チュートリアル : 初めての PowerPoint 用アプリケーション レベルのアドインの作成

このチュートリアルでは、Microsoft Office PowerPoint 用のアプリケーション レベルのアドインを作成する方法について説明します。 この種のソリューションに作成した機能は、どのプレゼンテーションが開いているかにかかわらず、アプリケーション自体に対して使用できます。 詳細については、「Office ソリューションの開発の概要」を参照してください。

対象: このトピックの情報は、PowerPoint 2007 と PowerPoint 2010 のアプリケーション レベルのプロジェクトに適用されます。詳細については、「Office アプリケーションおよびプロジェクト タイプ別の使用可能な機能」を参照してください。

このチュートリアルでは、次の作業について説明します。

• PowerPoint 用の PowerPoint アドイン プロジェクトを作成する。

• PowerPoint のオブジェクト モデルを使用して、それぞれの新しいスライドにテキスト ボックスを追加するコードを記述する。

• プロジェクトをビルドし、実行してテストする。

• プロジェクトをクリーンアップして、開発用コンピューターでこのアドインが自動的に実行されないようにする。

注意

お使いのマシンで、Visual Studio ユーザー インターフェイスの一部の要素の名前や場所が、次の手順とは異なる場合があります。 これらの要素は、使用している Visual Studio のエディションや独自の設定によって決まります。 詳細については、「Visual Studio の設定」を参照してください。

関連のビデオ デモについては、「How Do I: Create an Add-in for Microsoft PowerPoint? (操作方法: Microsoft PowerPoint のアドインを作成する)」を参照してください。

必須コンポーネント

このチュートリアルを実行するには、次のコンポーネントが必要です。

-

Microsoft Office 開発者ツールを含むエディションの Visual Studio 2010。 詳細については、「[Office ソリューションを開発できるようにコンピューターを構成する](bb398242\(v=vs.100\).md)」を参照してください。

• PowerPoint 2007 または PowerPoint 2010

プロジェクトの作成

新しいプロジェクトを作成するには

1. Visual Studio を起動します。

2. [ファイル] メニューの [新規作成] をポイントし、[プロジェクト] をクリックします。

3. テンプレート ペインで、[Visual C#] または [Visual Basic] を展開し、[Office] を展開します。

4. 展開した [Office] ノードの下で、[2007] ノード (PowerPoint 2007 がインストールされている場合) または [2010] ノード (PowerPoint 2010 がインストールされている場合) を選択します。

5. プロジェクト テンプレートの一覧で、[PowerPoint 2007 アドイン] または [PowerPoint 2010 アドイン] を選択します。

6. [プロジェクト名] ボックスに「FirstPowerPointAddIn」と入力します。

7. [OK] をクリックします。

   Visual Studio により FirstPowerPointAddIn プロジェクトが作成され、ThisAddIn コード ファイルがエディターで開かれます。

新しいスライドにテキストを追加するコードの記述

次に、ThisAddIn コード ファイルにコードを追加します。 新しいコードでは PowerPoint のオブジェクト モデルを使用して、それぞれの新しいスライドにテキスト ボックスを追加します。 ThisAddIn コード ファイルには、次のコードが既定で含まれています。

• ThisAddIn クラスの部分定義。 このクラスは、コードのエントリ ポイントを提供し、PowerPoint のオブジェクト モデルへのアクセスを提供します。 詳細については、「アプリケーション レベルのアドインのプログラミング」を参照してください。 ThisAddIn クラスの残りの部分は、変更することができない非表示のコード ファイルに定義されています。

• ThisAddIn_Startup イベント ハンドラーおよび ThisAddIn_Shutdown イベント ハンドラー。 これらのイベント ハンドラーは、PowerPoint がアドインを読み込むときとアンロードするときに呼び出されます。 これらのイベント ハンドラーを使用して、読み込まれるときにはアドインを初期化し、アンロードされるときにはアドインが使用したリソースをクリーンアップします。 詳細については、「Office プロジェクトのイベント」を参照してください。

それぞれの新しいスライドにテキスト ボックスを追加するには

1. ThisAddIn コード ファイルで、次のコードを ThisAddIn クラスに追加します。 このコードは、Application オブジェクトの PresentationNewSlide イベントのイベント ハンドラーを定義します。

