移行のフェーズと手順の概要
トピックの最終更新日: 2011-07-18
ここでは、Microsoft Office Communicator 2007 R2 から Microsoft Lync Server 2010 に移行するためのすべてのフェーズと手順の概要を示します。
フェーズ 1: Office Communications Server 2007 R2 からの移行を計画する
移行プロセスを開始する前に、移行のさまざまな面に関係する特別な考慮事項を理解して計画する必要があります。
フェーズ 1 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
ユーザーの移行を準備する |
テスト ユーザーとして使用する若干数のユーザーおよびパイロット プールで使用するユーザーのグループの選抜を検討します。 |
|
アーカイブ サーバーと監視サーバーの移行を計画する |
Lync Server 2010 のアーカイブおよび監視サーバーは従来の展開からデータを収集できず、従来のアーカイブおよび監視サーバーは Lync Server 2010 の展開からデータを収集できません。移行の共存フェーズの間にアーカイブおよび監視の機能が必要な場合は、いくつかの問題を考慮する必要があります。 |
|
移行後のサーバーの管理を計画する |
移行の共存フェーズの間は、管理するサーバーのバージョンに対応した管理ツールを使用する必要があります。 |
|
複数のプールとサイトの移行を計画する |
Lync Server 2010 はマルチサイトおよびマルチプールの展開をサポートしています。従来の展開から複数のプールを移行する場合、特別に考慮する必要のあることがいくつかあります。 |
フェーズ 2: 移行を準備する
移行を開始する前に、いくつか準備作業を行って、環境を移行できる状態にする必要があります。
フェーズ 2 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
Office Communicator 2007 R2 の更新プログラムを適用する |
Lync Server 2010 への移行に必要な Office Communicator 2007 R2 の更新プログラムを適用します。 |
|
ベスト プラクティス アナライザーを実行する |
ベスト プラクティス アナライザーを実行し、従来の展開がマイクロソフトのベスト プラクティスに従って構成されているかどうかを判定します。 |
|
システムとデータをバックアップする |
ユーザー アカウントのインベントリを含む完全なシステムのバックアップを実行し、文書化します。 |
|
移行用にクライアントを構成する |
移行に備えて既存システムのクライアントを構成します。 |
フェーズ 3: Lync Server 2010 パイロット プールを展開する
Lync Server のアーキテクチャ計画を反映したパイロット プールを展開します。既存の展開のトポロジ情報と構成設定をこのパイロット プールにマージします。
フェーズ 3 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
パイロット プールのアーキテクチャを決定する |
このドキュメントで使用されている関連トポロジを確認します。このドキュメントで説明されている手順は、関連トポロジが基になっています。実際の手順は Lync Server の展開によって異なる場合があります。 |
|
パイロット プールを展開する |
従来の展開と同じ機能およびワークロードを持つパイロット プールを展開します。移行の間もアーカイブと監視を続行する場合は、それらの機能をパイロット展開に含めます。 |
|
プールの共存を確認する |
パイロット プールを展開したら、Lync Server への移行を開始する前に、プール情報を参照して、従来のプールとパイロット プールが共存していることを確認します。 |
フェーズ 4: トポロジを結合する
従来のプールと Lync Server 2010 のパイロット プールを結合します。それには、トポロジ情報を結合してから、従来のポリシーと構成設定をインポートします。
フェーズ 4 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
Windows Management Instrumentation (WMI) 下位互換パッケージをインストールする |
トポロジ ビルダー結合ウィザードを実行するために必要な WMI 下位互換パッケージをインストールします。 |
|
トポロジ ビルダーを使用してトポロジを結合する |
トポロジ ビルダー結合ウィザードを実行して、従来のトポロジ情報と Lync Server のトポロジを結合します。 |
|
ポリシーと設定をインポートする |
Import-CsLegacyConfiguration コマンドレットを実行して、ポリシー、音声ルート、ダイヤル プラン、Communicator Web Access URL、およびダイヤルイン アクセス番号を Lync Server にインポートしたうえで、すべてのポリシーがインポートされたことを確認します。 |
|
トポロジの情報を確認する |
トポロジ ビルダーでトポロジを参照し、結合が成功したことを確認します。Get-CsConferenceDirectory コマンドレットを実行し、会議ディレクトリ情報がインポートされたことを確認します。 |
フェーズ 5: パイロット プールを構成する
従来のプールとパイロット プールの間でユーザーが通信できるようにパイロット プールを構成し、一部のユーザーをパイロット プールに移動します。
フェーズ 5 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
