI の対象をその利用者に限定できます。営業チームの例を使って説明すると、大阪営業所の結果は大阪営業所の関係者だけに表示できます。

KPI リスト Web パーツを使用すると、1 つの Web パーツに複数の状態指標を表示できます (過去の四半期分の販売記録など)。また、KPI を使用して販売数量、販売合計金額、および対前四半期比を 1 つの Web パーツで示すこともできます。

計画段階で、個人のサイトのテンプレートを変更して 1 つ以上の KPI Web パーツ (設定済みのリストに接続されている) を含めるように決定できます。ユーザーが後から KPI を自身の個人用サイトから削除する可能性もありますが、KPI を目立つように表示したい場合は有効なことがあります。

パブリック プロファイル ページでは、ビジネス プロセスではなく人物に関する情報が示されるので、KPI はあまり役立ちません。パブリック プロファイルへの KPI の追加を検討するのは、初期展開の計画ではない別の機会にすることをお勧めします。

それぞれの個人用設定サイトの KPI は、サイトおよびサイト コレクション全体の目的を反映するものであることを考えます。サイト コレクションが、営業チームのチーム サイトである場合、売り上げデータの KPI を個人用設定サイトに配置するのは適切です。大きな組織全体のグループ作業を目的としているサイト コレクションに KPI を含める場合は、KPI の対象を限定する必要があります。サイト コレクションが人事情報用のサイトで、組織内のグループが組織の目標を満たすために使用するのではなく、ポリシーとビジネス アプリケーションを提供するだけの場合、KPI を使用するのは不適切です。

ワークシートでの作業

サイト作成ワークシート (https://office.microsoft.com/search/redir.aspx?AssetID=AM101591991041) を使用して、個人用設定サイトや、KPI を使用するその他の個人用サイトで使用する KPI、KPI リスト、およびデータ ソースを記録します。

ワークシート

KPI を計画するには、以下のワークシートを使用します。