   ユーザーがアクティブなプレゼンテーションに新しいスライドを追加すると、このイベントにより、新しいスライドの上部にテキスト ボックスが追加され、テキスト ボックスにいくつかのテキストが追加されます。

   Private Sub Application_PresentationNewSlide(ByVal Sld As PowerPoint.Slide) _
       Handles Application.PresentationNewSlide
       Dim textBox As PowerPoint.Shape = Sld.Shapes.AddTextbox( _
           Office.MsoTextOrientation.msoTextOrientationHorizontal, 0, 0, 500, 50)
       textBox.TextFrame.TextRange.InsertAfter("This text was added by using code.")
   End Sub
   

   void Application_PresentationNewSlide(PowerPoint.Slide Sld)
   {
       PowerPoint.Shape textBox = Sld.Shapes.AddTextbox(
           Office.MsoTextOrientation.msoTextOrientationHorizontal, 0, 0, 500, 50);
       textBox.TextFrame.TextRange.InsertAfter("This text was added by using code.");
   }
   

2. C# を使用している場合は、次のコードを ThisAddIn_Startup イベント ハンドラーに追加します。 このコードは、Application_PresentationNewSlide イベント ハンドラーを PresentationNewSlide イベントに接続するために必要です。

   this.Application.PresentationNewSlide += 
       new PowerPoint.EApplication_PresentationNewSlideEventHandler(
       Application_PresentationNewSlide);
   

新しいスライドを変更するために、前のコード例では次のオブジェクトを使用しています。

• ThisAddIn クラスの Application フィールド。 Application フィールドは、PowerPoint の現在のインスタンスを表す Application オブジェクトを返します。

• PresentationNewSlide イベントのイベント ハンドラーの Sld パラメーター。 Sld パラメーターは、新しいスライドを表す Slide オブジェクトです。 詳細については、「PowerPoint ソリューション」を参照してください。

プロジェクトのテスト

プロジェクトをビルドして実行し、プレゼンテーションに追加した新しいスライドにテキスト ボックスが表示されることを確認します。

プロジェクトをテストするには

1. F5 キーを押して、プロジェクトをビルドおよび実行します。

   プロジェクトをビルドすると、コードはアセンブリにコンパイルされ、プロジェクトのビルド出力フォルダーに保存されます。 さらに Visual Studio は、PowerPoint がアドインを検出して読み込むようにする一連のレジストリ エントリを作成し、アドインを実行できるように開発用コンピューター上のセキュリティを設定します。 詳細については、「Office ソリューション ビルド処理の概要」を参照してください。

2. PowerPoint で、アクティブなプレゼンテーションに新しいスライドを追加します。

3. スライド上部の新しいテキスト ボックスに、次のテキストが追加されることを確認します。

   This text was added by using code.

4. PowerPoint を閉じます。

プロジェクトのクリーンアップ

プロジェクトの開発を完了したら、アドイン アセンブリ、レジストリ エントリ、およびセキュリティ設定を開発用コンピューターから削除します。 この操作を行わないと、開発用コンピューター上で PowerPoint を起動するたびにアドインが実行されます。

プロジェクトをクリーンアップするには

• Visual Studio で、[ビルド] メニューの [ソリューションのクリーン] をクリックします。

次の手順

PowerPoint 用の基本的なアプリケーション レベルのアドインを作成した後は、アドインの作成方法の詳細について、以下のトピックを参照してください。

• PowerPoint 用のアドインで実行できる一般的なプログラミング タスク。 詳細については、「アプリケーション レベルのアドインのプログラミング」を参照してください。

• PowerPoint のオブジェクト モデル ドキュメントの使用。 詳細については、「PowerPoint ソリューション」を参照してください。

• PowerPoint の UI のカスタマイズ (リボンへのカスタム タブの追加、独自のカスタム作業ウィンドウの作成など)。 詳細については、「Office UI のカスタマイズ」を参照してください。

• PowerPoint 用のアプリケーション レベルのアドインのビルドとデバッグ。 詳細については、「Office ソリューションのビルドとデバッグ」を参照してください。

• PowerPoint 用のアプリケーション レベルのアドインの配置。 詳細については、「Office ソリューションの配置」を参照してください。

参照

概念

アプリケーション レベルのアドインのプログラミング

PowerPoint ソリューション

Office UI のカスタマイズ

Office ソリューションの配置

Office プロジェクト テンプレートの概要

その他の技術情報

Office ソリューションのビルドとデバッグ