ユーザー状態移行ツール (User State Migration Tool) の概要

このトピックでは、ファイルと設定を移行する際の一般的なプロセスについて簡単に説明します。

このトピックの内容

  • 手順 1: 移行を計画する

  • 手順 2: 移行元コンピューターからファイルと設定を収集する

  • 手順 3: 移行先コンピューターを準備してファイルと設定を復元する

手順 1: 移行を計画する

  1. 移行の計画。移行シナリオ (コンピューターのリフレッシュまたはコンピューターの交換) に応じて、オンライン移行を行うか、Windows プレインストール環境 (Windows Preinstallation Environment) または Windows.old ディレクトリ内のファイルを使ってオフライン移行を行うかを選ぶことができます。詳しくは、「一般的な移行シナリオ」をご覧ください。

  2. 移行対象の決定。移行の検討対象になるデータには、エンド ユーザーの情報、アプリケーション設定、オペレーティング システム設定、ファイル、フォルダー、レジストリ キーなどが含まれます。

  3. データの格納場所を決めます。移行ストアのサイズに応じて、データをリモートに格納するか、ローカルのハードリンク移行ストア (またはローカルの外部ストレージ デバイス) に格納するか、移行先コンピューターに直接格納するかを選ぶことができます。詳しくは、「移行ストアの種類の選択」をご覧ください。

  4. /genmigxml コマンド ライン オプションを使って、移行対象に含めるファイルを決め、修正が必要かどうかを確認します。詳しくは、「ScanState の構文」をご覧ください。

  5. 必要に応じて、Migration.xml ファイルと MigDocs.xml ファイルのコピーに変更を加え、カスタム .xml ファイルを作成します。移行の動作を変更する場合 (ドキュメント フォルダーは移行するが、ミュージック フォルダーは移行しないなど)、カスタム .xml ファイルを作成するか、既存の移行 .xml ファイル内の規則を変更することができます。ドキュメント検索機能 (MigXmlHelper.GenerateDocPatterns ヘルパー関数) を利用すると、長大なカスタム移行 .xml ファイルを作成しなくても、コンピューター上のユーザー ドキュメントを自動的に検索することができます。

    重要

    必ず、ユーザー状態移行ツール (USMT) 5.0 に付属している .xml ファイルのコピーを作成し、変更を加えるようにすることをお勧めします。オリジナルの .xml ファイルは決して変更しないでください。

    .xml ファイルの作成と検証には、MigXML.xsd ファイルを利用できます。これらのファイルを変更する方法について詳しくは、「USMT XML リファレンス」をご覧ください。

  6. 移行から除外するコンポーネントがある場合は Config.xml ファイルを作成します。このファイルを作成するには、ScanState コマンドを実行する際に、/genconfig オプションを他の .xml ファイルと共に指定します。たとえば、次のコマンドは、MigDocs ファイルと MigApp.xml ファイルを使って Config.xml ファイルを作成します。

    scanstate /genconfig:config.xml /i:migdocs.xml /i:migapp.xml /v:13 /l:scanstate.log

  7. Config.xml ファイルに列挙されているコンポーネントの移行状態を確認し、移行対象から除外するすべてのコンポーネントについて、migrate=no を指定します。

手順 2: 移行元コンピューターからファイルと設定を収集する

  1. 移行元コンピューターをバックアップします。

  2. すべてのアプリケーションを終了します。実行中のアプリケーションがある状態で ScanState コマンドを実行すると、指定したデータの一部が USMT によって移行されない場合があります。たとえば、Microsoft(R) Office Outlook(R) が開いている場合、USMT が PST ファイルを移行できない可能性があります。

    注意

    ファイルまたは設定を移行できなかった場合、USMT は移行に失敗します (ただし、/c オプションが指定されている場合を除く)。/c オプションを指定した場合、USMT はエラーを無視します。使用中であるために移行できないファイルが見つかると、USMT がその都度、ログにエラーを記録します。無視できるエラーと、移行の失敗を伴う必要のあるエラーは、Config.xml ファイルの <ErrorControl> セクションで指定できます。

  3. 移行元コンピューターで ScanState コマンドを実行し、ファイルと設定を収集します。ScanState コマンドに適用するすべての .xml ファイルを指定する必要があります。例:

    scanstate \\server\migration\mystore /config:config.xml /i:migdocs.xml /i:migapp.xml /v:13 /l:scan.log

    注意

    移行元コンピューターで Windows Vista(R)、Windows 7、Windows 8 のいずれかが実行されている場合、ScanState コマンドを管理者モードで実行する必要があります。管理者モードで実行するには、[コマンド プロンプト] を右クリックし、[管理者として実行] をクリックします。移行元コンピューターで Windows XP が実行されている場合は、管理者の資格情報を持つアカウントから ScanState コマンドを実行する必要があります。ScanState コマンドがどのようにデータを処理し、格納するかについて詳しくは、「USMT のしくみ」をご覧ください。

  4. 作成したストアが破損していないことを確認するには、UsmtUtils コマンドに /verify オプションを指定して実行します。

手順 3: 移行先コンピューターを準備してファイルと設定を復元する

  1. 移行先コンピューターに、オペレーティング システムをインストールします。

  2. 移行元コンピューターに存在していたすべてのアプリケーションをインストールします。必須ではありませんが、ユーザー状態を復元する前に、すべてのアプリケーションを移行先コンピューターにインストールしておくことをお勧めします。そうすることで、移行対象の設定を確実に維持することができます。

    注意

    移行先コンピューターにインストールするアプリケーションのバージョンは、移行元コンピューターと同じバージョンであることが必要です。USMT では、以前のバージョンから新しいバージョンにアプリケーションの設定を移行することはサポートされません。ただし、Microsoft(R) Office については例外的に、USMT で以前のバージョンから新しいバージョンに移行することができます。

  3. すべてのアプリケーションを終了します。実行中のアプリケーションがある状態で LoadState コマンドを実行すると、指定したデータの一部が USMT によって移行されない場合があります。たとえば、Microsoft Office Outlook が開いている場合、USMT が PST ファイルを移行できない可能性があります。

    注意

    エラーが発生した場合に移行を継続するには、/c を使います。無視できるエラーと、移行の失敗を伴う必要のあるエラーは、Config.xml ファイルの <ErrorControl> セクションを使って指定します。

  4. 移行先コンピューターで LoadState コマンドを実行します。ScanState コマンドの使用時に指定した .xml ファイルをすべて指定してください。ただし、ストアに移行したファイルや設定の一部を除外する必要がない限り、Config.xml ファイルを指定する必要はありません。たとえば、マイ ドキュメント フォルダーをストアには移行するが、対象コンピューターには移行しないということもできます。このような場合は、Config.xml ファイルに変更を加えたうえで、LoadState コマンドを使ってこの変更後のファイルを指定します。これで自分の意図したファイルと設定だけが、LoadState コマンドによって移行されます。LoadState コマンドがどのようにデータを処理し、移行するかについて詳しくは、「USMT のしくみ」をご覧ください。

    たとえば、次のコマンドでは、ファイルと設定が移行されます。

    loadstate \\server\migration\mystore /config:config.xml /i:migdocs.xml /i:migapp.xml /v:13 /l:load.log

    注意

    LoadState コマンドを管理者モードで実行します。[コマンド プロンプト] を右クリックして、[管理者として実行] をクリックしてください。

  5. LoadState コマンドの実行後、ログオフします。一部の設定 (フォント、壁紙、スクリーン セーバーの設定など) は、次回ユーザーがログオンするまで反映されません。