dfsrmig

適用対象: Windows Server 2022、Windows Server 2019、Windows Server 2016、Windows Server 2012 R2、Windows Server 2012

DFS レプリケーション サービスの移行ツール (dfsrmig.exe) は、DFS レプリケーション サービスと共にインストールされます。 このツールでは、SYSvol レプリケーションをファイル レプリケーション サービス (FRS) から分散ファイル システム (DFS) レプリケーションに移行します。 また、移行の進行状況に関する情報が提供され、移行をサポートするように Active Directory Domain Services (AD DS) オブジェクトが変更されます。

構文

dfsrmig [/setglobalstate <state> | /getglobalstate | /getmigrationstate | /createglobalobjects |
/deleterontfrsmember [<read_only_domain_controller_name>] | /deleterodfsrmember [<read_only_domain_controller_name>] | /?]

パラメーター

パラメーター 説明
/setglobalstate <state> ドメインのグローバル移行状態を、state で指定された値に対応する状態に設定します。 グローバル移行状態は、安定した状態にのみ設定できます。 state 値は次のとおりです。
  • 0 - 開始状態
  • 1 - 準備済み状態
  • 2 - リダイレクト済み状態
  • 3 - 削除済み状態
/getglobalstate PDC エミュレーターで実行する場合、ドメインの現在のグローバル移行状態を、AD DS データベースのローカル コピーから取得します。 このオプションを使って、正しいグローバル移行状態を設定していることを確認します。

重要: このコマンドは、PDC エミュレーターでのみ実行する必要があります。

/getmigrationstate ドメイン内のすべてのドメイン コントローラーの現在のローカル移行状態を取得し、それらのローカル状態が現在のグローバル移行状態と一致するかどうかを判断します。 このオプションを使って、すべてのドメイン コントローラーがグローバル移行状態に達しているかどうかを判断します。
/createglobalobjects DFS レプリケーションによって使用される AD DS でグローバル オブジェクトと設定を作成します。 このオプションを使ってオブジェクトと設定を手動で作成する必要がある状況は、次の場合のみです。
  • 移行中に新しい読み取り専用ドメイン コントローラーが昇格される場合準備済み状態に移行した後、削除済み状態に移行する前に、ドメインで新しい読み取り専用ドメイン コントローラーが昇格された場合、新しいドメイン コントローラーに対応するオブジェクトは作成されないので、レプリケーションと移行は失敗します。
  • DFS レプリケーション サービスのグローバル設定が見つからないか、削除されている場合。 ドメイン コントローラーに対してこれらの設定が見つからない場合、開始状態から準備済み状態への移行は、準備中の遷移の状態で停止します。 注: 読み取り専用ドメイン コントローラーの DFS レプリケーション サービスのグローバル AD DS 設定は PDC エミュレーター上に作成されます。そのため、これらの設定を読み取り専用ドメイン コントローラーの DFS レプリケーション サービスで使用できるようにするには、これらの設定を PDC エミュレーターから読み取り専用ドメイン コントローラーにレプリケートする必要があります。 Active Directory レプリケーションの待機時間のため、このレプリケーションの発生には時間がかかる場合があります。
/deleterontfrsmember [<read_only_domain_controller_name>] 指定した読み取り専用ドメイン コントローラーに対応する FRS レプリケーションのグローバル AD DS 設定を削除します。<read_only_domain_controller_name> に値が指定されていない場合は、すべての読み取り専用ドメイン コントローラーの FRS レプリケーションのグローバル AD DS 設定を削除します。

通常の移行プロセス中にこのオプションを使用する必要はありません。DFS レプリケーション サービスによって、リダイレクト済み状態から削除済み状態への移行中に、これらの AD DS 設定が自動的に削除されるためです。 このオプションは、リダイレクト済み状態から削除済み状態への移行中に、読み取り専用ドメイン コントローラーで自動削除が失敗し、読み取り専用ドメイン コントローラーが長時間停止した場合にのみ、AD DS 設定を手動で削除するために使用します。

/deleterodfsrmember [<read_only_domain_controller_name>] 指定した読み取り専用ドメイン コントローラーに対応する DFS レプリケーションのグローバル AD DS 設定を削除します。<read_only_domain_controller_name> に値が指定されていない場合は、すべての読み取り専用ドメイン コントローラーの DFS レプリケーションのグローバル AD DS 設定を削除します。

このオプションは、準備済み状態から開始状態に移行をロールバックするときに、読み取り専用ドメイン コントローラーで自動削除が失敗し、読み取り専用ドメイン コントローラーが長時間停止した場合にのみ、AD DS 設定を手動で削除するために使用します。

/? コマンド プロンプトにヘルプを表示します。

解説

  • /setglobalstate <state> コマンドを使って、PDC エミュレーターで AD DS のグローバル移行状態を設定し、移行プロセスを開始して制御します。 PDC エミュレーターを使用できない場合、このコマンドは失敗します。

