パブリック フォルダについて
適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007
トピックの最終更新日: 2009-04-10
Microsoft Exchange の最初のバージョンで導入されたパブリック フォルダは、共有アクセスのために設計され、ワークグループや組織内の他のユーザーと情報を収集、整理、および共有するための容易かつ効果的な方法です。パブリック フォルダは階層的に整理され、専用データベースに格納され、Exchange サーバー間でレプリケートできます。
パブリック フォルダは、次の目的のために設計されているのではありません。
- データのアーカイブ パブリック フォルダは、データのアーカイブ用に設計されたものではありません。メールボックスの制限が設定されているユーザーは、データをアーカイブするために、個人フォルダ (.pst) の代わりにパブリック フォルダを使用する場合があります。パブリック フォルダ サーバー上の格納域に影響が及び、メールボックス制限の目的が損なわれるため、この方法は推奨されません。
- 文書共有とコラボレーション パブリック フォルダは、文書共有やコラボレーション用に設計されたものではありません。パブリック フォルダは、制御されたチェックインおよびチェックアウト機能や内容の変更の自動通知などのバージョン管理または他のドキュメント管理機能を提供しません。
Exchange Server 2007 では、パブリック フォルダはオプションの機能です。組織内のすべてのクライアント コンピュータで Microsoft Office Outlook 2007 を実行している場合、パブリック フォルダがなくても空き時間情報やオフライン アドレス帳 (OAB) のダウンロードなどの機能を利用できます。Exchange 2007 では、OAB ダウンロードや空き時間情報のためにパブリック フォルダを使用する代わりに、自動検出サービス、Exchange Web サービス、Microsoft Exchange System Attendant サービス、および Microsoft Exchange ファイル配布サービスからこれらの機能が提供されます。
OAB や Schedule+ の空き時間情報を利用するために Exchange に接続するには、Outlook 2003、Outlook 2002、Outlook 2000、または Outlook 98 を実行するすべてのクライアント コンピュータにパブリック フォルダを展開する必要があります。Exchange 2007 は、パブリック フォルダを使用しないオプションを備えた最初の Exchange のバージョンです。ただし、組織内に Outlook 2007 を実行していないクライアント コンピュータがある場合は、引き続きパブリック フォルダを使用します。
ここでは、Exchange 2007 でのパブリック フォルダについて以下のことを説明します。
- セットアップ時のパブリック フォルダ データベースの作成
- パブリック フォルダ ツリー
- パブリック フォルダ データベース
- パブリック フォルダのレプリケーション
- パブリック フォルダの参照
- メールが有効なパブリック フォルダ
- パブリック フォルダ アクセス
- 組織内に Exchange 2007 と Exchange Server 2003 が混在する場合の考慮事項
- ベスト プラクティス
セットアップ時のパブリック フォルダ データベースの作成
Outlook 2003 およびそれ以前のバージョンまたは Microsoft Entourage を実行しているコンピュータが Exchange 2007 に接続するには、パブリック フォルダ データベース (旧称パブリック フォルダ ストア) が必要です。このため、純粋な Exchange 2007 環境では、最初のサーバーにメールボックス サーバーの役割をインストールするときに、セットアップで [Outlook 2003 以前または Entourage を実行しているクライアント コンピュータが組織内にありますか?] という質問メッセージが表示されます。答えがはいである場合、パブリック フォルダ データベースが作成されます。答えがいいえである場合、パブリック フォルダ データベースは作成されません。
2 番目のサーバーのインストール時は、この質問は表示されず、パブリック フォルダ データベースは作成されません。組織にパブリック フォルダ データベースが必要かどうかを指定するのは、最初のサーバーのインストール時だけです。それ以降は、すべてのパブリック フォルダ データベースはオプションです。セットアップ時にパブリック フォルダ データベースを作成しなくても、セットアップの完了後いつでもパブリック フォルダ データベースを作成できます。パブリック フォルダ データベースを作成する方法の詳細については、「新しいパブリック フォルダ データベースを作成する方法」を参照してください。
