レポートの種類 (レポート ビルダ 2.0)
レポート ビルダ 2.0 で作成できるレポートは多岐にわたります。このトピックでは、各種レポートの名称や関連用語のほか、レポートが実際にどのように作成され、使用されるかについて説明します。1 つのレポートが、複数のレポートの特徴を併せ持つ場合もあります。たとえば、スナップショット レポートがパラメータ化されたレポートの特徴を備えていたり、サブレポートがリンク レポートの特徴を備えているケースもあります。いずれの場合も、レポート サーバーにパブリッシュされた標準のオンデマンド レポートがあって、そのレポートを用途に応じて使い分けているか、別の用途に合わせてデザインしているだけです。
レポート ビルダ 2.0 では、次の種類のレポートを作成できます。
パラメータ化されたレポート
リンク レポート
スナップショット レポート
キャッシュされたレポート
アドホック レポート
クリックスルー レポート
ドリルスルー レポート
サブレポート
レポートの外観、処理、および配信に関する用語
レポートの種類についての考え方はいくつかあります。レポートでのデータの表示方法として考えることもできます。レポート ビルダ 2.0 では、レポートのデータの外観は、使用するデータ領域によって異なります。たとえば、表形式のレポートとグラフ形式のレポートでは、異なるデータ領域を使用します。データの表示方法の詳細については、「データ領域 (レポート ビルダ 2.0)」を参照してください。同様に、レポートで使用できる機能は、そのレポートをエクスポートするときに使用する形式によって異なります。たとえば、ドリルスルー レポートのような対話機能は、Web ベースのエクスポート形式では使用できますが、PDF などのイメージベースのエクスポート形式では使用できません。レポートの最終的な出力形式がレポートの機能に影響します。各種のエクスポート形式に関するデザイン上の注意事項の詳細については、「レポートのエクスポート (レポート ビルダ 2.0)」を参照してください。
レポートの処理段階に関連する用語もあります。レポート定義、パブリッシュされたレポート、および表示レポートの違いについては、「レポートおよびレポート定義 (レポート ビルダ 2.0)」を参照してください。最後に、レポートのスケジュール設定および要求時レポートについては、「レポート マネージャでレポートをサブスクライブする方法 (レポート ビルダ 2.0)」を参照してください。
パラメータ化されたレポート
パラメータ化されたレポートとは、閲覧者に値を入力させることによって、レポートまたはデータの処理を実行するレポートです。パラメータ化されたレポートを使用すると、レポートの実行時に設定される値に基づいてレポートの出力を変更できます。パラメータ化されたレポートは、ドリルスルー レポート、リンク レポート、およびサブレポートで、関連データへの接続およびフィルタ処理を行う場合によく使用されます。
パラメータの使用
パラメータをデータセット クエリで使用すると、レポート データを選択したり、クエリで返される結果セットをフィルタ処理したり、レポートの一部の表示/非表示を切り替えるレイアウト プロパティを設定したりできます。また、依存している一連のパラメータのドロップダウン リストを生成する、カスケード型パラメータを指定することもできます。たとえば、Region パラメータ値のドロップダウン リストで選択された値によって、City パラメータ値のドロップダウン リストに表示される内容を変化させることができます。
特定のパラメータと各リンク レポートを組み合わせることで、パラメータにより出力結果を変更させることができます。たとえば、単一の地域の売上レポートを全地域の売上を含むように作成しておき、その上で、パラメータを使用して、それぞれのレポート上で、特定の地域のデータだけをフィルタ選択することが可能です。ユーザーが値を入力する必要がないように、特定のパラメータ値をレポートに格納できます。
パラメータの中には、実行時にレポートに表示されないものがあります。レポートの作成者、レポート サーバー管理者、またはコンテンツ マネージャは、使用する値を指定した後、レポート上の入力フィールドを非表示にすることができます。
クエリ パラメータとレポート パラメータ
レポート ビルダ 2.0 は、クエリ パラメータとレポート パラメータの 2 種類のパラメータをサポートしています。クエリ パラメータは、データの処理中に、データを選択またはフィルタ処理するために使用されます。クエリ パラメータは、データ処理拡張機能の構文で指定します。クエリ パラメータが指定されている場合、レポートのデータを取得する SELECT ステートメントまたはストアド プロシージャを実行するには、ユーザーが値を指定するか、または既定のプロパティで値を指定する必要があります。
レポート パラメータは、レポートの処理中に、データをさまざまな側面から表示するために使用されます。レポート パラメータは通常は、多数のレコードに対してフィルタを適用するために使用されますが、レポートで使用されるクエリおよび式によっては他の用途があります。レポート パラメータとクエリ パラメータは、レポート パラメータがレポート内で定義され、レポート サーバーによって処理されるのに対し、クエリ パラメータはデータセット クエリの一部として定義され、データベース サーバーで処理されるという点で異なります。詳細については、「レポートへのパラメータの追加 (レポート ビルダ 2.0)」を参照してください。
