ネットワーク分離環境の作成および使用
発行: 2016年7月
SCVMM 環境を作成するとき、ネットワーク分離を有効にできます。これにより、環境の同一のコピー (複製) を複数実行することができます。 ただし、ネットワーク分離には、仮想マシンとテンプレートを準備する、仮想マシンをワークグループまたはドメインに所属させる、プライベート ドメインを実行するように仮想マシンの 1 台を設定する (必要に応じて) など、追加の構成手順が必要です。
このトピックでは、ネットワーク分離環境を作成するのに必要な構成手順について説明します。 ここでは、Active Directory と DNS のセットアップと管理について習熟していることを前提としています。 ネットワーク分離の概要については、「ネットワークの分離を使用した仮想マシンの複製」を参照してください。
このトピックは、次のセクションで構成されています。
開始する前に
プロセスの概要
仮想マシンとテンプレートの準備
環境の設定
ネットワーク分離環境の操作
ネットワーク分離環境の状態の表示
ネットワーク分離環境との通信
開始する前に
ネットワーク分離環境でアプリをテストする場合、そのアプリは、複数のネットワーク アダプターを持つコンピューターで実行できる必要があります。 それ以外の場合、ラボ環境ではネットワーク分離を有効にしないでください。 SCVMM 環境でその他のオプションを使用する方法については、「SCVMM 環境の作成および管理に関するガイダンス」を参照してください。
ネットワーク分離環境を作成して使用するには、SCVMM 環境の作成に必要なタスクを完了しておく必要があります。 たとえば、次のようなタスクです。
チーム プロジェクト コレクションで System Center Virtual Machine Manager とネットワーク分離を設定する
チーム プロジェクト コレクションでテスト コントローラーを設定する
Microsoft Test Manager とチーム プロジェクトを接続する
詳細については、「ラボ環境でのテスト」を参照してください。
プロセスの概要
ネットワーク分離環境の作成手順の概要を次に示します。
次の手順に従って、環境で使用する仮想マシンとテンプレートを準備します。 その後、その仮想マシンとテンプレートすべてを、チーム プロジェクト ライブラリの同じ SCVMM ホストに格納します。
仮想マシンとテンプレートを、ドメインではなく、ワークグループに追加します。
テスト エージェントを各仮想マシンとテンプレートにインストールします。ただし、テスト エージェントは構成しないでください。
仮想マシンがプライベート ドメインで実行されるようにする場合は、ドメイン コントローラーとして仮想マシンを設定します。
(推奨) 各仮想マシンとテンプレートで、リモート デスクトップ サービスを有効にします。
(推奨) 各仮想マシンとテンプレートで、有効期限が切れないように管理者パスワードを設定します。
格納済みの仮想マシンとテンプレートを使用して、新しい SCVMM 環境を作成します。 環境を作成するとき、ネットワーク分離オプションを有効にします。
ラボ環境で仮想マシンに接続し、プライベート ドメインまたはワークグループを構成します。
環境のコピーを複数作成できるように、その環境をチーム プロジェクト ライブラリに格納します。
仮想マシンとテンプレートの準備
ネットワーク分離環境を作成するには、次の手順に従って、格納済み仮想マシンとテンプレートを環境にコピーできるように準備しておく必要があります。
仮想マシンのプロパティを更新するには、Microsoft Test Manager でラボ センター、環境の順に開きます。 ご自身の環境を開いたら、[コンピューターのプロパティ] ページで、各コンピューターを選択し、プロパティを設定します。
(推奨) 各仮想マシンとテンプレートのコンピューター名は、その仮想マシンとテンプレートをライブラリに格納する前に構成します。 テンプレートのコンピューター名については、テンプレートがライブラリに格納されている間に変更できます。 ただし、仮想マシンのコンピューター名は、仮想マシンがライブラリに格納されている間は変更できません。 仮想マシンのコンピューター名を変更するには、仮想マシンを格納した後、その仮想マシンを配置する必要があります。
仮想マシンとテンプレートを、ドメインではなく、ワークグループに追加します。 環境でドメインを実行する場合は、環境を配置した後に、実行中の仮想マシンを内部ドメインに追加できます。
