Integration Services パッケージ

パッケージは、接続、制御フロー要素、データ フロー要素、イベント ハンドラ、変数、および構成の組み合わせとして構成されています。パッケージは、SQL ServerIntegration Services で用意されているグラフィック デザイン ツールを使用して作成するか、プログラムによって構築します。完成したパッケージは、SQL Server、SSIS パッケージ ストア、またはファイル システムに保存します。パッケージとは、取得、実行、および保存の対象となる作業単位のことです。

最初にパッケージを作成した時点では、パッケージは何も実行しない空のオブジェクトです。パッケージに機能を追加するには、制御フロー、および任意で 1 つ以上のデータ フローを追加します。

次の図は、1 つの制御フローを含む簡単なパッケージを示しています。この制御フローには 1 つのデータ フロー タスクが含まれ、そのタスクの中に 1 つのデータ フローが含まれます。

制御フローとデータ フローを含むパッケージ

基本パッケージを作成したら、ログ記録や変数などの拡張機能を追加して、パッケージの機能を拡張できます。詳細については、パッケージ機能を拡張するオブジェクトに関するセクションを参照してください。

完成したパッケージは、セキュリティの実装、チェックポイントからのパッケージ再開の有効化、パッケージ ワークフローのトランザクションの組み込みなど、パッケージ レベルのプロパティを設定することにより構成できます。詳細については、拡張機能をサポートするプロパティに関するセクションを参照してください。

パッケージの内容

制御フローは、パッケージの実行時に実行される 1 つ以上のタスクとコンテナで構成されます。パッケージ制御フロー内で次に実行するタスクまたはコンテナの順序を制御したり、実行条件を定義するには、優先順位制約を使用してパッケージ内のタスクやコンテナを連結します。タスクとコンテナのサブセットをグループ化して、パッケージ制御フロー内の 1 つの単位として繰り返し実行することもできます。詳細については、「制御フローの要素」および「パッケージの制御フローの作成」を参照してください。

データ フローは、データの抽出や読み込みの実行元と実行先、データの変更や拡張を行う変換、および実行元、変換、実行先にリンクするパスで構成されます。データ フローをパッケージに追加するには、データ フロー タスクを事前にパッケージ制御フローに含める必要があります。データ フロー タスクは SSIS パッケージ内の実行可能ファイルで、データ フローの作成、順序付け、および実行を行います。パッケージ内の各データ フロー タスクに対し、データ フロー エンジンのインスタンスが個別に開きます。詳細については、「データ フロー タスク」、「データ フロー要素」、および「パッケージのデータ フローの作成」を参照してください。

パッケージには通常、1 つ以上の接続マネージャが含まれます。接続マネージャは、パッケージとデータ ソース間のリンクであり、パッケージ内のタスク、変換、およびイベント ハンドラによって使用されるデータにアクセスするための接続文字列が定義されています。Integration Services には、テキストや XML ファイル、リレーショナル データベース、Analysis Services のデータベースやプロジェクトなどのデータ ソースに対する接続の種類が用意されています。詳細については、「Integration Services の接続」を参照してください。

パッケージ テンプレート

パッケージは、基本的な共通した機能を持つパッケージを構築する際の基になるテンプレートとして使用されることがよくあります。基本パッケージを構築してそれをコピーすることも、パッケージをテンプレートとして指定することもできます。たとえば、ファイルをダウンロードおよびコピーしてからデータを抽出するパッケージでは、フォルダ内のファイルを列挙する ForEach ループに FTP タスクおよびファイル システム タスクを含めることができます。また、データにアクセスするためのフラット ファイル接続マネージャや、データを抽出するためのフラット ファイル ソースを含めることもできます。データの抽出先はそれぞれ異なるので、基本パッケージからコピーした後、それぞれの新しいパッケージに抽出先を追加します。パッケージを作成してから、Integration Services プロジェクトに追加する新しいパッケージのテンプレートとしてそれらのパッケージを使用することもできます。詳細については、「Business Intelligence Development Studio でのパッケージの作成」を参照してください。

プログラムまたは SSIS デザイナを使用したパッケージの初回作成時には、パッケージの ID プロパティに GUID が追加され、Name プロパティに名前が追加されます。既存のパッケージをコピーするかテンプレート パッケージを使用して新しいパッケージを作成した場合は、そのパッケージの名前および GUID もコピーされます。この動作は、ログ記録を使用する場合に問題となることがあります。これは、ログに記録された情報が属するパッケージを識別するために、そのパッケージの GUID および名前がログに記録されるためです。したがって、新しいパッケージをコピー元のパッケージと区別したり、ログ データ内でパッケージを正しく区別できるようにするには、新しいパッケージの名前と GUID を更新する必要があります。

パッケージの GUID を変更するには、Business Intelligence Development Studio の [プロパティ] ウィンドウで、ID プロパティの GUID を再生成します。パッケージ名を変更するには、[プロパティ] ウィンドウの Name プロパティの値を更新します。また、dtutil コマンド プロンプトを使用したり、プログラムを使用して GUID と名前を更新することもできます。詳細については、「パッケージのプロパティの設定」および「dtutil ユーティリティ」を参照してください。

パッケージ機能を拡張するオブジェクト

パッケージには、イベント ハンドラ、構成、ログ記録、変数など、拡張機能を提供したり既存の機能を拡張するためのオブジェクトを追加できます。

イベント ハンドラ

イベント ハンドラは、パッケージ、タスク、またはコンテナによって発生したイベントに応答して実行されるワークフローです。たとえば、イベント ハンドラを使用すると、実行前のイベントが発生した場合にディスク領域を確認して空き領域を報告したり、エラーが発生した場合にエラー情報を報告したりする電子メール メッセージを管理者に送信できます。イベント ハンドラは、パッケージと同様、1 つの制御フローとオプションのデータ フローで構成されます。イベント ハンドラは、パッケージ内の個々のタスクまたはコンテナに追加できます。詳細については、「Integration Services のイベント ハンドラ」および「パッケージのイベント ハンドラの作成」を参照してください。

