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Power BI での視覚化に関するトラブルシューティング

適用対象: Power BI Desktop Power BI サービス

このドキュメントでは、Power BI を視覚化する場合に考慮すべき事項と制限事項、およびよくあるコンテンツ配布の問題をトラブルシューティングする方法について説明します。 発生しうる問題と既知の問題に対処するとともに、レポート デザインとユーザー エクスペリエンスで一貫性と最適なパフォーマンスを確保するためのソリューションを紹介します。

スライサーとフィルター

このセクションでは、ユーザーがスライサーとフィルターを扱う場合に発生しうる問題に対処します。

[クリア] ボタン

ユーザーからオリジナルのスライサー ビジュアルで [クリア] ボタンがなかなか見つからないという声が寄せられています。 [クリア] ボタンは、[Slicer Header] (スライサー ヘッダー) に消しゴム アイコンで示され、マウスホバー時にのみ表示されます。 ユーザーがレポートを作成するときに、[Slicer Header] (スライサー ヘッダー) を無効にし、レポートのビジュアルに対して既定では無効になっている [Visual Container Title] (ビジュアル コンテナー タイトル) を有効にすることがあります。 [クリア] ボタンにアクセスできるようにするには、[Slicer Header] (スライサー ヘッダー) の表示を元に戻しますスライサー ビジュアルが新しくなり[クリア] ボタンは [Visual Container Header] (ビジュアル コンテナー ヘッダー) に移り、スライサー ヘッダーが個別に存在するという概念がなくなりました。 こうした新しいスライサーでは、レポートを作成する際に [Visual Container Header] (ビジュアル コンテナー ヘッダー) を無効にすると、[クリア] ボタンが使用できなくなります。

特に範囲スライサーの場合、発行する前に [クリア] アイコンを選択し、その状態のまま [保存] を選択することをお勧めします。 それ以外のスライサーの場合、レポートの利用者が特定のフィルターセットで始められるようにレポートの作成者がデフォルトの選択を意図的に保存することもできますが、期間スライサーは通常クリアされた状態で開始されたときに最適に動作します。 ブックマークを作成するときは、スライサーがクリアされるか意図的に設定されるようにしてください。

固定フィルター

Power BI Reports には、エンドユーザーが選択したスライサーとフィルターを自動的に保存して、後でユーザーがレポートを表示するときに再適用されるようにする設定があります。 この設定は既定では有効になっており、ユーザーごとにエクスペリエンスが異なる可能性があります。 レポートでブックマークも使用する場合は、予期しない結果を招く可能性があります。 レポートの利用者全員がまったく同じフィルター状態で開始できるようにする場合は、レポートで固定フィルターを無効にします。 Power BI Desktop で、[ファイル] メニューから [オプション] ダイアログを開き、[現在のファイル] セクションの [レポート設定] を選択します。 Power BI サービスで、[ファイル] メニューから [設定] を開いて [レポート設定] パネルを表示し、[固定フィルター] オプションを切り替え[エンド ユーザーがこのレポートでフィルターを保存することを許可しない] オプションを有効にします。 この設定により、フィルターに加えたユーザーの変更が保存されず、作成者がレポートを発行したときのままのフィルター構成が維持されます。 ユーザーは、右上の領域にある [既定値にリセット] ボタンをクリックして、いつでも作成時の状態にリセットできます。

[選択]

すべて選択という用語は、その実際の操作を考えると誤解を招く可能性があります。 その言葉とは裏腹に、すべて選択は実際にはすべての項目を選択するわけではありません。 そうではなく、反転選択の原則で動作します。つまり、選択解除した項目がクエリに含まれることになります。 クエリで数千もの値が送信されるという事態を回避できるため、このアプローチの方が効率的です。 否定フィルターで選択解除した値のみが送信されるため、プロセスが簡素になり、クエリの負荷が軽減されました。