ヒント
仮想マシンは、ライブラリに格納する前にワークグループに追加する必要があります。ただし、テンプレートについては、そのテンプレートがライブラリに格納されているときにワークグループに追加できますが、この処理は、テンプレートのコピーをネットワーク分離環境に配置する前に実行します。テンプレートがライブラリに格納されている間に、そのテンプレートをワークグループに追加するには、ワークグループ プロパティを構成します。
Visual Studio Agents ディスクまたは ISO を使用して、テスト エージェントを各仮想マシンとテンプレートにインストールします。ただし、構成しないでください。
コンピューターがプライベート ドメインで実行されるようにする場合は、ドメイン コントローラーとして仮想マシンを設定します。 これを一般的な方法で行うには、System Center Virtual Machine Manager (SCVMM) でドメイン コントローラーを仮想マシンとして作成し、チーム プロジェクト ライブラリにインポートします。
ドメイン コントローラーの作成については、「方法: SCVMM を使用してドメイン コントローラー仮想マシンを準備する」を参照してください。
(推奨) 各仮想マシンとテンプレートで、有効期限が切れないように管理者パスワードを設定します。
(推奨) 各仮想マシンとテンプレートで、リモート デスクトップ サービスを有効にします。
仮想マシンとテンプレートをチーム プロジェクト ライブラリに格納します。 具体的な手順については、「手動テスト用の仮想マシンの作成」を参照してください。
環境の設定
トピック「格納済み仮想マシンおよびテンプレートを使用した SCVMM 環境の作成」を使用して、新しい SCVMM 環境を使用します。 環境を作成するときは、次の手順に従います。
新しい環境ウィザードの [コンピューター] タブで、格納済み仮想マシンとテンプレートを環境に追加し、コンピューター名を構成します。 1 つの格納済み仮想マシンまたはテンプレートを 1 つの環境に複数回追加できますが、配置された仮想マシンの内部 ID 情報が環境内で一意になるように構成する必要があります。
環境でプライベート ドメインで実行する場合は、ドメイン コントローラー仮想マシンを追加します。
新しい環境ウィザードの [詳細設定] タブで、[この環境のネットワークの分離を有効にする] チェック ボックスをオンにします。
ネットワーク分離を有効にすると、Microsoft Test Manager では、環境内の仮想マシンの 1 つをドメイン コントローラーとして指定するようにメッセージが表示されます。 環境でプライベート ドメインで使用する場合は、ドメイン コントローラー仮想マシンを選択します。
環境を作成したら、その環境に接続して、追加の構成タスクを行います (マシンをプライベート ドメインに所属させるなど)。 その後、環境の複数のコピーを実行できるように、環境をシャットダウンして、チーム プロジェクト ライブラリに格納します。 格納済み環境のインスタンスは必要に応じていくつでも実行できます。
環境を構成するには
環境を開始します。
[ラボ センター] の [ラボ] タブで環境を選択します。
[開始] をクリックします。
次の手順に進む前に、環境のネットワークの分離状態が準備完了になるまで待ちます。
環境ビューアーで、環境に接続します。
ラボ環境でワークグループではなくプライベート ドメインを使用する場合は、ドメイン コントローラーを構成し、仮想マシンをドメインに追加する必要があります。
注意
この手順を完了するには、ドメイン コントローラーの所有者である必要があります。
注意
プライベート ドメインではなくラボ環境でワークグループを使用する場合は、この手順を省略します。
次の手順に従って、ドメイン コントローラーを構成します。
ドメイン コントローラー仮想マシンを選択します。
ホスト接続を使用して、ドメイン コントローラー仮想マシンにログオンします。
Windows サービス ツール (services.msc) を開き、Active Directory および DNS サービスが実行されていることを確認します。
-
重要
