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Milan の DHCP サーバーの構成

DHCP サーバー MIL-EU-DHCP-01 は、Milan サイトにおける IP アドレスのリースの主要な提供元です。Milan のこの主要な DHCP サーバーでは、Milan サイトに属しているクライアントに対してリースの大半を割り当てるので、サブネットで使用可能な IP アドレスの 80% を含む単一のスコープでこの Milan の DHCP サーバーを構成しました。一方、Active Directory ドメインにおいては、Windows 2000 Server を実行していて、DHCP サービスを提供するように構成されているコンピュータを Windows 2000 ベースのドメイン コントローラによって承認しなければなりません。そのための手順を実行すると、その DHCP サーバーの IP アドレスが、Active Directory によって管理されている「合法的な」 DHCP サーバーのリストに追加されます。作成した Milan のスコープには、デスクトップ型のクライアントで使用する既定の DHCP オプションを含みます。これらの DHCP オプションは、Milan におけるラップトップ型コンピュータ専用のユーザー クラスである Millap では構成されません。これらの DHCP オプションには、既定のルーター情報、ドメイン ネーム サービス (DNS) と Windows インターネット ネーム サービス (WINS) の構成データ、および 8 日間というリース期間が含まれます。Millap ユーザー クラスでもまったく同じホスト構成データを提供しますが、リース期間は通常より短く、3 日に設定します。

コンピュータ MIL-EU-DHCP-01 に対して次の操作を実行しました。

トピック

DHCP のインストール
Milan の DHCP サーバーの承認
Milan のサブネット用のスコープの作成
Milan のスコープ用の DHCP オプションの構成
Milan のラップトップ型ユーザー クラスの作成
Milan のラップトップ型ユーザー クラスのオプションの構成

DHCP のインストール

次の操作手順では、DHCP サービスをコンピュータ MIL-EU-DHCP-01 にインストールします。

DHCP MIL-EU-DHCP-01 にインストールするには

  1. Administrator のアクセス許可を割り当てられているローカル ユーザー アカウントを使用して、MIL-EU-DHCP-01 にログオンします。

  2. [スタート] ボタンをクリックし、[設定] をポイントして、[コントロール パネル] をクリックします。

  3. [アプリケーションの追加と削除] をダブルクリックし、[Windows コンポーネントの追加と削除] をクリックします。

  4. [コンポーネント] ボックスの一覧の [ネットワーク サービス] を選択し (チェック ボックスをオンにしないで) 、[詳細] をクリックします。

  5. [ネットワーク サービスのサブコンポーネント] ボックスの一覧の [動的ホスト構成プロトコル (DHCP) ] チェック ボックスをオンにし、[OK] をクリックします。

  6. [次へ] をクリックします。

    インストール メディアを要求された場合は、要求に応じて CD-ROM の挿入などを行います。

  7. [完了] をクリックします。

Milan の DHCP サーバーの承認

前の操作手順では、DHCP サービスをコンピュータ MIL-EU-DHCP-01 にインストールしました。しかし、サーバーとして IP アドレスの割り当てを行えるようにするには、そのコンピュータを Active Directory によって承認しなければなりません。

Windows 2000 ベースの DHCP サーバーでは、承認されているサーバーと承認されていないサーバーの検出を、次のプロセスに従って行います。

  1. 承認されている DHCP サーバーのリストが、ディレクトリ サービス データベースに保存されています。それぞれの Windows 2000 ベースのサーバーは、DHCP サービスの構成時に、その IP アドレスをこのリストに追加しなければなりません。

  2. それぞれの Windows 2000 ベースの DHCP サーバーは、その初期化時に、一連の DHCP 情報メッセージの発信および受信を行います。これらのメッセージによって、アクセス可能なネットワークに含まれているほかの Windows 2000 ベースの DHCP サーバーを検出し、さらにエンタープライズのルート ドメインを確認します。

  3. DHCP サーバーは、DHCP サービスを開始する前に、DHCP とルート ドメインの情報を使用して、そのエンタープライズに対するディレクトリ サービスを検索します。ディレクトリ サービスを検出すると、次に DHCP サーバーはディレクトリ サービスに対してクエリを発行して、自身が承認されている DHCP サーバーのリストに含まれているかどうかを確認します。