[スライサー] を使用してレポートをフィルターするときに、[選択された値] が適用されなくなっているのに選択されたままであるため、混乱を招き、選択した項目が再度表示されていると誤解される可能性があります。 [スライサー] では選択された値が保存されるため、後でレポートを表示するときにその値は選択されたままの状態で表示されます。 ただし、基盤となるデータやユーザー アクセス許可が変更された場合、これらの選択された値は関連性が失われ適切な値ではなります。 レポートを作成するときに、特定のユーザーにとって不適切になるような項目を選択したままでレポートを保存し発行しないようにする必要があります。特に、行レベル セキュリティ (RLS) が実装されている環境ではそうです。 レポートを保存し配布する前に、広く一般に適用すべきでない項目は選択解除することをお勧めします。

What if

Power BI の What If パラメーターは、最大 1,000 個の一意の値を処理するように設計されています。 パラメーターがこの制限を超えた場合は、値が均等にサンプリングされるため、詳細なシナリオ分析のニーズが満たされないことがあります。 この制限が課されているのは、Power BI のパフォーマンスを確保し、管理を容易にするためです。 1,000 を超える一意の値が必要な場合は、パラメーター値がこの制約内に収まるようにサンプリングされるため、細分性が失われる可能性があります。 この制限を回避するには、一意の値の合計数が 1,000 を超えないように What If パラメーターの細分性を調整します。

レポート ロケール

このセクションでは、ビジュアルに日付が含まれている場合に発生しうる問題に対処します。

書式指定文字列

必要な詳細のみを表示して領域を節約するために、Power BI のビジュアル要素によっては日付にモデル書式設定文字列が使用されません。 このため、表示される日付形式がユーザーの想定と違う場合には混乱を招くおそれがあります。 Power BI のこうした要素については、ブラウザーのロケール設定に基づいて日付の書式設定が決定されます。 つまり、ユーザーのブラウザーにレポートの日付の表示形式に影響を及ぼす設定があり、その設定によって要素の書式設定が異なることがあります。 一貫性を確保するために、レポートの作成者はブラウザーのロケールが日付の書式設定に与える影響を十分に理解する必要があります。 この影響を受ける領域には一般に、[スライサー][Cartesian Axis Tick Labels] (デカルト軸目盛りラベル)、さらに [フィルター ウィンドウ] の一部のセクションなどがあります。

表示単位のサフィックス

Power BI は、ユーザーの環境の地域設定またはシステム設定に合わせて表示単位のサフィックスを動的に変更します。 このように自動的に調整することで、地域の表記規則との一貫性が保たれますが、異なる地域間またはシステム間でレポートを共有するときに混乱を招くおそれがあります。 現時点で、Power BI 内で場所やシステム設定に関係なく表示単位のサフィックスを直接ロックできる機能はありません。 ただし、ユーザーは一貫性のある表示単位になるようにビジュアルの書式設定を手動で調整できます。 この調整は、値を表示するビジュアル コンポーネントごとに行う必要があります。 カスタム書式文字列を表示するためには、ビジュアルの書式設定に表示単位を設定しないようにする必要があります。場合によっては、[既定値にリセット] をクリックして表示単位のオーバーライドをクリアする必要があります。

フォント

このセクションでは、Power BI でフォントを扱う場合に発生しうる問題に対処します。

既定のフォント

macOS ユーザーが Microsoft 所有のフォントを使用した場合、そうしたフォントが既定では macOS システムに含まれていないために、フォント レンダリングに関する問題が発生することがあります。 macOS に特定の Microsoft フォントがない場合、既定では代替フォントが設定されます。 このフォールバックにより、テキストをレンダリングする際に不一致が生じ、特にフォント サイズとレイアウトの一貫性が失われることがあります。 これにはユーザーが対処でき、欠けている Microsoft フォントを macOS デバイスに手動でインストールできます。 これにより、レポートとドキュメントが意図したとおりの外観でレンダリングされるようになります。 あるいは、レポートを作成するときに、Windows と macOS の両方のプラットフォームで一般に広く使用されているフォントを選択して、このような問題を回避することもできます。