仮想マシンをプライベート ドメインに所属させる前に、DNS 内の使用していないロケーター レコードが削除されるようドメイン コントローラーを再起動します。ドメイン コントローラーには、ネットワークの分離に割り当てられた新しい内部 IP アドレスに対応する正しい DNS ロケーター レコードが必要です。ドメイン メンバーは、これらの DNS ロケーター レコードに依存して、ドメイン コントローラーを検索します。Windows サーバーのバージョンによっては、サービスの開始時にのみ使用していない DNS レコードが削除される場合があります。
ドメイン コントローラー仮想マシンで、[スタート] ボタンをクリックし、[再起動] をクリックします。 仮想マシンが再起動し、ネットワーク分離の状態 [準備環境] に戻るのを待ってから、他のコンピューターをドメインに所属させます。
環境ビューアーで、次の手順に従って、各仮想マシンをプライベート ドメインに所属させます。
仮想マシンに接続します。
環境ビューアーまたはリモート デスクトップを使用して、仮想マシンにログオンします。
[スタート] ボタンをクリックし、[コンピューター] を右クリックして、[プロパティ] をクリックします。
[コンピューター名、ドメインおよびワークグループの設定] で、ドメイン コントローラー仮想マシンで作成したドメインの名前を選択して、コンピューターのドメインを変更します。 そのドメインのユーザーの資格情報を使用します。
ドメインに所属したら、仮想マシンを再起動します。
環境内のドメイン コントローラー以外の各仮想マシンについて、この手順を繰り返します。
プライベート ドメインではなく、ご利用の環境でワークグループを使用する場合は、環境ビューアーで各仮想マシンに接続し、コンピューターが適切なワークグループに参加していることを確認します。
プライベート ドメインまたはワークグループを構成したら、環境のネットワーク分離の状態が [準備完了] になるのを待ってから、環境を使用します。 詳細については、「ネットワーク分離環境の状態の表示」を参照してください。
(省略可能) 環境ビューアーを使用して、環境のスナップショットを取得します。
(省略可能) 環境のコピーを複数実行する場合は、次の手順に従って、環境をチーム プロジェクト ライブラリに格納します。
Test Manager の [ラボ] タブで環境を選択し、ツール バーの [シャットダウン] をクリックします。
環境を選択し、ツール バーの [ライブラリに格納] をクリックします。 格納済み環境の新しい名前を入力します。
これで、格納済み環境の複数のコピーを配置できます。 格納済み環境のコピーの配置の詳細については、「格納済み SCVMM 環境の配置」を参照してください。
ネットワーク分離環境の操作
ラボ センターの [ラボ] タブで、ネットワーク分離を使用する環境を起動、一時停止、シャットダウンすることができます。 環境のスナップショットを作成したり、環境をチーム プロジェクト ライブラリに格納したりすることもできます。 詳細については、「方法: SCVMM 環境を操作する」を参照してください。 ネットワーク分離環境にドメイン コントローラーが含まれる場合、環境を操作するときは、次の推奨事項を考慮してください。
ドメイン コントローラー仮想マシンが含まれる実行環境では、[電源オフ] を使用して電源を切らないでください。 代わりに [シャットダウン] を使用してください。
ドメイン コントローラー仮想マシンが含まれる環境で 6 つ以上のスナップショットを取得しないでください。 6 つ以上のスナップショットを取得すると、パフォーマンスが大幅に低下する可能性があります。
ネットワーク分離環境でのコンピューターの操作
環境ビューアーを使用して、環境内のコンピューターをマシンを管理および構成できます。 ドメイン コントローラー マシン以外の環境内のマシンには、環境ビューアーでホストまたはゲスト接続を使用して直接接続できます。
ドメイン コントローラーは外部環境に接続していないため、環境ビューアーでドメイン コントローラー マシンに直接接続するにはホスト ベース接続を使用する必要があります。 ホスト ベース接続が使用できない場合、環境内の別のマシンに接続し、そこからリモート デスクトップを使用してドメイン コントローラーに接続します。
詳細については、「方法: ラボ環境のコンピューターに接続する」を参照してください。
ネットワーク分離環境の状態の表示
各ネットワーク分離環境には、その環境でネットワークの分離が正しく構成されているかどうかを示す状態が保持されています。
環境のネットワークの分離状態を確認するには
Test Manager で、チーム プロジェクトのラボ センターを開き、[ラボ] タブをクリックします。
