ツールボックス: IT プロフェッショナル向けの新製品
今月のコラムで紹介するツールは、Web サイトの稼働時間を監視したり、エンタープライズ規模のシステムやアプリケーションを監視するのに役立ちます。
Greg Steen
Uptime Robot
Web サイトの運用を担当している場合、Web サイトが常時利用できて、いつも応答時間が短くなるようにする必要があります。これを実現できない場合、Web サイトのユーザーは、別の Web サイトに移動してしまいます。Uptime Robot は、最大 50 個の Web サイトの正常性を 5 分おきにチェックできる無料のリモート サービスです。いずれかのサイトのチェックでエラーが発生した場合、Uptime Robot では、電子メール、ショート メッセージ サービス (SMS)、RSS、Twitter、またはプッシュ通知を使用して、iPad や iPhone に警告メッセージを送信できます。
Web サイトの監視機能を設定するには、アカウントを作成し、My Monitors (マイ モニター) ダッシュボードで [Add New] (新規追加) をクリックして、監視の種類を選択します。
- HTTP: 指定の URL で HTTP 200 番台の応答を確認します。
- Keyword Checking (キーワード チェック): HTTP 応答で特定の単語が存在していること (または、存在していないこと) を確認します。
- Ping: 標準的なインターネット制御メッセージ プロトコル (ICMP) を確認します。
- TCP Ports (TCP ポート): 特定のポートが要求をリッスンしていることを確認します。
監視の種類を選択したら、チェックする URL またはホストの IP アドレスと他の関連情報を入力します。次に、問題が発生したときに警告を受け取る方法を選択します。Uptime Robot には、監視項目や警告の送信先の確認、作成、更新、および削除に使用できる API が用意されています。API を使用すると、このサービスを簡単に既存の監視インフラストラクチャに統合できます。また、Web サイトのオンライン/オフラインを切り替えるときに、監視をスクリプト化するのにも役立ちます。
最近、Uptime Robot の開発者は、エンジンを更新して、機能を拡張しました。また、インターフェイスの更新と見直しが予定されています。現在、Uptime Robot は無償で提供されています。今後も、無償で提供されることを期待していますが、デザインの見直し後には、価格についての見直しが行われる可能性があります (詳細については、Uptime Robot ブログ (英語) を参照してください)。Uptime Robot を使用すると、外部から Web サイトの状態を確認できます。
.jpg)
Nagios、NSClient++、および Lilac-Reloaded
IT を正常に運用するうえで、システムとアプリケーションの監視は欠かせません。より詳細な監視を行うことで、アプリケーションとインフラストラクチャに対する理解を深め、トラブルシューティングや対応にかかる時間を短縮できます。オープン ソースの Nagios は、ルーター、スイッチ、プリンター、Windows、Unix、Linux など、あらゆるものに対応したスケーラブルな監視ソリューションです。
Nagios は、パッケージ製品として、またはソースからビルドすることによって、一般的な Linux ディストリビューションの大半にインストールできます。ソース インストールについては包括的なマニュアルが用意されているため、ホストとして使用できる Linux システムがある場合は、コア システムの運用を開始できます。詳細については、「Nagios Quickstart Installation Guides (英語)」を参照してください。
Nagios は、Nagios Core、プラグイン、および Web ベースのフロント エンドという 3 つの主要コンポーネントで構成されています。Nagios Core は、すべての監視タスクを処理するサーバー コンポーネントです。プラグインでは、さまざまなサーバー、アプリケーション、サービス、およびパフォーマンス メトリックスを監視できます。Web ベースのフロント エンドを使用すると、システムを操作したり、視覚化したりすることができます。Nagios をインストールしたら、まず、最初のホストを設定します。インストール パッケージには、Nagios でアプリケーションやサービスを監視するときに必要なテキスト形式の構成ファイルのサンプルが同梱されています。