カスタム フォント

Power BI Reports にカスタム フォントを組み込むときは、カスタム テーマ ファイルにフォントを正しく指定することが不可欠です。 フォントを対応する正しいオペレーティング システム (OS) 名で参照する必要があります。この名前は、表示名とは異なることがあります。 表示名を使用すると、レポートでフォントが認識されなかったりレポートに適用されなかったりする場合があります。 適切なフォント名が使用されていることを確認するには、Windows コントロール パネルの [フォント] セクションに移動します。 ここで、フォントの正確な OS 名を確認できます。 確認したら、カスタム テーマ ファイルでこの名前を使用して、Power BI レポートにカスタム フォントを正しく適用します。

各エンド ユーザーのローカル コンピューターに、Power BI レポートで使用されるフォントをインストールする必要があります。 これは、レポート自体にフォントが埋め込まれないためです。 フォントがローカルにインストールされていない場合、エンド ユーザーがレポートを表示したときに、フォントが正しく表示されません。 この結果、レポートの外観に不一致が生じ、ユーザー エクスペリエンス全体に影響が及ぶ可能性があります。 フォントがエンド ユーザー全体で一貫して使用されるように、IT グループ ポリシーを使用して社内でフォントを一元的に配布することをお勧めします。 このポリシーにより、関連するすべてのマシンに必要なフォントを簡単にインストールできるため、意図したとおりにレポートのデザインと読みやすさを維持できます。

また、メール サブスクリプションを使用している場合、PDF へのエクスポート、PowerPoint へのエクスポート、イメージへのエクスポートといったエクスポート コマンドが実行されてサーバーでレンダリングが行われると、カスタム フォントが使用できなかったり正しくレンダリングされなかったりすることがあります。

このセクションでは、レポートで色を使用する場合に発生しうる問題に対処します。

系列への色の割り当て

Power BI で系列にテーマの色を割り当てる場合、その系列が静的か動的かによって割り当て方法が異なる場合があります。 そのため、異なるレポート ビュー間で色の表現に不一致が生じる可能性があります。 静的系列の場合、Power BI は系列のインデックス番号に基づいてテーマの色を割り当てます。 一方、動的系列の場合、先着順で色が割り当てられます。 このため、ある系列に選択される色は、レポート ページが表示される順序やフィルターを適用する順序に応じて変わることがあります。また、行レベル セキュリティ (RLS) が使用されている場合は、ユーザーに応じて変わることもあります。 動的系列の色に一貫性を持たせるために、レポートの書式設定内の系列ごとに色を明示的に定義することをお勧めします。 これにより、表示される順序や適用されるフィルターに関係なく、系列ごとに定義した色が保持されるようになります。

テーマ

このセクションでは、カスタム テーマを操作する場合に発生しうる問題に対処します。

既定の設定

Power BI でビジュアル固有の書式設定オプションを設定すると、カスタム テーマで定義済みのプロパティをその設定でオーバーライドできます。 これは、ビジュアル レベルで明示的に指定した書式設定の方がテーマ レベルの設定よりも優先されるためです。 このため、特定のビジュアルに対して既に書式設定オプションが設定されている場合、カスタム テーマの設定は適用されません。

たとえば、カスタム テーマの色を有効にするには、ビジュアルの色をデフォルトの書式設定にリセットする必要があります。 これを行うには、ビジュアルの色書式設定オプション内で [既定値にリセット] をクリックします。 特定の書式設定をクリアすると、そのビジュアルに明示的に色が設定されていなければ、カスタム テーマの色が想定どおりに適用されるはずです。

もう 1 つ例を挙げると、カスタム テーマ ファイルに Legend Position = Left と指定し、ビジュアル レベルで何か他のものを指定した場合は、いつでも [既定値にリセット] をクリックしてカスタム テーマを適用できます。

