iSCSI Target ブートの概要

適用対象: Windows Server 2016

Windows Server の iSCSI ターゲット サーバーでは、単一のオペレーティング システム イメージを一か所に格納し、そのイメージから数百台のコンピューターを起動できます。 これにより、効率、管理容易性、および可用性が向上し、セキュリティが強化されます。

機能の説明

差分仮想ハード ディスク (VHD) を使用することで、単一のオペレーティング システム イメージ ("マスター イメージ") で最大で 256 台のコンピューターを起動できます。 例として、約 20 GB のオペレーティング システム イメージで Windows Server を展開し、2 つのディスク ドライブをミラー化して、ブート ボリュームとして機能させたとします。 以前は、オペレーティング システム イメージで 256 台のコンピューターを起動するだけで約 10 TB の記憶域が必要でした。 一方、iSCSI ターゲット サーバーを使用した場合、オペレーティング システムの基本イメージに 40 GB、差分仮想ハード ディスクにサーバー インスタンスあたり 2 GB 使用し、合計でオペレーティング システム イメージに 552 GB 使用します。 このため、オペレーティング システム イメージのみに使用する記憶域の 90% 以上を節約できます。

実際の適用例

管理されたオペレーティング システム イメージを使用すると、次のような利点があります。

セキュリティの強化と管理容易性の向上 企業によっては、記憶域を物理的に 1 か所に固定してデータを保護する必要があります。 このシナリオでは、サーバーがデータ (オペレーティング システム イメージを含む) にリモートからアクセスします。 iSCSI ターゲット サーバーを使用すると、管理者はオペレーティング システムのブート イメージを一元的に管理し、マスター イメージに使用するアプリケーションを制御できます。

迅速な展開。 マスター イメージは Sysprep を使用して準備されるため、コンピューターをマスター イメージから起動すると、Windows セットアップ中に行われるファイルのコピーとインストール フェーズをスキップし、カスタマイズ フェーズに直接進みます。 マイクロソフトの内部テストでは、256 台のコンピューターを 34 分で展開できました。

迅速な回復 オペレーティング システム イメージは iSCSI ターゲット サーバーを実行するコンピューターでホストされるため、ディスクなしのクライアントを置き換える必要がある場合は、新しいコンピューターからオペレーティング システム イメージを参照し、即座に起動できます。

注意

さまざまなベンダーから記憶域ネットワーク (SAN) ブート ソリューションが提供されていますが、Windows Server の iSCSI ターゲット サーバーでは、商用ハードウェアでこのソリューションを使用できます。

ハードウェア要件

iSCSI ターゲット サーバーには、機能を検証するための特殊なハードウェアは必要ありません。 大規模な展開のデータ センターでは、設計を特定のハードウェアに対して検証する必要があります。 参考までに、Microsoft での内部テストでは、256 台のコンピューター展開の場合、記憶域には RAID 10 構成で 24 台の 15,000 RPM のディスクが必要でした。 ネットワーク帯域幅は、10 ギガビットが最適です。 一般的な概算では、1 ギガビットのネットワーク アダプターあたり 60 台の iSCSI ブート サーバーになります。

このシナリオでは特別なネットワーク アダプターを必要とせず、ソフトウェア ブート ローダー (オープン ソースの iPXE ブート ファームウェアなど) を使用できます。

ソフトウェア要件

iSCSI ターゲット サーバーは、サーバー マネージャーのファイル サービスと iSCSI サービスの役割サービスの一部としてインストールできます。

注意

iSCSI からは、Windows iSCSI ターゲット サーバーとサード パーティによるターゲット実装のどちらであっても、Nano Server を起動することはできません。

その他の参照情報