Exchange が混在する組織では、セットアップで質問メッセージは表示されません。このような組織では、Exchange 2007 より前の Exchange のバージョンとの下位互換性を確保するために、既定でパブリック フォルダ データベースが作成されます。特に、Exchange 2007 は独自の管理グループにインストールされるので、このパブリック フォルダ データベースは従来の Schedule+ の空き時間情報機能をサポートすることになります。
Exchange 2007 のインストールの詳細については、「展開」を参照してください。
パブリック フォルダ ツリー
Exchange 2003 では、非 MAPI フォルダ ツリー (アプリケーション フォルダ ツリーまたは汎用フォルダ ツリー) の使用がサポートされています。Exchange 2007 では既定の MAPI フォルダ ツリーのみがサポートされます。MAPI フォルダ ツリーは、以下のサブツリーに分かれています。
- 既定のパブリック フォルダ (IPM_Subtree) ユーザーは Outlook などのクライアント アプリケーションを使用して直接これらのフォルダにアクセスできます。
- システム パブリック フォルダ (Non IPM_Subtree とも呼ばれます) ユーザーは、従来の方法を使用してこれらのフォルダに直接アクセスすることはできません。Outlook などのクライアント アプリケーションは、これらのフォルダを使用して、空き時間データ、OAB、組織フォームなどの情報を格納します。その他のシステム フォルダには、カスタム アプリケーションや Exchange 自体によって使用される構成情報が含まれます。パブリック フォルダ ツリーには、追加のシステム フォルダが含まれます。たとえば EFORMS REGISTRY フォルダは、汎用パブリック フォルダ ツリーには存在しません。システム フォルダには以下のものがあります。
- EFORMS REGISTRY およびイベント ルート 既定では、これらの各フォルダのコンテンツ レプリカは、最初の管理グループにインストールされている最初の Exchange 2007 サーバー上の既定のパブリック フォルダ データベース内に存在します。これは、従来の Outlook クライアント (Outlook 2007 より前の Outlook バージョンを使用するクライアント) 用に組織フォームが格納される場所です。
- Offline Address Book および Schedule+ Free Busy Offline Address Book フォルダと Schedule+ Free Busy フォルダには、現在のトポロジ内の各管理グループ (サイト) ごとのサブフォルダが自動的に含まれます。既定では、特定の管理グループ フォルダの内容のレプリカは、その管理グループにインストールされる最初のサーバーに存在します。これらのフォルダは、従来の Outlook クライアント用の空き時間情報や OAB データの格納に使用されます。従来の Outlook クライアントは、Exchange 2007 で空き時間情報や OAB データを管理する新機能に対応していません(これらの機能には、クライアント アクセス サーバーでの可用性サービス、自動検出サービス、および OAB 配布が含まれます)。
- OWAScratchPad 各パブリック フォルダ データベースには OWAScratchPad フォルダがあります。このフォルダは、Outlook Web Access を使用してアクセスされる添付ファイルを一時的に格納するために使用されます。このフォルダは変更しないでください。Exchange 2007 クライアント アクセス サーバー上で稼働する Outlook Web Access は、添付ファイル データの格納にこれらのフォルダを使用しません。ただし、このフォルダは Exchange 2007 の純粋なインストール時に作成されます。
- StoreEvents 各パブリック フォルダ データベースには StoreEvents フォルダがあります。このフォルダは、カスタム Exchange データベース イベントの登録情報を保持します。これらのフォルダは変更しないでください。
- その他のフォルダ 内部的な Exchange のデータベース操作をサポートするために、schema-root などのその他のシステム フォルダがツリーに含まれる場合があります。これらのフォルダは変更しないでください。
パブリック フォルダ データベース
パブリック フォルダ データベースには、メールボックスと適切なアクセス許可を持つすべてのユーザーが使用できるデータが含まれます。