パイロット プールを従来のエッジ サーバーに接続する |
従来のプールで使用されているフェデレーション ルートを使用するように Lync Server を構成します。 |
|
従来のエッジ サーバーへの接続を承認する |
パイロット プールの Lync Server フロントエンド サーバーまたは Standard Edition サーバーとディレクターを、従来のエッジ サーバーへの接続を承認するサーバーの一覧に追加します。この手順は、従来のエッジ サーバーを使用して参加するユーザーが音声/ビジュアル (A/V) 会議を利用できるようにするために必要です。 |
|
パイロット プールを従来の仲介サーバーに接続する |
従来のプールで使用されている仲介サーバーを使用するように Lync Server を構成します。 |
|
一部のユーザーをパイロット プールに移動する |
Lync Server 2010 コントロール パネルまたは Lync Server 管理シェルを使用して、少数のユーザーをテスト ユーザーとしてパイロット プールに移動します。Move-CsLegacyUser コマンドレットを使用する前に、ユーザー レプリケーションが正常に完了したことを確認します。 |
|
複数のユーザーをパイロット プールに移動する |
ユーザーのグループを Lync Server 2010 パイロット プールに移動できます。Move-CsLegacyUser コマンドレットを使用する前に、ユーザー レプリケーションが正常に完了したことを確認します。 |
フェーズ 6: パイロット移行を確認する
情報を結合し、パイロット プールを構成したら、移行プロセスを先へ進める前に、構成設定が正しくインポートされたことと、パイロット プールが意図したとおりに動作していることを確認します。
フェーズ 6 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
構成の設定を確認する |
従来のプールのポリシーと設定が Lync Server にインポートされたことを確認します。 |
|
パイロット プールの機能をテストする |
パイロット ユーザーを使用して機能テストを実行し、パイロット プールが意図したとおりに動作していることを確認します。 |
フェーズ 7: エッジ サーバーとディレクターを追加する
パイロット プールにエッジ サーバーとディレクターを追加します。
フェーズ 7 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
パイロットのディレクターとエッジ サーバーを展開する |
ディレクター プールとエッジ サーバー プールを定義します。ディレクターとエッジ サーバーにファイルをインストールし、証明書を構成し、サービスを起動します。次に、パイロット プールと従来のプールが正しく動作していることと、それらを管理できることを確認します。 |
フェーズ 8: パイロット展開から運用環境に移動する
最終的なルート構成を行い、ユーザーを移動し、応答グループと Exchange ユニファイド メッセージング (UM) の連絡先をパイロット プールに移行します。
フェーズ 8 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
フェデレーション ルートとメディア トラフィックを構成する |
フェデレーション ルートとメディア トラフィック ルートを、従来の展開から Lync Serverエッジ サーバーおよびディレクターに移行します。
|
|
外部ユーザーのフェデレーションとリモート アクセスを確認する |
機能テストを実行して、フェデレーションが意図したとおりに動作することを確認します。組織でサポートされる外部ユーザーの種類ごとにテストします。 |
|
残りのユーザーを移動する |
残りのユーザーを従来のプールからパイロット プールに移動し、それぞれに割り当てられた電話会議ポリシーを確認します。Move-CsLegacyUser コマンドレットを使用する前に、ユーザー レプリケーションが正常に完了したことを確認します。 |
残りのユーザーの Lync Server 2010 への移動 (Office Communications Server 2007 R2 の移行) |
応答グループを移行する |
応答グループ アプリケーションがパイロット プールにインストールされていることを確認し、応答グループの設定を従来のプールから Lync Server のプールに移動します。すべてのエージェント グループ、キュー、およびワークフローが Lync Server にインポートされたことを確認します。 |
|
応答グループをテストする |
機能テストを実行して、インポートした応答グループが意図したとおりに動作することを確認します。 |
|
Exchange ユニファイド メッセージング (UM) の連絡先オブジェクトを移動する |
自動応答およびサブスクライバー アクセスの連絡先オブジェクトを Lync Server プールに移行した後、Microsoft Exchange を実行しているサーバーでスクリプトを実行して、これらの連絡先オブジェクトを Exchange UM の IP ゲートウェイおよびハント グループに追加します。 |
|
Exchange UM の連絡先オブジェクトが従来のプールから削除されていることを確認する |
従来のプールで、Exchange UM の連絡先オブジェクトが残っていないことを確認します。 |
フェーズ 9: 移行後のタスクを完了する
その他の機能を移行および構成し、従来のアーカイブ サーバーと監視サーバーを削除し、仲介サーバーを構成し、Lync Server クライアントを展開します。