  4. サーバーは、承認されている DHCP サーバーの各リスト内に自身の IP アドレスを発見すると、DHCP サービスを初期化し、クライアントに対する提供を開始します。承認されている DHCP サーバーのすべてのリストに自身の IP アドレスを発見できなかった場合は、DHCP サービスを初期化せず、その提供を停止します。

次の操作手順は、MIL-EU-DHCP-01 で実行しました。

DHCP サーバー MIL-EU-DHCP-01 を承認するには

  1. Enterprise Admins のアクセス許可を割り当てられている Reskit ドメインのユーザー アカウントを使用して MIL-EU-DHCP-01 にログオンします。

  2. [スタート] ボタンをクリックし、[プログラム] をポイントして、[管理ツール] をポイントし、[DHCP] をクリックします。

  3. コンソール ツリーで [DHCP] をクリックします。

  4. [操作] メニューの [承認されたサーバーの管理] をクリックします。

  5. [承認] をクリックします。

  6. [名前または IP アドレス] ボックスに 172.16.132.17 と入力します (図 1 を参照) 。これは、Milan の DHCP サーバーの IP アドレスです。[OK] をクリックします。

    dhcphow2-1

    図 1: [DHCP サーバーの承認] ダイアログボックス

  7. DHCP サーバーの承認に対する同意を求めるダイアログ ボックスが表示されたら、[はい] をクリックします。Milan のサーバーが一覧に表示されます (図 2 を参照) 。

    dhcphow2-2

    図 2: [承認されたサーバーの管理] ダイアログボックス

  8. [閉じる] をクリックします。

Milan のサブネット用のスコープの作成

前の操作手順では、DHCP サーバー MIL-EU-DHCP-01 を Active Directory に対して指定することによって承認しました。次の操作手順では、Milan サイトに属している DHCP クライアントで使用する IP アドレスとそれに関連するホストの構成データを含むスコープを作成します。最適な運用形態を維持するために、使用可能なリースの 80%、つまり、172.16.136.51 ~ 172.16.139.66 の範囲の IP アドレスをこのスコープ内で構成しました。172.16.136.1 ~ 172.16.136.50 の範囲の IP アドレスは、静的な IP アドレスを使用するサーバーで使用するために予約しておくので、このスコープから除外しました。また、172.16.139.67 ~ 172.16.139.254 の範囲の IP アドレスも、Seattle の代替 DHCP サーバー SEA-NA-DHCP-04 で割り当てる Milan のスコープで使用するために、除外しました。

次の操作手順は、MIL-EU-DHCP-01 で実行します。

MIL-EU-DHCP-01 上に IP スコープを作成するには

  1. Enterprise Admins のアクセス許可を割り当てられている EU ドメインのユーザー アカウントを使用して MIL-EU-DHCP-01 にログオンします。

  2. [DHCP] スナップインを表示します。

  3. DHCP コンソール ツリーで、[MIL-EU-DHCP-01] をクリックします。

  4. [操作] メニューの [新しいスコープ] をクリックします。

  5. 新しいスコープ ウィザードが表示されたら [次へ] をクリックします。

  6. [名前] ボックスに Milan Scope と入力し、[説明] ボックスに説明を入力します (図 3 を参照) 。ただし、説明は省略可能です。[次へ] をクリックします。

    dhcphow2-3

    図 3: 新しいスコープウィザードの [スコープ名] ページ

  7. [IP アドレスの範囲] ページで次の情報を入力します (図 4 を参照) 。

    1. [開始 IP アドレス] ボックスに 172.16.136.1 と入力し、[終了 IP アドレス] ボックスに 172.16.139.254 と入力します。

    2. [長さ] ボックスに 22 と入力し (サブネット マスクのビット長) 、 [次へ] をクリックします。

    dhcphow2-4

    図 4: 新しいスコープウィザードの [IP アドレスの範囲] ページ

  8. [除外の追加] ページで次の情報を入力します (図 5 を参照) 。

    1. [開始 IP アドレス] ボックスに 172.16.136.1 と入力し、[終了 IP アドレス] ボックスに 172.16.136.50 と入力します。[追加] をクリックします。

      この除外範囲は、Milan サブネット内で静的なアドレスを使用するサーバー用です。

    2. [開始 IP アドレス] ボックスに 172.16.139.67 と入力し、[終了 IP アドレス] ボックスに 172.16.139.254 と入力します。[追加] をクリックします。