構成

構成とは、パッケージが実行されるときの、パッケージおよびそのタスク、コンテナ、変数、およびイベント ハンドラのプロパティを定義する、プロパティと値の組み合わせのことです。構成を使用すると、パッケージを変更しなくてもプロパティを更新できます。パッケージが実行されると、構成情報が読み込まれ、プロパティの値が更新されます。たとえば、構成を使用して接続の接続文字列を更新できます。

パッケージを別のコンピュータにインストールすると、パッケージと共に構成が保存され、配置されます。パッケージのインストールの際、別の環境でパッケージがサポートされるように、構成の値を更新できます。詳細については、「パッケージの構成の作成」を参照してください。

ログ記録とログ プロバイダ

ログとは、パッケージの実行時に収集される、パッケージに関する情報の集まりのことです。たとえば、ログにはパッケージの実行開始時刻と終了時刻を記録できます。ログ プロバイダとは、パッケージとそのコンテナおよびタスクが実行時の情報を記録するために使用する、記録先の種類と形式を定義するものです。ログはパッケージに関連付けられますが、パッケージ内のタスクとコンテナの情報は、任意のパッケージ ログに記録できます。Integration Services には、ログ記録用の各種のログ プロバイダが組み込まれています。たとえば Integration Services には、SQL Server およびテキスト ファイル用のログ プロバイダが含まれます。また、カスタム ログ プロバイダを作成してログ記録用に使用することもできます。詳細については、「Integration Services ログ プロバイダ」を参照してください。

変数

Integration Services では、システム変数とユーザー定義変数がサポートされます。システム変数は、実行時のパッケージ オブジェクトに関する有益な情報を提供します。またユーザー定義変数を使用すると、パッケージのシナリオをユーザー独自でサポートできます。どちらの種類の変数も、式、スクリプト、および構成の内部で使用できます。

パッケージ レベルの変数には、1 つのパッケージで使用できる定義済みのシステム変数と、パッケージの範囲を定めたユーザー定義変数が含まれます。詳細については、「Integration Services の変数」を参照してください。

拡張機能をサポートするパッケージのプロパティ

パッケージ オブジェクトを構成して、チェックポイントでのパッケージの再開、デジタル証明書を使用したパッケージの署名、パッケージの保護レベルの設定、およびトランザクションを使用したデータ整合性の検証などの機能をサポートできます。

パッケージの再開

パッケージには、チェックポイント プロパティが含まれます。これを使用すると、1 つ以上のタスクが失敗した場合にパッケージを再開できます。たとえば、異なる 2 つのテーブルを更新する 2 つのデータ フロー タスクがパッケージに含まれ、2 番目のタスクが失敗した場合、最初のデータ フロー タスクを繰り返さずにそのパッケージを再実行できます。パッケージの再開を使用すると、実行時間が長いパッケージで時間を節約できます。再開とは、パッケージ全体を再実行するのではなく、失敗したタスクからパッケージを開始できるということです。詳細については、「パッケージでのチェックポイントの使用」を参照してください。

パッケージの保護

デジタル署名を使用してパッケージに署名したり、パスワードまたはユーザー キーを使用してパッケージを暗号化できます。デジタル署名により、パッケージのソースが認証されます。ただし、パッケージの読み込み時にデジタル署名を確認するように Integration Services を構成する必要もあります。詳細については、「パッケージでのデジタル署名の使用」および「パッケージの保護レベルの設定」を参照してください。

トランザクションのサポート

パッケージ上のトランザクションの属性を設定すると、パッケージ内のタスク、コンテナ、および接続をトランザクションに結合できます。トランザクションの属性により、パッケージとその要素が全体として成功または失敗するようにできます。また、パッケージで他のパッケージを実行したり、トランザクション内に他のパッケージを含めることができるため、複数のパッケージを作業の 1 単位として実行できます。詳細については、「パッケージへのトランザクションの組み込み」を参照してください。

パッケージで使用できるカスタム ログ エントリ

次の表は、パッケージのカスタム ログ エントリの一覧です。詳細については、「パッケージへのログ機能の実装」および「ログ記録用のカスタム メッセージ」を参照してください。

ログ エントリ

説明

PackageStart

パッケージの実行が開始されたことを示します。

注意注意
このログ エントリは自動的にログに書き込まれます。除外することはできません。

PackageEnd

パッケージが完了したことを示します。

注意注意
このログ エントリは自動的にログに書き込まれます。除外することはできません。

Diagnostic

同時実行できる実行可能ファイル数など、パッケージの実行に影響するシステム構成に関する情報を提供します。

パッケージの作成

Integration Services には、パッケージを作成するための SSIS オブジェクト モデルの他に、SSIS デザイナ、および SQL Server インポートおよびエクスポート ウィザードの、2 つのグラフィック ツールが含まれています。

パッケージの作成方法の詳細については、次の一覧のトピックを参照してください。

パッケージの構成

プロパティを設定するには、Business Intelligence Development Studio の [プロパティ] ウィンドウで行うか、またはプログラムによって設定します。

これらのプロパティの設定方法の詳細については、次のトピックを参照してください。

プログラムによるパッケージの構成

プログラムによってこれらのプロパティを設定する方法については、次のトピックを参照してください。

Integration Services のアイコン (小) 最新の Integration Services の入手

マイクロソフトが提供する最新のダウンロード、アーティクル、サンプル、ビデオ、およびコミュニティで選択されたソリューションについては、MSDN または TechNet の Integration Services のページを参照してください。

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