クラスタ連続レプリケーション (CCR)、ローカル連続レプリケーション (LCR)、スタンバイ連続レプリケーション (SCR)、およびパブリック フォルダ レプリケーションは、Exchange に組み込まれているまったく異なる形式のレプリケーションです。連続レプリケーションとパブリック フォルダ レプリケーションの間には相互運用性に関して制限があるため、Exchange 組織内の複数のメールボックス サーバーがパブリック フォルダ データベースを保持している場合、パブリック フォルダ レプリケーションは有効になり、パブリック フォルダ データベースは CCR 環境、LCR 環境、または SCR 環境ではホストされません。
パブリック フォルダと高可用性オプションの詳細については、以下のトピックを参照してください。
パブリック フォルダのレプリケーション
パブリック フォルダ データベースでは、次の 2 種類のパブリック フォルダ情報をレプリケートします。
- 階層 フォルダのプロパティとフォルダについての組織情報です (ツリー構造など)。すべてのパブリック フォルダ データベースには、階層情報のコピーがあります。特定のフォルダについて、パブリック フォルダ データベースは階層情報を使用して以下のことを識別できます。
- フォルダのアクセス許可
- フォルダの内容のレプリカを保持するサーバー
- パブリック フォルダ ツリー内のフォルダの位置 (親フォルダと子フォルダ、ある場合)
- 内容 フォルダの内容を構成するメッセージです。内容をレプリケートするには、フォルダの内容を特定のパブリック フォルダ データベースまたはデータベースの一覧にレプリケートするようにフォルダを構成する必要があります。指定したデータベースのみが、内容のコピーを持つことになります。内容を含むフォルダのコピーは、内容のレプリカと呼ばれます。
パブリック フォルダのレプリケーションの詳細については、「パブリック フォルダのレプリケーションについて」を参照してください。
パブリック フォルダのレプリケーションの管理の詳細については、「パブリック フォルダのレプリケーションの管理」を参照してください。
パブリック フォルダの参照
Outlook などのクライアント アプリケーションが Exchange パブリック フォルダを開く場合、そのクライアント アプリケーションがどのフォルダのレプリカにアクセスするかは Exchange サーバーによって決定されます。このプロセスはパブリック フォルダの参照と呼ばれます。要求された内容のレプリカが、その要求を処理する Exchange サーバー上に存在する場合、クライアント アプリケーションはローカル レプリカにアクセスします。レプリカがローカル サーバー上に存在しない場合、Exchange は同じ Active Directory ディレクトリ サービス サイト内でレプリカを検索します。参照サーバーの一覧を指定して各サーバーにルーティング コストを割り当てることで、参照が特定のコネクタを経由するようにユーザー トラフィックの流れを変更することができます。
パブリック フォルダの参照の詳細については、以下のトピックを参照してください。
メールが有効なパブリック フォルダ
パブリック フォルダのメールを有効にすると、追加レベルの機能がユーザーに提供されます。ユーザーは、パブリック フォルダにメッセージを投稿できるだけでなく、パブリック フォルダに電子メール メッセージを送信し、場合によってはパブリック フォルダから電子メール メッセージを受信できます。カスタム アプリケーションを開発している場合、この機能を使用してメッセージや文書をパブリック フォルダで出し入れすることができます。
メールが有効なフォルダとは、電子メール アドレスを持つパブリック フォルダです。このフォルダの構成方法によっては、グローバル アドレス一覧 (GAL) に表示することができます。メールが有効な各フォルダは、Active Directory 内に電子メール アドレス、アドレス一覧の名前、およびその他のメール関連の属性を格納するオブジェクトを持ちます。
パブリック フォルダに送信されたメールは、メールボックスやメールボックス データベースではなくパブリック フォルダ宛てに送信されるので、Exchange では、通常のメールボックス宛ての場合とは少し異なる方法で、電子メール メッセージをルーティングします。
パブリック フォルダのルーティングの詳細については、「パブリック フォルダへのメッセージのルーティング」を参照してください。
パブリック フォルダ アクセス
Exchange 2007 の RTM 版では、以下のクライアント アプリケーションがパブリック フォルダにアクセスできます。
- Microsoft Office Outlook 2007