      この除外範囲は、Seattle の DHCP サーバーで作成する Milan のスコープとの競合を避けるために設定します。

    dhcphow2-5

    図 5: 新しいスコープウィザードの [除外の追加] ページ

  9. [次へ] をクリックします。

  10. [リース期間] ページでリース期間が 8 になっていることを確認し、この既定のリース期間をそのまま適用して、[次へ] をクリックします。

    DHCP の運用においては、LAN 内での DHCP メッセージの伝送をなるべく少なくする必要性と、リースがユーザーに確実に割り当てられるようにする必要性のバランスをとらなければなりません。8 日というリース期間は、このバランスを合理的な範囲で維持することができます。割り当てられたリースは、8 日のリース期間が経過する前に、使用可能なリースのプールに戻されます。8 日は、Millap ユーザー クラスのメンバ以外の Windows 2000 ベースのクライアントと、Windows 2000 ベース以外のクライアントの既定のリース期間になります。

  11. [DHCP オプションの構成] ページで、[後でオプションを構成する] をクリックし、[次へ] をクリックします。

  12. [完了] をクリックします。

Milan のスコープ用の DHCP オプションの構成

前の操作手順では、Milan サイトで要求を行う DHCP クライアントに IP アドレスを割り当てるためのスコープを作成しました。しかし、このシナリオの目的の 1 つは、ホストの構成データをすべてのクライアントに割り当てる一方で、ポータブル型の Windows 2000 クライアントには、ほかのクライアントより短いリース期間を割り当てることでした。

この目的を達成するために、2 種類の DHCP オプションを追加します。1 つはスコープ オプションで、これは次の操作手順で Milan 用に構成します。もう 1 つはクラス オプションで、これは Milan ベースのポータブル コンピュータ (Millap) 用に構成します。すべてのクライアントは、最初にスコープ オプションで構成されますが、そのスコープ オプションの一部は、Millap ユーザー クラスに属していると識別されるクライアントのクラス固有のオプションによって上書きされます。

この後で紹介する操作手順では、次の DHCP スコープ オプションを構成します。

  • デフォルト ゲートウェイ

  • DNS サーバーのアドレス

  • DNS ドメイン名

  • WINS サーバーのアドレス

  • WINS/NBT ノード タイプ

次の操作手順は、Enterprise Admins のアクセス許可を割り当てられている EU ドメインのユーザー アカウントでコンピュータ MIL-EU-DHCP-01 にログオンして実行します。

Milan Scope のスコープオプションを構成するには

  1. DHCP コンソール ツリーで、サーバー [MIL-EU-DHCP-01] と [Milan Scope] が展開されていない場合には、それぞれを順に展開します。

  2. [Milan Scope] の下の [スコープ オプション] を選択して右クリックし、[オプションの構成] をクリックして、[スコープ オプション] ダイアログ ボックスを表示します。

  3. [利用可能なオプション] で、次の操作を行います (図 6 を参照) 。

    1. 構成するオプションのチェック ボックスをオンにします (対象となるオプションについては、表 1 を参照) 。

    2. [データ入力] グループで、選択したオプションに応じて表示されるそれぞれのボックスに適切な値を入力します。

    3. 適用可能な場合は、[追加] をクリックします。

    dhcphow2-6

    図 6: [スコープ オプション] ダイアログ ボックスの [全般] プロパティ ページ

    1 [ 利用可能なオプション ] の一覧で選択するオプション

    オプション

    入力する値

    説明

    003 ルーター

    172.16.136.1

    Milan のデフォルト ゲートウェイの IP アドレス

    006 DNS サーバー

    172.16.132.13

    172.16.4.11

    プライマリおよびセカンダリ DNS サーバーの IP アドレス

    015 DNS ドメイン名

    eu.reskit.com

    ヨーロッパ ドメインの DNS 名サフィックス

    044 WINS/NBNS サーバー

    172.16.132.11

    Milan の WINS サーバーの主要な IP アドレス

    046 WINS/NBT ノードタイプ

    0x8

    ハイブリッド ノード タイプ

  4. [OK] をクリックします。

Milan のラップトップ型ユーザー クラスの作成

前の操作手順では、スコープの DHCP オプションを構成しました。これらのオプションは、Milan サイト内で要求を行うすべての DHCP クライアントに適用される既定のオプションになります。次の操作手順では、Windows 2000 ベースのポータブル型のクライアントに比較的短いリース期間を割り当てるために、Millap というユーザー クラスを作成します。

