組織階層
適用: Microsoft Dynamics AX 2012 R3
Microsoft Dynamics Ax で組織階層を作成するとき、階層に目的を割り当てる必要があります。階層に割当てる目的によって、階層に含めることができる組織のタイプが決まります。この目的は、階層が使用できるアプリケーションのシナリオも定義します。
目的に対して作成される階層は、企業の実際の法的構造を反映していない場合があります。たとえば、請求の承認プロセスには、互に報告しない複数の法人と職位が関与する場合があります。たとえば、請求書を発行する組織が、CFO の直属ではないけれども、CFO に一定の金額の請求書の承認を求める場合があります。
階層は、次の目的に使用できます。
顧客および仕入先支払の集中化
ポリシー
組織図
データ アクセス
小売チャンネルの管理
予算計画
プロジェクト管理
顧客および仕入先支払の集中化
複数の法人を含む組織では、すべての支払を処理する単一の法人を使用して支払を作成および管理できます (集中支払とも呼ばれます)。支払を集中化すると、同じトランザクションを複数の法人で入力する必要がなくなり、会社間の支払のプロセスが簡単になります。たとえば、支払の提案と決済の実行、および未処理と決算済のトランザクションの変更が容易になります。
このシナリオで階層を使用するには、[集中支払] の目的を階層に割り当てる必要があります。詳細については、以下を参照してください。
ポリシー
ポリシーは、組織のプロセスを制御するルールのコレクションです。ポリシーは、組織の内部プロセスの管理を容易にし、原価管理、欺瞞の検出、業務効率、およびパフォーマンスの向上に役立ちます。階層を使用してポリシーを設定するには、階層に適切な目的を割り当てる必要があります。ポリシーの設定方法の詳細については、「ポリシー パラメータの設定」を参照してください。
次の表は、ポリシーを使用して制御するプロセスを示します。また、各プロセスに対応する階層の目的も含まれています。
プロセス |
説明 |
階層の目的 |
詳細 |
---|---|---|---|
購買 |
要求者のグループの依頼プロセスを管理します。購入ポリシーを使用して、組織の戦略的購入のニーズに対応したポリシー構造を作成できます。 |
調達内部統制 |
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仕入先請求 |
作成するポリシー ルールのコンプライアンスに対して、仕入先請求書を評価することができます。 |
仕入先支払の内部統制 |
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監査 |
組織のコンプライアンス戦略の実装を助けます。 |
監査内部統制 |
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経費 |
経費精算書のプロセスを管理します。 |
経費内部統制 |
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署名限度 |
作業者が自分の雇用主に代わって行うことが許可れている財務責任のレベルを管理します。作業者の承認活動の結果として、雇用者が、仕入先に対する発注書などのサード パーティとの契約関係を締結する場合があります。 |
署名権限の内部統制 |
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給付金の適格性 |
組織が作業者に提供する各手当の適格性ルールを定義および実施します。これらのルールを使用して、受給資格のある作業者に対する特定の手当てを識別できます。 |
給付金の適格性制御 注意 このコントロールを使用するには、Microsoft Dynamics AX 2012 R2 または AX 2012 R3 がインストールされている必要があります。 |
組織図
組織図は、部門、職務、および職位間の関係を定義します。このシナリオで階層を使用するには、[組織図] の目的を階層に割り当てる必要があります。詳細については、「キー タスク: 新規の作業者の職位」を参照してください。
データ アクセス
Microsoft Dynamics Ax 内のデータへのユーザー アクセスは、ユーザーと組織との関係に基づいて許可できます。このシナリオで階層を使用するには、[セキュリティ] の目的を階層に割り当てる必要があります。また、階層内の組織のセキュリティを確保できるようにするために、データのセキュリティ ポリシーを作成する必要があります。したがって、特定のロールを持つユーザーを階層に関連付けると、データへのユーザー アクセスは階層が変更されたときに自動的に変更されます。詳細については、「Overview of Security Policies for Table Records」および「自動ロール割り当てルール (フォーム) または組織の組織のユーザー (フォーム)」を参照してください。