Maps

このセクションでは、マップ ビジュアルを操作する場合に発生しうる問題に対処します。

Bing マップ

Bing Maps for Power BI は非推奨となり、Power BI での地理データの表現に使用されなくなりました。 さらに高度でビジネス重視のサービスへの移行の一環として、Bing Maps for Power BI の代わりに Azure Maps を使用することをお勧めします。 Azure Maps には地理データに関するサービスと機能が豊富に用意されており、いずれも継続的に更新作業が行われています。 この変化に対応するため、Power BI で地図を表示するニーズがあれば、まずは Azure Maps を使用することをお勧めします。 Bing Map のビジュアルを Azure Maps に変換できます。そのためには、[視覚化] ペインで変換元のビジュアルを選択し、[Azure Map] アイコンをクリックします。 変換時にこれまでの書式設定はできる限り保持されます。 また、デスクトップでレポートを開いたときにポップアップが表示され、これまでのすべての Bing Maps を Azure Maps に変換するオプションが提示されることがあります。 まず何から始めればよいのか、どのようなデータが Azure に送信されるのか、その際の制限事項とは何かなど、Azure Maps を包括的に理解したい場合は、Microsoft から提供される詳細なドキュメントを参照してください。

ジオコーディング

Power BI でジオコーディングの精度を確保するには、モデルに場所エンティティごとに未加工のデータがあることを確認し、文字列が連結されないようにします。 各場所エンティティに都道府県郵便番号といった適切なデータ カテゴリを割り当てます。 ジオコーディングが正確に行われるように、モデル内に場所を階層化するか、場所フィールド ウェルに複数のフィールドを配置します。 [Expand All Down] (すべて下に展開) アイコンを使用して、階層の一番下のレベルまでドリルダウンします。ここには、上位のレベルがすべて含まれています。 これにより、米国テキサス州の Paris (パリス)フランスの Paris (パリ) のように、場所に同じ名前があっても曖昧さを解消できます。 場所階層に [国] を追加して [ドリルダウン] または [すべて展開] の機能を使用すると、ジオコーディングで目的どおりの成果が得られます。

ツールヒント

このセクションでは、ヒントを利用する場合に発生しうる問題に対処します。

ページのヒント

レポート ページのヒントは、ダッシュボードのビジュアル タイルやレポート ページのダッシュボード タイルには表示されません。 Power BI のダッシュボードではその仕様上、現時点でレポート ページのヒントはサポートされていません。 ダッシュボード タイルにはピン留めされたコンテンツの最小限のスナップショットが表示され、ヒントとして設計されたレポート ページへの参照はありません。 ベスト プラクティスとして、レポート ページのヒントに頼らなくても必要な情報が明確に提示されるようにダッシュボードを設計することをお勧めします。

折れ線グラフのヒント

折れ線グラフのヒントが他のグラフとは違って表示されることがあります。 既定では、特定のカテゴリ内のすべての系列値を比較できるように、すべての系列値と垂直方向の配置バーが表示されます。 場合によっては、標準のデータポイント ヒントがレンダリングされることがあります。複合グラフを利用している場合や、データ制限に達したために折れ線グラフに高密度サンプリングが適用されている場合です。 フィルターが異なると、クエリが制限を若干上回ったり下回ったりすることがあり、その結果、折れ線グラフの同じビジュアルでもタイミングによって異なるヒントが表示されます。 高密度線サンプリングの詳細については、「High-Density Line Sampling in Power BI (Power BI の高密度線サンプリング)」の記事を参照してください。

画像

このセクションでは、画像を視覚化に含める場合に発生しうる問題に対処します。

画像 URL

Power BI レポート内の画像がレンダリングされていない場合、画像 URL に匿名でアクセスできないことが原因である可能性があります。 Power BI では、サインインしなくても画像 URL に匿名でアクセスして表示できるようにする必要があります。 SharePoint や OneDrive など認証を必要とするサイトに画像をホストすることはできません。

画像 URL にパブリックにアクセスできるようにするには、InPrivate モードのブラウザー ウィンドウで画像 URL を開きます。 サインインしなくても画像が読み込まれれば、画像 URL は Power BI で使用できるように正しく設定されています。 ローカル パスからの画像の読み込みも、Power BI Desktop や Power BI サービスではサポートされていません。

同じく Power BI モバイル アプリでも、画像が表示されるのは画像 URL に匿名でアクセスできる場合だけです。 繰り返しになりますが、Power BI Desktop または Power BI サービスで画像を表示できる場合でも、SharePoint や OneDrive などのサインインを必要とするサイトで、その画像をホストすることはできません。