Windows サーバーを監視するには、無料のオープン ソース監視エージェントである NSClient++ も確認することをお勧めします。これは Windows サーバーにインストールするモジュール ベースの監視エージェントで、このエージェントをインストールした Windows サーバーは Nagios サーバーからチェックできます。標準に基づいてプロトコルを処理するので、他の監視ソリューションとも連動します。エージェントをインストールすると、Windows サーバーの CPU、メモリ、ディスク、プロセスの状態、レジストリ エントリ、サービスの状態、パフォーマンス カウンター、および稼働時間をクエリできます。イベント ログをクエリしたり、汎用的なスクリプトを使ってクエリしたり、SMTP サーバーの正常性をチェックしたりするなど、Nagios の機能を拡張する追加モジュールがあります。
Nagios には、アクティブなユーザー コミュニティとサポート体制があります。追加機能を提供したり、UI を強化したり、構成の管理をサポートしたりする Nagios のプロジェクトは多数あります。このような拡張機能については、Nagios Exchange (英語) で確認できます。Nagios Exchange では、Nagios のインターフェイスを強化する多数の新しいフロント エンドや新しい監視機能を追加するためのプラグインが公開されています。たとえば、Microsoft SQL Server インスタンスで T-SQL クエリを実行して、状態を確認したり、それらのサーバーで実行している SQL Server エージェント ジョブを確認したりできるプラグインがあります。
テキスト形式の構成ファイルが面倒だと感じる場合は、Lilac-Reloaded アドオンを使用できます。Lilac-Reloaded では、監視タスクの構成を管理し、MySQL ストアに Nagios の構成情報を格納します。準備ができたら、ボタンをクリックするだけで、構成情報をファイルに出力できます。
監視がアクティブになったら、Nagios では、チェックでエラーが発生したり、問題が解消して正常な状態に戻ったりしたときには、電子メール、SMS、またはカスタム スクリプトを使用して警告を送信できます。サービスごとに、さまざまな警告のしきい値を構成できるので、多数の誤検出によって本当の問題が埋もれないようにすることができます。また、警告のエスカレーション ポリシーや通知ポリシーを構成したり、時刻に基づいてポリシーを設定したりすることもできます。
ホストごとに、メンテナンス期間を定義したり、作業を行う必要があるホストでチェックを一時的に無効にしたりすることができます。サービスやホストがダウンした場合に、新しいホストをオンラインにしたり、IIS を再起動したりするスクリプトやプラグインを実行するようにシステムを構成することも可能です。このようにすると、システムを事前対応型の監視ソリューションとして活用できます。
Nagios には、長期にわたるインフラストラクチャの状態を理解するのに役立つ多数の組み込みのレポートが用意されています。任意のシステムを指定の期間監視したり、稼働時間とダウンタイムの割合を監視したりできます。CPU の使用率などを監視できる傾向に関するレポートもあります。このような種類のレポートは、事態が深刻になる前に、システムの弱点を特定して、容量計画に役立てることができます。警告レポートには、さまざまな警告が発生した日時、場所、および原因が表示されます。また、応答時間に関するメトリックスも提供します。Web フロント エンドでは、システム ログのビュー、スケジュール キューのメトリックス、パフォーマンス情報、およびプロセス情報と合わせて、Nagios 自体のパフォーマンスに関する情報を提供します。
Nagios の実装について、より公式なサポートが必要な場合は、Nagios Core をベースにした製品があります。たとえば、ダウンロード可能なパッケージ製品の Nagios XI では、管理が簡略化され、より洗練されたインターフェイスが用意され、拡張性とパフォーマンスの調整機能が強化されています。また、セットアップのサポートや問題が発生したときにサポートを得られるサポート システムが用意されています。Nagios XI の価格は、監視するホストの数によって異なります。100 台のホストまで対応できる 1,650 ドルの製品から無制限のホストに対応できる 4,000 ドルの製品まであります。
ただし、ご自分で製品の運用を開始することに抵抗がない場合は、オープン ソース版とアクティブなコミュニティを利用できます。事前対応型の監視ソリューションを配置すると、時間の節約とストレスの軽減につながるだけでなく、発生した問題への対応に追われることなく、将来に目を向けられるようになります。
.jpg)
.jpg)
Greg Steen は技術プロフェッショナルであり、企業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。