たとえば、セキュリティ組織に基づく が予算計画に対して 選択したセキュリティ モデルである場合、予算計画作成者が予算計画にアクセスできるように、予算計画の組織階層に セキュリティ の目的を割り当てる必要があります。詳細については、このトピックの「Budget planning」と、「予算計画のセキュリティのコンフィギュレーション」、「Configuring Budget Planning for Microsoft Dynamics AX 2012 R2」、および「キー タスク: 予算計画のコンフィギュレーションおよび予算計画プロセスの設定」を参照してください。
小売チャンネルの管理
次の表に、組織階層を使用できる小売のシナリオを示します。
タスク |
説明 |
階層の目的 |
詳細 |
---|---|---|---|
小売品揃えの管理 |
従来型の店舗またはオンライン ストアなど、各小売チャンネルで使用できる製品を識別します。 |
小売品揃え 注意 このコントロールを使用するには、Microsoft Dynamics AX 2012 R2 または AX 2012 R3 がインストールされている必要があります。 |
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小売補充の管理 |
補充ルールに基づいて在庫を補充する店舗をグループ化します。 |
小売補充 注意 このコントロールを使用するには、Microsoft Dynamics AX 2012 R2 または AX 2012 R3 がインストールされている必要があります。 |
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店舗のデータの報告 |
レポートの対象となる店舗をグループ化します。 |
小売レポート 注意 このコントロールを使用するには、Microsoft Dynamics AX 2012 R2 または AX 2012 R3 がインストールされている必要があります。 |
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在庫の転記、明細書の計算、または店舗グループの明細書の転記 |
バッチ ジョブに割り当てることができる店舗グループを作成します。在庫の転記、明細書の計算、または明細書の転記をするバッチ ジョブを定義するとき、どの階層にバッチ ジョブを適用するかを指定できます。店舗を階層に追加するとき、または階層から削除するとき、バッチ ジョブを変更する必要はありません。 |
Retail POS の転記 注意 このコントロールを使用するには、Microsoft Dynamics AX 2012 R2 または AX 2012 R3 がインストールされている必要があります。 |
予算計画
予算計画は、組織で実装される予算を作成するプロセスです。予算計画を使用して次のタスクを実行できます。
予算サイクル、元帳および組織階層と予算計画プロセスを関連付けます。
複数のシナリオを使用して予算計画を分析および更新します。予算計画を、確認および承認のために、ワークシート、妥当性、および添付ファイルと一緒に自動的に送ることができます。
組織の下位レベルの複数の予算計画を組織の高レベルの単一の親予算計画に統合します。また、組織の高レベルの 単一の予算計画を作成して、組織の下位レベルに予算を割り当てることもできます。
次の表に、組織階層が予算計画にどのように使用されるかを示します。
品目 |
説明 |
階層の目的 |
詳細 |
---|---|---|---|
予算計画 |
予算計画 の目的を組織階層に割り当てると、親予算計画および関連付けられた予算計画の間に階層の関係が存在することになります。また、予算計画プロセスで、組織単位別に、異なる予算作成ワークフローを定義することもできます。 注意 このコントロールを使用するには、Microsoft Dynamics AX 2012 R2 または AX 2012 R3 がインストールされている必要があります。 |
予算計画 |
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セキュリティ モデル: セキュリティ組織に基づく |
セキュリティ組織に基づく が予算計画に対して選択されたセキュリティ モデルの場合、このシナリオで階層を使用するには、予算計画の組織階層に セキュリティ の目的を割り当てる必要があります。 注意
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セキュリティ |
このトピックの Data access Configuring Budget Planning for Microsoft Dynamics AX 2012 R2 |
プロジェクト管理
すべてのプロジェクト の一覧に、保留中のプロジェクト トランザクションと転記済みのプロジェクト トランザクションが表示されます。プロジェクト管理の階層を設定している場合、これらのトランザクションを組織別に表示できます。
このシナリオで階層を使用するには、[プロジェクト管理] の目的を階層に割り当てる必要があります。
注意
このコントロールを使用するには、Microsoft Dynamics AX 2012 R2 または AX 2012 R3 がインストールされている必要があります。
詳細については、「プロジェクト トランザクションの表示」を参照してください。