URL アクセスまたは SOAP の選択
Reporting Services をカスタム アプリケーションへ統合するのは、必ずしも容易な作業ではありません。ただし、その原因はプログラミング モデルや API が複雑なためではなく、統合方法が多数存在することです。Reporting Services はもともと開発者向けプラットフォームとして設計されているので、プログラムを柔軟に行えるようになっています。柔軟性を得るには、Reporting Services のレポート ナビゲーション機能と管理機能を既存ビジネス アプリケーションに統合することに関して重要な意思決定を行う必要があります。
Reporting Services をカスタム アプリケーションに統合するには、URL アクセスと Reporting Services SOAP API という 2 つの方法があります。どちらの方法を使用するかは、いくつかの要因によって異なります。状況によっては、Reporting Services をカスタム ビジネス アプリケーションに統合する場合に URL アクセスと SOAP の両方が必要です。決定に際して、次の事項を考慮する必要があります。
自分自身、またはエンド ユーザーにとって、どのようなエンタープライズ レポート機能が必要か。レポートの起動や操作はできるだけ簡単な方がよいのか、あるいは、カスタム ビジネス ソリューションの高度なレポート サーバー管理機能を使用する必要があるのか。
一般的なユーザーの操作環境はどのようなものか。ビジネス アプリケーションとして、Web アプリケーションを使用するのか、Windows アプリケーションを使用するのか。エンド ユーザーは、Win32 環境から Web 環境へ簡単に切り替えることができるか。レポートを実行および管理するうえで、どのような機能が必要か。
これらの事項を考慮したうえで、Reporting Services を IT インフラストラクチャに統合する方法を決定してください。通常、個別のレポートを表示およびナビゲートする場合は URL アクセスが適しています。URL アクセスでは、Web サービスのオーバーヘッドなしにレポートを自由にすばやくナビゲートできます。また、レポートのナビゲーションにレポートのツール バーを含む完全な HTML ビューアーを使用するプログラム技法は、現在のところ URL アクセスのみです。URL アクセスでは、パフォーマンスも SOAP より向上します。サーバーからやり取りされる SOAP 要求のマーシャリングをバイパスするためです。組み込まれたツールを使用してレポートを表示およびナビゲーションするために、すばやくかつ簡単なアクセスが必要な統合シナリオには、URL アクセスが適しています。
注意 |
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レポート サーバー URL アクセスは、HTML ビューアーとレポート ツール バーの拡張された機能をサポートします。SOAP API は、この種の表示レポートをサポートしません。SOAP を使用してレポートを表示する場合は、独自のレポート ツール バーを設計および開発する必要があります。 |
レポート ツール バーの詳細については、「HTML ビューアとレポート ツール バー」を参照してください。
URL アクセスの詳細については、「URL アクセス」を参照してください。
URL アクセスはレポートの表示に便利ですが、エンタープライズ レポート機能に不可欠なレポートと名前空間の管理機能はありません。このような場合は、Reporting Services SOAP API の幅広く豊富な機能をお勧めします。SOAP API を使用すると、レポートの管理と配置、スケジュールの作成、サーバーのプロパティの構成、レポート サーバー名前空間の管理、サブスクリプションの作成などが可能です。SOAP API は、Reporting Services の管理機能の完全なセットを提供します。SOAP API では、API の Render メソッドを通してレポートを表示およびナビゲートすることもできます。ただし、SOAP API を通してレポートを表示する場合は、レポート ツール バーの組み込み表示機能を使用できず、URL アクセスのようなレポート対話機能も自動的に処理されません。
Reporting Services SOAP API の詳細については、「レポート サーバー Web サービス」を参照してください。
ほとんどの場合、レポート機能のニーズを満たすために URL アクセスと SOAP 呼び出しの両方が必要です。SOAP を使用するのは、レポート サーバー データベースに最初に接続するときと、ユーザー インターフェイスに使用可能なレポートの一覧を表示するときです。URL アクセスを使用するのは、実際に個別のレポートにアクセスし、ナビゲートするときです。
URL アクセスと Web サービスを組み合わせて統合レポート機能を実現する例については、「SQL Server Reporting Services Product Samples」(英語) を参照してください。