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SQL Server Express LocalDB のインスタンス API リファレンス

従来のサービスベースの SQL Server 環境で、単一のコンピューターにインストールされた個々の SQL Server インスタンスは、物理的に独立しています。つまり、各インスタンスは独立したバイナリ セットを持っており、独立したサービス プロセスの下で実行されます。インストールと削除も個別に行われる必要があります。 ユーザーが接続する先の SQL Server インスタンスは、SQL Server インスタンス名を使用して指定されます。

SQL Server Express LocalDB インスタンス API は、簡略化された "軽量な" インスタンス モデルを使用しています。 個々の LocalDB インスタンスは、ディスク上とレジストリ内で独立していますが、同じ 1 組の共有 LocalDB バイナリを使用します。 また、LocalDB ではサービスが使用されません。LocalDB インスタンスは、LocalDB インスタンス API 呼び出しを介して要求時に起動されます。 LocalDB では、ユーザーが使用する LocalDB インスタンスを指定するために、インスタンス名が使用されます。

個々の LocalDB インスタンスは、常に単一のユーザーによって所有されます。インスタンス共有が有効化されていない限り、表示およびアクセスが可能になるのは、そのユーザーのコンテキストからのみです。

厳密には、LocalDB インスタンスは従来の SQL Server インスタンスとは異なりますが、意図されている用途はほぼ同じです。 LocalDB インスタンスも "インスタンス" と呼ばれていますが、これは、類似性を強調し、SQL Server ユーザーが直感的に理解できるようにするためです。

LocalDB では、自動インスタンス (AI) と名前付きインスタンス (NI) という 2 種類のインスタンスがサポートされています。 LocalDB インスタンスの識別子は、インスタンス名です。

自動 LocalDB インスタンス

自動 LocalDB インスタンスは、"パブリック" です。ユーザーのために自動的に作成および管理され、任意のアプリケーションから使用できます。 どのバージョンの LocalDB に対しても、ユーザーのコンピューターにインストールされている自動 LocalDB インスタンスが 1 つ存在します。

自動 LocalDB インスタンスを使用すると、シームレスなインスタンス管理を実行できます。 ユーザーがインスタンスを作成する必要はありません。 これにより、ユーザーはアプリケーションのインストールや、複数の異なるコンピューターへの移行を容易に行うことができます。 対象コンピューターに指定バージョンの LocalDB がインストールされている場合、そのコンピューターでは、同じバージョンの自動 LocalDB インスタンスも使用できます。

自動インスタンス管理

ユーザーは、自動 LocalDB インスタンスを作成する必要はありません。 指定バージョンの LocalDB がユーザーのコンピューターにインストールされている場合、インスタンスは、初回使用時に自動的に作成されます。 ユーザーから見ると、LocalDB バイナリが存在する場合は、自動インスタンスが必ず存在するということになります。

自動インスタンスには、削除、共有、共有解除など、その他のインスタンス管理操作も使用できます。 特に、自動インスタンスを削除すると、そのインスタンスが効果的にリセットされ、次回の起動操作時に再作成されます。 システム データベースが破損した場合は、自動インスタンスの削除が必要になる場合があります。

自動インスタンスの名前付け規則

自動 LocalDB インスタンスのインスタンス名には特殊なパターンがあり、これは予約済み名前空間に属します。 このようなパターンが必要になるのは、名前付き LocalDB インスタンスと名前が競合するのを防ぐためです。

自動インスタンス名は、LocalDB ベースライン リリース バージョン番号の前に "v" という 1 文字が付いた名前になります。 言い換えると、"v" の後に番号を 2 つ付加し、番号と番号の間にピリオドを 1 つ挿入した形 ("v11.0"、"V12.00" など) になります。

無効な自動インスタンス名の例を次に示します。

  • 11.0 (先頭の "v" 文字がありません)

  • v11 (ピリオドと 2 番目のバージョン番号がありません)

  • v11. (2 番目のバージョン番号がありません)

  • v11.0.1.2 (バージョン番号の数が 2 つを超えています)

名前付き LocalDB インスタンス

名前付き LocalDB インスタンスは、"プライベート" です。インスタンスは、そのインスタンスの作成と管理を行う単一のアプリケーションによって所有されます。 名前付き LocalDB インスタンスを使用すると、そのインスタンスを分離することで、パフォーマンスの向上を図ることができます。

名前付きインスタンスの作成

名前付きインスタンスは、ユーザーが LocalDB 管理 API を通じて明示的に作成するか、マネージ アプリケーションの app.config ファイルを通じて暗黙的に作成する必要があります。 この API は、マネージ アプリケーションでも使用できます。

各名前付きインスタンスには、特定の LocalDB バージョンが関連付けらています。つまり、各名前付きインスタンスは、LocalDB バイナリの特定のセットを指しています。 名前付きインスタンスのバージョンは、インスタンス作成時に設定されます。

名前付きインスタンスの名前付け規則

LocalDB インスタンス名の最大文字数は 128 文字です (これは sysname データ型による制約です)。 これは、従来の SQL Server インスタンス名と比較すると、大きく異なります。従来は、16 の ASCII 文字で構成される NetBIOS 名に制限されていました。 この相違が生じたのは、ユーザーが従来より自由にインスタンス名を選択できるように、LocalDB ではデータベースがファイルとして扱われ、ファイルベースのセマンティクスが使用されるようになったためです。

LocalDB のインスタンス名には、ファイル名コンポーネント内で有効な任意の Unicode 文字を使用できます。 一般に、ファイル名コンポーネント内で無効な文字には、ASCII/Unicode 文字 1 ~ 31、引用符 (")、小なり (<)、大なり (>)、パイプ (|)、バックスペース (\b)、タブ (\t)、コロン (:)、アスタリスク (*)、疑問符 (?)、円記号 (\)、スラッシュ (/) などがあります。 null 文字 (\0) は、文字列の終端として許可されています。最初に検出された null 文字以降は、すべての文字が無視されます。

注意

無効な文字はオペレーティング システムによって異なり、今後のリリースで変わることもあります。

インスタンス名の先頭と末尾の空白は無視され、トリミングされます。

名前の競合を回避する必要があるため、「自動インスタンスの名前付け規則」で説明した自動インスタンスの名前付けパターンに従った名前を、名前付き LocalDB インスタンスに付けることはできません。自動インスタンスの名前付けパターンに従った名前で名前付きインスタンスを作成しようとすると、既定のインスタンスが作成されます。

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