次の操作手順は、Enterprise Admins のアクセス許可を割り当てられている EU ドメインのユーザー アカウントでコンピュータ MIL-EU-DHCP-01 にログオンして実行します。

MIL-EU-DHCP-01 上でユーザークラス Millap を作成するには

  1. DHCP コンソール ツリーで [MIL-EU-DHCP-01] をクリックします。

  2. [操作] メニューの [ユーザー クラスの定義] をクリックして、[DHCP ユーザー クラス] ダイアログ ボックスを表示します。

  3. [追加] をクリックして、[新しいクラス] ダイアログ ボックスを表示します。

  4. [表示名] ボックスに Milan Laptop Class と入力します (図 7 を参照) 。

  5. [説明] ボックスにユーザー クラスの説明を入力します。ただし、説明は省略可能です。

  6. ダイアログ ボックス下部のボックスの [ASCII] 列をクリックし、クラス ID として Millap と入力します。

    メモ [バイナリ] 列をクリックすると、16 進のバイト数値でデータを入力することもできます。

    dhcphow2-7

    図 7: [新しいクラス] ダイアログボックス

  7. [OK] をクリックし、[閉じる] をクリックします。

Milan のラップトップ型ユーザー クラスのオプションの構成

前の操作手順では、Windows 2000 Professional を実行している Milan のポータブル コンピュータ用にユーザー クラス Millap を作成しました。次の操作手順では、このユーザー クラスの DHCP オプションを構成します。

このユーザー クラスで構成される Windows 2000 ベースのクライアントは、DHCPACK メッセージに含まれる情報として追加 DHCP オプションを受け取ります。これらの DHCP オプションは、それ以前に DHCPOFFER メッセージに含まれる情報として受け取ったスコープ オプションを上書きします。このシナリオの場合、DHCP オプション 051 の リース を構成し、リース期間として 3 日を指定します (スコープのリース期間は、8 日です) 。

次の操作手順は、Enterprise Admins のアクセス許可を割り当てられている EU ドメインのユーザー アカウントでコンピュータ MIL-EU-DHCP-01 にログオンして実行します。

ユーザークラス Millap 用の DHCP オプションを構成するには

  1. DHCP コンソール ツリーで、サーバー [MIL-EU-DHCP-01] と [Milan Scope] が展開されていない場合には、それぞれを順に展開します。

  2. [スコープ オプション] を選択して右クリックし、[オプションの構成] をクリックします。

  3. [スコープ オプション] ダイアログ ボックスで、[詳細設定] タブをクリックします (図 8 を参照) 。

    dhcphow2-8

    図 8: [スコープオプション] ダイアログボックスの [詳細設定] プロパティページ

  4. [ベンダ クラス] ボックスで、[DHCP 標準オプション] が選択されていることを確認します。

  5. [ユーザー クラス] ボックスで、 [Milan Laptop Class] を選択します。

  6. [利用可能なオプション] の一覧の [051 リース] チェック ボックスをオンにします。

  7. [Long 型] ボックスに 259200 と入力し、[OK] をクリックします。

    259200 という値は、リース期間を秒単位で表した数字です (つまり、3 日を表しています) 。

    3 日というリース期間は、Milan サイトで使用できるリースの利用効率を最大限に高めるために選択されました。ポータブル コンピュータは一般的に頻繁に移動される傾向があるので、Millap ユーザー クラスのメンバには比較的短いリース期間を割り当てます。 その結果、使用済みの古いリースを DHCP サーバーで収集し、サブネット内の新しいクライアントや更新が必要なクライアントに割り当てることが可能になります。

関連するセットアップ手順

関連資料

注意
このシナリオにおいて、コンピュータおよびデバイスを構成するために使用した手続きは、サンプルとして紹介したものです。実際のネットワークでは、類似したコンピュータおよびデバイスを構成する場合でも、必要になる手順はそれぞれのケースで異なります。さらに各シナリオでは、目的とする機能を実現するために必要な手順だけを示しています。運用ネットワークにおいて必要になる、その他の手順については取り上げていません。すべてのシナリオは、特に表記しない限り Windows 2000 を使用してテストされています。また、ブラウザとして Microsoft Internet Explorer 5 以上を推奨します。