フェーズ 9 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
ダイヤルイン アクセス番号を移行する |
ダイヤルイン アクセス番号の連絡先オブジェクトを Lync Server に移動します。 |
|
Microsoft Exchange 2010 SP1 の Outlook Web App および IM 統合を有効にする |
信頼されたアプリケーション プールを作成し、Exchange 2010 SP1 クライアント アクセス サーバー (CAS) を信頼されたアプリケーション サーバーとして追加します。 |
|
アドレス帳を移行する |
組織単位 (OU) でアドレス帳エントリをグループ化することにより、またはアドレス帳の正規化ルールをカスタマイズすることにより、アドレス帳の従来の展開をカスタマイズしてある場合は、それらのカスタマイズに合わせて Lync Server を構成します。アドレス帳をカスタマイズしていない場合は、アドレス帳はトポロジの他の部分と共に Lync Server に移行され、他の構成は必要ありません。 |
|
リモート通話コントロールを有効にする |
CSTA 要求をルーティングするように Lync Server を構成し、リモート通話コントロール用に Lync Server ユーザーを構成します (移行の前提条件として、リモート通話コントロール用の SIP/CSTA ゲートウェイをインストールする必要があります)。 |
|
従来のアーカイブ サーバーと監視サーバーを削除する |
従来のすべてのプールからすべてのユーザーを削除した後は、アーカイブ サーバーと監視サーバーを従来の展開から削除できます。 |
|
仲介サーバーを移行する |
すべてのユーザーを Lync Server に移動した後で、Lync Server仲介サーバーを構成します。従来のゲートウェイをアップグレードまたは置換し、Lync Server仲介サーバーを構成し、新しい仲介サーバーを使用するように音声ルートを変更する必要があります。 |
|
Microsoft Unified Communications Managed API (UCMA) 2.0 Core SDK を基盤としたアプリケーションを使用する |
Lync Server 2010 は Microsoft Unified Communications Managed API (UCMA) 3.0 Core SDK に対応していますが、共存フェーズの間は、Lync Server のプールに所属するユーザーが、従来のプールに所属する UCMA 2.0 アプリケーションを使用できます。 |
Microsoft Unified Communications Managed API (UCMA) 2.0 Core SDK 上に構築されたアプリケーションを移行する |
信頼されたアプリケーション サーバーを構成する |
従来のトポロジと Lync Server のトポロジを結合した後で新しく信頼されたアプリケーション サーバーを作成する場合は、次ホップ プールを Lync Server プールとして設定します。 |
|
ミーティング参加ページを構成する |
予定された会議の結合に使用できる Lync Server クライアントのミーティング参加ページを構成します。 |
|
クライアントを展開する |
ユーザーおよびクライアントに対するポリシーを構成し、Lync Server 2010 クライアントを展開します。 |
フェーズ 10: 従来のサイトを使用停止にする
従来のプールからすべてのものを移動したら、プールとサーバーを使用停止にします。
フェーズ 10 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
会議ディレクトリを移動する |
会議ディレクトリを Lync Server に移動します。結合の間に実行される Import-CsLegacyConferenceDirectory コマンドレットは、相互運用性をサポートする情報のみをインポートします。従来のプールを使用停止にする前に、会議ディレクトリを Lync Server プールに移動する必要があります。そうしないと、ダイヤルイン会議が機能しなくなります。 |
|
従来のサーバーとプールを使用停止にする |
従来のプールを使用停止にして、従来のサーバーとサーバーの役割を削除します。 |
|
トポロジ ビルダーで BackCompat サイトを削除する |
すべてのプールを非アクティブ化した後、BackCompat サイトを削除します。 |
フェーズ 11: Communicator Web Access (2007 R2 リリース) の機能を移行する (オプション)
Lync Web App は、インスタント メッセージング (IM) とプレゼンスをサポートしません。ブラウザー ベースの IM およびプレゼンスが必要な場合は、Communicator Web Access を実行するサーバーを残しておく必要があります。ブラウザーのシナリオで IM およびプレゼンスが必要ない場合は、このフェーズを省略できます。
フェーズ 11 の移行手順
手順 | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
Communicator Web Access を再展開する |
従来のプールを使用停止にするときに Communicator Web Access を使用停止にします。次に、Communicator Web Access を再展開します。展開ウィザードで、次ホップ サーバーとして Lync Server 2010 プールを選択し、匿名ユーザーをサポートします。Communicator Web Access を再展開した後で、トポロジ ビルダーを使用してトポロジを結合および公開します。 |