- Microsoft Office Outlook 2003
Exchange 2007 SP1 では、上記のクライアント アプリケーションに加えて Microsoft Office Outlook Web Access を使用してパブリック フォルダにアクセスできます。
Outlook 2007 を使用してパブリック フォルダを作成および管理する方法の詳細については、パブリック フォルダに関するページを参照してください (このサイトは英語の場合があります)。
Outlook 2003 を使用してパブリック フォルダを作成および管理する方法の詳細については、パブリック フォルダの使用に関するページを参照してください (このサイトは英語の場合があります)。
Outlook 2000 を使用してパブリック フォルダを作成および管理する方法の詳細については、Outlook パブリック フォルダでの Office ドキュメント ライブラリの作成に関するページを参照してください (このサイトは英語の場合があります)。
Exchange 2007 と Exchange 2003 が混在する組織の考慮事項
ここでは、Exchange 2007 と Exchange 2003 が混在する組織でのパブリック フォルダの実装および管理に関する考慮事項を説明します。
セットアップ
Exchange 2007 と Exchange 2003 が混在する組織に Exchange 2007 をインストールする場合、セットアップによって Exchange 2003 組織内に新しい管理グループとルーティング グループが自動的に作成されます。組織に追加される Exchange 2007 サーバーは、新しい管理グループおよびルーティング グループに含められます。また、前に説明したように、セットアップでは最初の Exchange 2007 メールボックス サーバーにパブリック フォルダ データベースがインストールされます。そのパブリック フォルダ データベース内に Exchange 2007 は新しい管理グループ用の新しい空き時間情報フォルダを作成します。Exchange 2007 サーバー上にメールボックスが作成された (Exchange 2003 からの移行ではない) ユーザーの legacyExchangeDN プロパティは、Exchange 2007 管理グループ名に対応します。したがって、Free/Busy フォルダにも対応します。既定では、Outlook 2003 および Exchange 2003 サーバーにメールボックスを持つ、以前のクライアント ユーザーからの空き時間情報検索を容易にするために、クライアント ユーザーの空き時間情報は Free/Busy パブリック フォルダに投稿されます。
管理
Exchange 2007 と Exchange 2003 の混在環境では、Exchange システム マネージャを使用して、パブリック フォルダを管理できます。サポートされているシナリオは次のとおりです。
- Exchange システム マネージャが、管理用の Exchange 2003 パブリック フォルダ データベースのみに接続する必要があります。そこから、変更が Exchange 2007 にレプリケートされます。
- 純粋な Exchange 2007 組織には、パブリック フォルダを管理するための Exchange システム マネージャをインストールできません。Exchange 管理シェルを使用する必要があります。
- 階層のレプリケーションを確認する場合、またはフォルダのローカル レプリカの保存期間の値を表示する場合、Exchange 2003 サーバー上に存在するパブリック フォルダには Exchange システム マネージャを使用し、Exchange 2007 サーバー上に存在するパブリック フォルダには Exchange 管理シェルを使用することをお勧めします。
Outlook Web Access
Exchange 2007 と Exchange 2003 の混在組織では、Exchange 2007 クライアント アクセス サーバーには /public という名前の仮想ディレクトリがあります。Exchange 2007 RTM 版では、この仮想ディレクトリは従来のパブリック フォルダにアクセスするためだけに使用されます。具体的には、/public 仮想ディレクトリは別の Exchange 2007 メールボックス サーバーとは接続しません。このメールボックス サーバーは /public 仮想ディレクトリへのアクセスをサポートしないからです。
Exchange 2007 SP1 では、/public 仮想ディレクトリを使用せずに Outlook Web Access からパブリック フォルダに完全にアクセスできます。さらに、Outlook Web Access では以下のパブリック フォルダの機能を利用できます。
