Windows 7 コンピューターの Windows 10 コンピューターへの置換
Windows 10 用のコンピューター置換シナリオは、Windows 10 用のコンピューター更新とよく似ていますが、コンピューターを置き換えるため、使っていないコンピューター上にバックアップを保存することはできません。代わりに、新しいコンピューターが読み取ることのできる場所にバックアップを保存する必要があります。
このトピックの目的上、DC01、MDT01、PC0002、PC0007 という 4 台のコンピューターを使います。DC01 はドメイン コントローラー、MDT01 は Windows Server 2012 R2 Standard サーバーです。PC0002 は、Windows 7 SP1 を実行する使っていないコンピューターです。新しい Windows 10 コンピューター、PC0007 に置き換えます。ユーザー状態移行ツール (USMT) は、バックアップやデータと設定の復元に使われます。MDT01、PC0002、PC0007 は架空の Contoso Corporation の contoso.com ドメインのメンバーです。このトピックのセットアップについて詳しくは、「Microsoft Deployment Toolkit による Windows 10 の展開」をご覧ください。
図 1: このトピックで使われるコンピューター。
コンピューター置換の準備
コンピューター置換の準備をするときは、バックアップを保存するフォルダーと使っていないコンピューターで実行するバックアップ専用タスク シーケンスを作成する必要があります。
Microsoft Deployment Toolkit (MDT) 実稼働共有に関する規則の構成
MDT01 で、Deployment Workbench を使って、MDT 実稼働展開共有の規則を更新します。
[SkipUserData=YES] オプションを [NO] (いいえ) に変更し、[OK] をクリックします。
MigData フォルダーを作成して共有します。
MDT01 で CONTOSO\Administrator としてログオンします。
管理者特権の Windows PowerShell プロンプトで次の 3 つのコマンドを実行することによって、E:\MigData フォルダーを作成して共有します。
New-Item -Path E:\MigData -ItemType directory New-SmbShare ?Name MigData$ ?Path E:\MigData -ChangeAccess EVERYONE icacls E:\MigData /grant '"MDT_BA":(OI)(CI)(M)'
バックアップ専用 (置換) タスク シーケンスの作成
MDT01 で、Deployment Workbench を使って、MDT 実稼働展開共有内で**[Task Sequences] (タスク シーケンス)** ノードを選択して、**[Other] (その他)**という名前の新しいフォルダーを作成します。
[Other] (その他)フォルダーを右クリックし、[New Task Sequence] (新しいタスク シーケンス) を選択します。タスク シーケンスの新規作成ウィザードに次の設定を使います。
[Task sequence ID] (タスク シーケンス ID): REPLACE-001
[Task sequence name] (タスク シーケンス名): バックアップ専用タスク シーケンス
[Task sequence comments] (タスク シーケンスのコメント): USMT を実行して、ユーザー データと設定をバックアップする
テンプレート: [Standard Client Replace Task Sequence] (標準クライアント置換タスク シーケンス)
[Other] (その他)フォルダーで、[Backup Only Task Sequence] (バックアップ専用タスク シーケンス) をダブルクリックして、[Task Sequence] (タスク シーケンス) タブで、シーケンスを確認します。通常のクライアント タスク シーケンス操作のサブセットのみが含まれていることに注目してください。
図 2: バックアップ専用タスク シーケンス操作のリスト。
コンピューター置換の実行
コンピューターの置換中、発生する大まかな手順を次に示します。
置換するコンピューターで、特別な置換タスク シーケンスは USMT バックアップを実行します。自分で構成した場合は、任意の完全 Windows イメージング (WIM) バックアップを実行します。
新しいコンピューターで、標準ベア メタル展開を実行します。ベア メタル展開の最後に、使っていないコンピューターからの USMT バックアップが復元されます。
置換タスク シーケンスの実行
PC0002 で CONTOSO\Administrator としてログオンします。
\\MDT01\MigData$ 共有に書き込みアクセスがあることを確認します。
\\MDT01\MDTProduction$\Scripts\LiteTouch.vbs を実行します。
次の設定を使って、Windows 展開ウィザードを完了させます。
[Select a task sequence to execute on this computer] (このコンピューターで実行するタスク シーケンスを選択します): [Backup Only Task Sequence] (バックアップ専用タスク シーケンス)
[Specify where to save your data and settings] (データと設定を保存する場所を指定します): 場所を指定
[場所]: \\MDT01\MigData$\PC0002
注
リモート サイトでコンピューターを置換する場合は、MDT02 に MigData フォルダーを作成し、代わりにその共有を使う必要があります。
[Specify where to save a complete computer backup] (完全なコンピューター バックアップを保存する場所を指定します): [Do not back up the existing computer] (既存のコンピューターをバックアップしない)
[Password] (パスワード): P@ssw0rd
タスク シーケンスは、USMT (Scanstate.exe) を実行してコンピューターのユーザー データと設定をキャプチャします。
図 3: PC0002 でキャプチャ ユーザー状態の操作を実行する新しいタスク シーケンス。
MDT01 で、E:\MigData\PC0002\USMT フォルダーにバックアップ ファイルが圧縮された USMT.MIG があることを確認します。
図 4: PC0002 の USMT バックアップ。
PC0007 仮想マシンの展開
次の設定で仮想マシンを作成します。
[Name] (名前): PC0007
[Location] (場所): C:\VMs
[Generation] (世代): 2
[Memory] (メモリ): 2048 MB
[Hard disk] (ハード ディスク): 60 GB (ダイナミック ディスク)
PC0007 仮想マシンを起動し、Enter を押して PXE (Pre-Boot Execution Environment) ブートを開始します。これでコンピューターが WDS サーバーから Windows PE ブート イメージを読み込みます。
図 5: PC0005 の初期 PXE ブート プロセス。
Windows Preinstallation Environment (Windows PE) が起動したら、次の設定を使って Windows 展開ウィザードを完了します。
[Password] (パスワード): P@ssw0rd
[Select a task sequence to execute on this computer] (このコンピューターで実行するタスク シーケンスを選択します):
Windows 10 Enterprise x64 RTM Custom Image
[Computer Name] (コンピューター名): PC0007
[Applications] (アプリケーション): [Install - Adobe Reader XI - x86] (インストール - Adobe Reader XI - x86) アプリケーションを選びます。
セットアップがすぐに開始します。次の手順を実行します。
Windows 10 Enterprise オペレーティング システムをインストールします。
追加のアプリケーションをインストールします。
ローカルの Windows Server Update Services (WSUS) サーバーを介してオペレーティング システムを更新します。
PC0002 から USMT バックアップを復元します。
関連トピック
Microsoft Deployment Toolkit (MDT) の概要
MDT 2013 Update 1 を使った Windows 10 イメージの展開