環境を選択します。
右側のペインで、[機能] の横の 3 つのアイコンを確認します。 ネットワークの分離状態は、最初のアイコンによって示されます。
このアイコンの上にポインターを置き、アイコンについて説明しているツールヒントを確認します。
状態が "一部準備完了" または "失敗" である場合は、その環境に関連付けられている警告またはエラー メッセージが、[詳細情報] へのリンクと共に表示されます。 このリンクを選択すると、警告またはエラーについての追加情報と是正措置が表示されます。
注意
ネットワーク分離の状態は、実行中の環境についてのみ表示されます。環境がその他の状態にある場合、ネットワーク分離の状態は使用できません。
ネットワーク分離の状態の説明を次の表に示します。
状態 |
説明 |
|---|---|
構成されていません |
選択されている環境でネットワーク分離機能が有効になっていません。 |
準備不完了 |
ネットワーク分離機能の準備が完了していません。 この状態は通常、環境内では機能が有効になっていても、環境が [実行中] 状態でないことを示します。 |
処理中 |
環境に対してネットワーク分離が構成されているところです。 これは通常、環境が開始され、起動中であることを意味します。 |
一部準備完了 |
環境内の一部の仮想マシンでネットワーク分離の構成されましたが、すべての仮想マシンで構成が完了しているわけではありません。 これは、残りの仮想マシンで機能が構成中であることを示す遷移状態である場合があります。 この状態が続く場合は、1 つ以上の仮想マシンで、ネットワークの分離の構成中にエラーが発生しています。 |
準備完了 |
環境でネットワークの分離が完全に構成され、この環境で作業する準備が整っています。 |
失敗 |
ネットワークの分離機能の構成中にエラーが発生しました。 [詳細情報] を選択すると、問題と解決策に関する情報を参照できます。 |
ネットワーク分離環境を開始すると、その状態は "準備不完了" から始まり、"処理中"、"一部準備完了" へと変わった後、最終的に "準備完了" になります。 ネットワーク分離環境を以前のスナップショットに復元する場合も、同じ状態の遷移が見られます。 "準備完了" になるまでの時間は、仮想マシンがオンになって初期化するまでにかかる時間、環境を実行している Hyper-V ホストの負荷など、いくつかの要素によって決まります。
ネットワーク分離環境との通信
外部ネットワークと通信できるようにするために、Lab Management では、ネットワーク分離環境内のコンピューターに 2 つ目のネットワーク アダプターが追加されます。 この 2 つ目のアダプターは、コンピューター名と IP アドレスの外部ネットワーク エイリアスを提供します。
外部ネットワークからのネットワーク分離環境との通信
外部ネットワークのコンピューターからネットワーク分離環境のマシンと通信するには、2 つ目のネットワーク アダプターのエイリアスを使用します。 たとえば、URL でコンピューター名のエイリアスを使用して、外部ネットワークのマシンのブラウザーから分離ネットワークの Web サーバーの Web サイトを開くことができます。 外部ドメインのアプリケーションをネットワーク分離環境のデータベースに接続するための接続文字列で、コンピューター名のエイリアスをサーバー名として使用することもできます。
ネットワーク分離環境のマシンの外部ネットワーク エイリアスを取得するには
Microsoft Test Manager でラボ センターを開き、[ラボ] をクリックします。
環境ビューアーを使用して環境に接続します。
一覧で環境を選択します。
[接続] をクリックします。
環境ビューアーで、マシンを右クリックして [システム情報] を選択します。
"コンピューター名" フィールドに、外部ネットワークでのマシンの完全修飾名が表示されます。
[IP アドレス] に、外部ネットワークでの IP アドレスが表示されます。
ネットワーク分離環境からの外部ネットワーク環境との通信
ネットワーク分離環境のマシンから外部ネットワークのコンピューターと通信するには、その外部コンピューターの完全修飾ドメイン名または IP アドレスを使用します。
参照
方法: SCVMM を使用してドメイン コントローラー仮想マシンを準備する
SCVMM 環境の作成および管理に関するガイダンス
ネットワークの分離を使用した仮想マシンの複製
アプリケーションのライフサイクルでのラボ環境の使用