- Exchange 2007 メールボックス サーバー上のパブリック フォルダに対するフル アクセス。Outlook Web Access からパブリック フォルダにアクセスするために Exchange 2003 メールボックス サーバーを維持する必要はありません。
- パブリック フォルダの検索機能
- Web パーツのサポート
パブリック フォルダの階層の更新
Exchange 2007 と Exchange 2003 が混在する組織で、あるサーバー上のパブリック フォルダ階層が別のサーバー上のパブリック フォルダ階層と異なっている場合、階層を同期させることができます。Exchange 2003 Service Pack 2 (SP2) では、Synchronize Hierarchy コマンドを使用して、Exchange 2003 サーバー上のパブリック フォルダ階層を組織内の他のサーバーと同期させます。Exchange 2007 では、Update-PublicFolderHierarchy コマンドレットを使用して、Exchange 2007 サーバー上のパブリック フォルダ階層と組織内の他のサーバーと同期させます。
注 : |
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Synchronize Hierarchy コマンドを Exchange 2007 サーバー上で実行することはできません。同様に、Update-PublicFolderHierarchy コマンドレットを Exchange 2003 サーバー上で実行することはできません。ただし、どちらかのコマンドを実行すると、組織全体のパブリック フォルダ階層が更新されます。 |
詳細については、「パブリック フォルダ階層を更新する方法」を参照してください。
パブリック フォルダの内容のレプリケーション
組織内のパブリック フォルダの内容のレプリケーション エラーを止めるために、パブリック フォルダの内容のレプリケーションを中断することができます。レプリケーションを中断すると、パブリック フォルダの階層とレプリケーション スケジュールを再構成できます。
Exchange 2007 と Exchange 2003 の混在環境でパブリック フォルダの内容のレプリケーションを中断または再開するには、Exchange 2007 サーバー上で、Exchange 管理シェルから Suspend-PublicFolderReplication コマンドレットまたは Resume-PublicFolderReplication コマンドレットを実行します。Exchange 2007 サーバー上でこれらを実行すると、混在環境内のすべてのサーバーでパブリック フォルダの内容のレプリケーションが中断または再開されます。Exchange 管理シェルを使用してパブリック フォルダの内容のレプリケーションを中断または再開する方法の詳細については、以下のトピックを参照してください。
ベスト プラクティス
ここでは、Exchange 2007 組織内で以下のパブリック フォルダのタスクを実行する際に考慮するベスト プラクティスを説明します。
- パブリック フォルダ データベースの作成
- パブリック フォルダの階層の設計
- 夜間保守の実行
パブリック フォルダ データベースの作成
組織内に作成するパブリック フォルダ データベースの数を計画するときは、以下のベスト プラクティスを検討してください。
- パブリック フォルダが酷使される大企業トポロジの場合、パブリック フォルダ専用サーバーを展開します。このベスト プラクティスは、CPU リソースとディスク リソースを、分離したサーバー機能に集中させるという一般的なベスト プラクティスに基づいています。
- 複数の小規模なパブリック フォルダ データベースを保有するよりも、少数の大規模なパブリック フォルダ データベースを保有する方が、スケーラビリティに優れ、管理が容易です。パブリック フォルダ データベースの数を減らすことで、多数の小規模データベースのバックアップおよび復元に必要な時間を短縮できます。また、バックグラウンド レプリケーション トラフィックの量が削減されます。さらに、多数の小規模データベースのオンライン保守よりも、少数の大規模データベースのオンライン保守の方が迅速です。最後に、アクセス許可と内容へのアクセスを適用し、効率的なレプリケーションと参照を実装するという点では、少数のパブリック フォルダ データベースを管理する方が容易です。
