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Microsoft TV テクノロジの内部要素

ここでは、Microsoft TV テクノロジのシステム アーキテクチャを構成する、必要な DirectShow フィルタおよびドライバに関する背景情報を示す。この内容は、ガイド ストア ローダー、MPEG-2 デコーダ、BDA デバイス ドライバなどのサード パーティ コンポーネントの開発者に関係する。Windows® XP で実行するアプリケーションはフィルタ グラフと直接通信しない。Windows 98 SE、Windows Me、または Windows 2000 で実行するアプリケーションはビデオ コントロールを使えない。そのため、これらのアプリケーションではフィルタ グラフを作成してチューニング要求を格納する必要がある。

次の図は、デジタル TV 放送の受信に使う Microsoft TV テクノロジのシステム コンポーネントを示している。

Microsoft TV テクノロジのシステム アーキテクチャ

  • BDA ネットワーク プロバイダは、チューナー、MPEG-2 デマルチプレクサ、およびトランスポート情報フィルタ (TIF) と連動し、チューニング要求に基づいて、チューニングと基本ストリームのルーティングを行うユーザー モード フィルタである。

    Microsoft では、ATSC、DVB-C、DVB-T、および DVB-S の各規格について、ネットワーク プロバイダ フィルタを用意している。

  • **BDA デバイス フィルタ。**Microsoft TV テクノロジに関連したドライバ仕様は Broadcast Driver Architecture (BDA) と呼ばれる。BDA は、Windows 用のデジタル TV チューニング デバイスを作成する独立系ハードウェア ベンダー (IHV) が使う。IHV は、新しいネットワーク タイプやカスタム ハードウェア機能をサポートする場合にも、BDA を使う。BDA 互換のドライバは、KsProxy ラッパー フィルタを通じて自動的に DirectShow フィルタとして表される。これらのフィルタの実際の名前、およびデバイスを表すために使われる異なるフィルタの数は、ドライバによって変わる。BDA の詳細はアプリケーション開発者にとってはあまり重要ではない。BDA については、DirectX 9.0 DDK と、Windows XP の Microsoft Platform DDK を参照すること。

  • MPEG-2 デマルチプレクサ フィルタは MPEG-2 トランスポート ストリームをキャプチャ フィルタから受け取り、ネットワーク プロバイダから提供されるパケット ID (PID) に基づいてストリームを多重分離する。ネットワーク プロバイダはデマルチプレクサの出力ピンを構成する。

  • BDA MPEG-2 トランスポート情報フィルタ (TIF) は、PSI パケットを受け取り、テーブルを解析し、ネットワーク プロバイダに情報を提供する。MPEG-2 セクションおよびテーブル フィルタも PSI パケットを受け取る。サード パーティでは、TIF および MPEG-2 セクションおよびテーブル フィルタからテーブル データを受け取り、このデータを使ってチューニング要求を作成する "ガイド ストア ローダー" と呼ばれるソフトウェア コンポーネントを開発できる。詳細については、「Microsoft 統合チューニング モデル」を参照すること。

  • MPEG-2 デコーダ : デジタル TV フィルタ グラフには高解像度 TV ビデオ ストリームの性能を持つサードパーティの MPEG-2 デコーダが必要である。同じフィルタでオーディオとビデオの両方をデコードするデコーダや、オーディオとビデオ用に別のフィルタを持つデコーダがある。HDTV のサポートに必要な性能を実現するには、デコーダは Microsoft DirectX ビデオ アクセラレーション (DXVA) をサポートする必要がある。これは、デジタル ビデオ デコーディング処理のハードウェア アクセラレーションの規格である。DXVA については、DirectX 9.0 DDK と Windows XP の Microsoft Platform DDK を参照すること。DXVA 用のユーザー モード インターフェイスである IAMVideoAccelerator は、ソフトウェア デコーダによって使われる。このインターフェイスについては、この SDK で説明している。

注 : 上の図はソフトウェア デコーダを示しているが、ハードウェア デコーダもサポートされている。ハードウェア デコーダを使う場合、ビデオ ポート マネージャ フィルタがデコーダの出力ピンの 1 つに接続し、グラフィック カードとのビデオ ポート接続を管理する。

  • ビデオおよびオーディオ レンダラ : Video Mixing Renderer (VMR) は、オーバーレイ ミキサ フィルタおよびビデオ レンダラ フィルタの両方に置き換わるビデオ レンダリング フィルタである。詳細については、「Video Mixing Renderer の使い方」を参照すること。オーディオ レンダラは、デコードされたオーディオ ストリームをシステムのスピーカーで再生する。
  • データ サービス フィルタ : このフィルタは、MPEG-2 デマルチプレクサから IP データを受け取り、それを Line 21 またはクローズド キャプション データの場合はレンダラに、それ以外の場合は Winsock に渡す。グラフに含まれるデータ サービス フィルタは、処理するデータの種類によって異なる。上の図は、IP データを Winsock に渡すときに使うフィルタを示している。BDA MPE フィルタと BDA IP シンク フィルタである。