  • 削除済み状態への移行は元に戻すことができず、ロールバックはできません。そのため、"状態" の値 3 は、SYSvol レプリケーションに対して DFS レプリケーションを本当に使用したい場合にのみ使用してください。

  • グローバル移行状態は、安定した移行状態である必要があります。

  • Active Directory レプリケーションでは、ドメイン内の他のドメイン コントローラーにグローバル状態がレプリケートされますが、レプリケーションの待機時間が原因で、PDC エミュレーター以外のドメイン コントローラーで dfsrmig /getglobalstate を実行すると、不整合が発生する可能性があります。

  • dfsrmig /getmigrationstate の出力では、現在のグローバル状態への移行が完了したかどうかが示され、現在のグローバル移行状態にまだ達していないドメイン コントローラーのローカル移行状態が一覧表示されます。 ドメイン コントローラーのローカル移行状態には、現在のグローバル移行状態に達していないドメイン コントローラーの遷移の状態も含まれる可能性があります。

  • 読み取り専用ドメイン コントローラーでは AD DS から設定を削除できません。PDC エミュレーターによってこの操作が実行され、Active Directory レプリケーションに適用される待機時間の後、最終的に変更内容が読み取り専用ドメイン コントローラーにレプリケートされます。

  • dfsrmig コマンドは、Windows Server ドメインの機能レベルで実行されるドメイン コントローラーでのみサポートされます。FRS から DFS レプリケーションへの SYSvol の移行は、そのレベルで動作するドメイン コントローラーでのみ可能なためです。

  • 任意のドメイン コントローラーで dfsrmig コマンドを実行できますが、AD DS オブジェクトを作成したり操作したりする処理は、(読み取り専用ドメイン コントローラーではなく) 読み取りと書き込みが可能なドメイン コントローラーでのみ許可されます。

グローバル移行状態を準備済み (1) に設定し、移行を開始するか、準備済み状態からロールバックするには、次のように入力します。

dfsrmig /setglobalstate 1

グローバル移行状態を開始 (0) に設定し、開始状態へのロールバックを開始するには、次のように入力します。

dfsrmig /setglobalstate 0

グローバル移行状態を表示するには、次のように入力します。

dfsrmig /getglobalstate

dfsrmig /getglobalstate コマンドからの出力:

Current DFSR global state: Prepared
Succeeded.

すべてのドメイン コントローラーのローカル移行状態がグローバル移行状態と一致するかどうか、およびローカル状態がグローバル状態と一致しないローカル移行状態が存在するかどうかについての情報を表示するには、次のように入力します。

dfsrmig /GetMigrationState

すべてのドメイン コントローラーのローカル移行状態がグローバル移行状態と一致する場合の dfsrmig /getmigrationstate コマンドからの出力:

All Domain Controllers have migrated successfully to Global state (Prepared).
Migration has reached a consistent state on all Domain Controllers.
Succeeded.

一部のドメイン コントローラーのローカル移行状態がグローバル移行状態と一致しない場合の dfsrmig /getmigrationstate コマンドからの出力:

The following Domain Controllers are not in sync with Global state (Prepared):
Domain Controller (Local Migration State) DC type
=========
CONTOSO-DC2 (start) ReadOnly DC
CONTOSO-DC3 (Preparing) Writable DC
Migration has not yet reached a consistent state on all domain controllers
State information might be stale due to AD latency.

ドメイン コントローラー上の AD DS で DFS レプリケーションが使用するグローバル オブジェクトと設定が、移行中に自動的に作成されていない場合、または見つからない場合に、作成するには、次のように入力します。

dfsrmig /createglobalobjects

contoso-dc2 という名前の読み取り専用ドメイン コントローラーの FRS レプリケーションのグローバル AD DS 設定が、移行プロセスによって自動的に削除されていない場合に、削除するには、次のように入力します。

dfsrmig /deleterontfrsmember contoso-dc2

すべての読み取り専用ドメイン コントローラーの FRS レプリケーションのグローバル AD DS 設定が、移行プロセスによって自動的に削除されていない場合に、削除するには、次のように入力します。

dfsrmig /deleterontfrsmember

contoso-dc2 という名前の読み取り専用ドメイン コントローラーの DFS レプリケーションのグローバル AD DS 設定が、移行プロセスによって自動的に削除されていない場合に、削除するには、次のように入力します。

dfsrmig /deleterodfsrmember contoso-dc2

すべての読み取り専用ドメイン コントローラーの DFS レプリケーションのグローバル AD DS 設定が、移行プロセスによって自動的に削除されていない場合に、削除するには、次のように入力します。

dfsrmig /deleterodfsrmember

コマンド プロンプトでヘルプを表示するには:

dfsrmig
dfsrmig /?