少数の大規模パブリック フォルダ データベースを保有するというベスト プラクティスは、組織レベルからトポロジを検討する場合に特に有用です。ただし、サーバー レベルでは、複数の小規模データベースを保有する方が、バックアップおよび復元処理など一部の管理タスクや保守タスクを迅速に実行できる場合があります。最終的に、展開するパブリック フォルダ データベースの数は、ビジネス要件に合わせる必要があります。展開するデータベースの数を決定するにあたって、レプリケーション トラフィックのコストと、データベースのバックアップ、保守、および復元回数のコストのバランスを取る必要があります。
パブリック フォルダの階層の設計
パブリック フォルダの階層を設計するにあたって、環境における階層のレプリケーションの影響を認識する必要があります。パブリック フォルダの階層を深くする方が、階層を広くするよりもスケーラビリティに優れています。深い階層は、多数の高レベルのフォルダではなく、縦方向に入れ子になった多数のフォルダで構成されます。広い階層は、多数の高レベルのフォルダで構成され、縦方向に入れ子になったサブフォルダは少数です。
たとえば、250 のフォルダが特定の階層状に編成された状態を考えてみます。広い階層の場合、1 つの親フォルダの下に、250 のサブフォルダを直接配置します。深い階層の場合、最上位フォルダを 5 つ用意し、それぞれに 5 つの直接サブフォルダを配置します。そのそれぞれのサブフォルダ内に 10 のサブフォルダを含めることができます。
どちらの例でも 250 のフォルダになります (5 × 5 × 10 = 250)。ただし、広い階層よりも深い階層の方が、以下の理由でパフォーマンスに優れています。
- 適用されたアクセス許可が異なるフォルダをレプリケーションで処理する方法は、深い階層の方が効率的です。
- 10 のサブフォルダを持つフォルダに対するクライアント コンピュータの操作 (並べ替え、検索、展開など) の方が、250 のサブフォルダを持つフォルダよりも大幅に安価です。
深い階層の方が広い階層よりもスケーラビリティに優れていますが、フォルダあたりのサブフォルダ数は 250 を超えないことがベスト プラクティスです。サブフォルダが 250 を超えると、クライアント コンピュータがアクセスを要求したときに、クライアントが許容できない事態が発生する可能性があります。
階層を実装するにあたって考慮する必要がある要因は、ユーザーがパブリック フォルダにアクセスする際にアクセス許可がユーザーの操作に与える影響です。パブリック フォルダの各サブフォルダに固有のアクセス制御リスト (ACL) エントリが定義されている場合、Exchange サーバーが新しいパブリック フォルダ レプリケーション メッセージを受け取るたびに、親パブリック フォルダの ACL を評価して、どのユーザーが親パブリック フォルダへの変更を参照する権限があるかを決定する必要があります。親パブリック フォルダに大きな随意アクセス制御リスト (DACL) エントリが設定されている場合、各パブリック フォルダ サブスクライバの表示を更新するには長時間かかる場合があります。
注 : |
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親フォルダの DACL は、パブリック フォルダのすべてのサブフォルダの DACL の合計で構成されます。 |
以下の条件に当てはまる場合、数 MB の DACL データを解析することが必要になる可能性があります。
- 単一の親パブリック フォルダの下に多数のサブフォルダがある。
- そのそれぞれのサブフォルダに固有の ACL が定義されている。
パブリック フォルダ レプリケーション メッセージが届くたびにすべてのパブリック フォルダ サブスクライバの表示を更新できるように、この DACL データを解析する必要があります。
したがって、パブリック フォルダの階層は、親フォルダにアクセスするユーザー セットに応じて編成することをお勧めします。また、パブリック フォルダ階層には複雑なアクセス許可モデルを実装しないでください。
夜間保守の実行
データベースが効率的に運用を継続できるように、メールボックス データベースおよびパブリック フォルダ データベースに対して夜間保守を実行することをお勧めします。Exchange 2007 メールボックス サーバーは、設定されたスケジュールに従ってタスクを自動実行します。
メールボックス データベースおよびパブリック フォルダ データベースの保守の詳細については、「メールが有効なパブリック フォルダに関する情報を取得する方法」を参照してください。
パブリック フォルダ データベースの保守スケジュールを管理する方法の詳細については、「データベースの保守スケジュールを設定する方法」を参照してください。
詳細情報
Exchange 2007 からパブリック フォルダを管理する方法の詳細については、以下のトピックを参照してください。
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。