リンク レポート
リンク レポートは、既存のレポートへのアクセス ポイントとなるレポート サーバー アイテムです。概念的には、プログラムを実行したりファイルを開くのに使用する、プログラム ショートカットに似ています。
リンク レポートは、既存のレポートから派生し、元のレポート定義を保持しています。リンク レポートは、常に、元のレポートのレポート レイアウトおよびデータ ソース プロパティを継承します。セキュリティ、パラメータ、場所、サブスクリプション、スケジュールなど、その他のプロパティおよび設定はすべて、元のレポートとは異なる場合があります。
既存のレポートの追加バージョンを作成するときに、リンク レポートを作成することができます。たとえば、単一の地域の売上レポートを使用し、すべての販売区域について、地域固有のレポートを作成することができます。
リンク レポートは通常はパラメータ化されたレポートに基づいていますが、パラメータ化されたレポートは必須ではありません。異なる設定を使用して既存のレポートを配置する場合は常にリンク レポートを作成できます。詳細については、「レポート マネージャでリンク レポートを作成する方法 (レポート ビルダ 2.0)」を参照してください。
スナップショット レポート
レポート スナップショットは、特定の時点で取得されたレイアウト情報およびクエリ結果を含むレポートです。レポートを選択したときに最新のクエリ結果を取得する要求時レポートとは異なり、レポート スナップショットはスケジュールに従って処理され、その後、レポート サーバーに保存されます。表示するレポート スナップショットを選択すると、レポート サーバーによってレポート サーバー データベースに格納されたレポートが取得され、スナップショット作成時点のレポートで最新だったデータとレイアウトを表示します。
レポート スナップショットは、特定の表示形式では保存されません。その代わりに、レポート スナップショットは、ユーザーまたはアプリケーションが要求したときのみ、最終的な表示形式 (HTML など) で表示されます。遅延表示により、スナップショットの移植性が実現します。レポートは、要求元のデバイスまたは Web ブラウザの適切な形式で表示できます。
レポート スナップショットは 3 つの目的を果たします。
レポート履歴。一連のレポート スナップショットを作成することにより、時間の経過と共にデータがどのように変化するのかを示すレポートの履歴を構築できます。
一貫性。同一のデータを使用して作業する必要のある複数のユーザーに一貫した結果を提供するときに、レポート スナップショットを使用します。変化しやすいデータを使用した場合、レポートを要求するたびに異なる結果が生成される可能性があります。一方、レポート スナップショットでは、同時点のデータを含む他のレポートや分析ツールとの有効な比較が可能になります。
パフォーマンス。大きなレポートをオフピーク時に実行するようにスケジュールを設定することで、ピーク時にレポート サーバーに与える処理の影響を軽減できます。
キャッシュされたレポート
キャッシュされたレポートは、処理済みのレポートの保存されたコピーです。キャッシュされたレポートを使用すると、レポート プロセッサに対する処理要求の数が減少し、サイズの大きなレポートの取得に要する時間が削減され、パフォーマンスが向上します。キャッシュされたレポートには、必須の有効期限があります (通常は分単位)。
クリックスルー レポート
レポート ビルダ 2.0 では、クリックスルー レポートはサポートされません。
ドリルスルー レポート
ドリルスルー レポートとは、元のレポート内にあるテキスト ボックスのハイパーリンクからアクセスする標準レポートです。ドリルスルー レポートはパラメータによってフィルタ処理することができますが、必須ではありません。ドリルスルー レポートとサブレポートの違いは、ドリルスルー レポートは元のレポート内には表示されず、個別に表示されるという点です。クリックスルー レポートとの違いは、ドリルスルー レポートはデータ ソースから自動生成されるのではなく、レポート サーバーに保存されるカスタム レポートであるという点です。詳細については、「ドリルスルー レポートの追加 (レポート ビルダ 2.0)」を参照してください。
サブレポート
サブレポートは、メインのレポート本文内に別のレポートを表示するレポートです。概念上、サブレポートは Web ページ内のフレームとほぼ同じです。これは、レポートをレポート内に埋め込むために使用されます。サブレポートには、任意のレポートを使用できます。サブレポートが表示するレポートは、レポート サーバー上に保存し、通常は親レポートと同じフォルダに置かれます。親レポートからサブレポートにパラメータを渡すようにも設定できます。パラメータを使用してサブレポートの各インスタンスのデータをフィルタ処理することにより、サブレポートをデータ領域内で繰り返し使用することができます。詳細については、「サブレポートの追加 (レポート ビルダ 2.0)」を参照してください。